湖の子守唄

琵琶湖・湖北での生活、四季おりおりの
風景の移り変わり、旅先でのふれ逢いなど、
つれづれなるままに、語りたい。

丹生川は僕の先生

2010年06月25日 | 詩歌・歳時記
川風が心地よい。
石のぬくみを尻に感じて、振り込むたびに釣れてくるのは、あぶらはや。
ここら辺では、べらこと呼んでいる。

初夏の丹生川である。



 上丹生には、タカハヤが多く、下丹生ではもっぱらコイツが多く、立派に棲み分けてる。
仕掛けは極小、極細、尺上の虹鱒でも掛かったひには、あえなく糸はプッツリ

以前ならおおわらわで、太い仕掛けに替え、もう一度狙うところだが……。
ウィスキーゴクリと一口。煙草いっぷく、再びベラコと遊ぶ。
   
          引き強し魚
          流心へ逃れんと
          弓なりの竿立てて抗へ

餌はクロカワ虫。
川に立ちこみ、ひっくり返した石の裏側に
へばりついた巣のなかに、うごめいているのが成虫。こいつは虹鱒用。
まだ幼い黒くて細いやつが、湿らせたティッシュにのせてある。




やがてふ化の季節、日暮れ時ともなると、カゲロウの大群が、命の儚さをただよわせて、
川上へ舞うように飛んでゆく。

          二タ刻で死すかげろうの
          群れて舞う
          川面に霧は下流より湧く


最上流の水源地の水を取り込んでいるのが、
醒ヶ井養鱒場。東洋一の規模だ。

そこから宗谷川、丹生川、天の川と名を変えて、琵琶湖へ注ぐ。

最近はめっきりと水量が減ってしまった。山の保水力が減少してしまったからだ。
子供の頃は深い淵があり、飛び込んでは、
水しぶき高く上げたことも、もう帰らぬ夢の世界だ。

                     

盛夏になっても、川遊びの子供の姿を見かけない。親が許さないのだろう。嘆かわしい限りだ。
自然界での生の営みを通して、川から多くのことを学んだ。
この丹生川も、それらの川のうちの一つである。