湖の子守唄

琵琶湖・湖北での生活、四季おりおりの
風景の移り変わり、旅先でのふれ逢いなど、
つれづれなるままに、語りたい。

「風鈴捕り物帳」 放映始まる・・・・

2014年02月27日 | 詩歌・歳時記

60歳を越えた頃からボクの涙腺が際限もなく緩んでしまったようだ。

今夜からCSの 「時代劇専門チャンネル」 で、西郷さんの 「風鈴捕り物帳」 が始まった。

1978年ということは西郷さん31歳である。 その頃ボクは写植・デザインの事務所に命がけで

妻子との実生活よりも仕事第一で励んでいた。 当然のようにいくら愛する西郷さんであっても、

テレビ・ドラマをリアル・タイムで観たことはなかったのである。 

    銀閣寺

石森章太郎の漫画が原作であり、 ドラマは荒唐無稽!! 苦笑しか浮かばないけれど、脇が凄い。

伊賀忍者・服部半蔵がバンジュンである。あっ、若いおひとがお読みでしょうか? 原作・水上勉、

三国連太郎、高倉健の 「飢餓海峡」 の老練な刑事を演じた、伴淳三郎です。「アジャ・パー」 

なるギャグで一世を風靡した名優でごじゃりまする。 

1回目を観て、西郷さんはなんて幸せな役者人生を始めたのか? とつくづくと思いました。

彼の役はおかっ引ですが、時の奉行役が里見浩太郎であり、その先輩が片岡知恵蔵なんです。

そしてドラマの冒頭のシーンで、 半蔵の娘の水沢アキが風の新吉の長屋で一夜を過ごす時、

西郷さんが部屋の真ん中に十手に結んだ紐を投げましてね、 その紐に着物や敷布を掛けて、

これはクラーク・ゲイブルとC・コルベールの 「或る夜の出来事」 のジェリコの壁のパロディー

なんですね。 笑っちゃいました。  このテレビ・ドラマが放映されていた時、ボクは29歳でした。

その連続ドラマを35年のあとに平日の夜7時から毎日観る事ができる!! 

    

長く生きているのもまんざらではございませんね。 あとは 「どてらい奴」 を観て・・・・観て・・・・

そして、死にたいものでございます。

そして 「ホーム・ドラマ チャンネル」 で、 「新幹線公安官」「ジグザグ・ブルース」 なんかも

観てみたいものだ。 ボクの青春が戻ってきそうな、 西郷さんの凛とした立ち姿である。

当分のあいだは、 夜7時からは熱い涙を流せるだろう。 その涙の海に溺れ死ぬことができれば

本望であることだ。

  

 

 

     

 


浅田真央の真っ白な明日のジョー!!

2014年02月21日 | 詩歌・歳時記

    

冬季五輪が真っ盛りである。 別段の興味もないし・・・適当にお付き合いをしているのだが。

今夜は浅田真央の最期を見届けようと、夜中の2時まで起きていて、彼女の最期の演技を観た。

飛ぶたびに祈る気持ちで両手を組み、「凄ーい!!」 と少女のような歓声をあげた、今は亡き母を

すぐ側に感じながら、涙がこみあげて感動いたしました。

           免許証ブルーになりて冬くやし

この最期の演技は奇蹟としか思えない。 少女の身体から成熟した女性に変貌をとげて、

ジャンプへの推進力がもはや身体に追いつかないのである。 ライバルのキム・ヨナとの身体を

比べればうなずかざるをえないであろう。

       京都・びわこ水道

演技を終えて涙をこらえる浅田真央の姿に、ボクはコーナーの椅子に坐って「真っ白」になった

明日のジョーを感じたのでした。 だが、君はもはやメダルを獲得するのは無理であろう。

けれども、この現役選手としての最期のスケーティングにおいて、日本人全員が君に最高の

「金メダル」 を捧げるであろう。 それこそ 「魂の金メダル」 だよ。 ホントにお疲れさまでした。 

最期のさいごで、浅田真央よ・・・君は日本のためとか、感謝とか・・・・そんなことは忘れて・・・

自分のためだけに飛び、舞ったのだね。 感動をありがとうございました。 君を忘れないよ。


あぁ、柴犬 !!

2014年02月14日 | 詩歌・歳時記

去年の暮れに湖北の道の駅に、 餅や湖魚の佃煮、野菜などを買い込んでの帰り道・・・・・

湖畔道路を南下途中、その手書きの看板を横目で見てしまったのがすべての始まりだったのだ。

      

 「柴犬のあかちゃんが産まれました」・・・・一瞬のうちに左目でそれだけを読んだのだが、

おそらくはその次の一行は 「誰か、もらってください・・・・」 のはずである。

一旦は「無視」した。 犬を散歩につれていく際に、ビニールの袋とスコップを持参するなんてことに

耐えられないからだ。 昭和30年代には東京都内ですら、そんな光景は見られなかった。

           春がすみ

           遠山さらに遠くいて

           生きる由なぞ問ふもおろかよ

その頃からの 「犬好き」 である。 ウンチやショウベンは垂れ流しが当たり前。風や雨が風化

してくれるものである。 だが現代はそんな主張をしようものなら、たちまちに変質者あつかいは

必定である。 犬を飼う人間の最低のマナーである、なんて言われると反発したくなるのだが。

けれども・・・・ふと気づくと、柴犬と遊んでいる自分がいる。 かって父が飼っていた犬小屋を

庭の奥から引っ張り出して、補修しているボク。 それとも家のなかで飼おうか? 

    

なんとも馬鹿な悩みを楽しんでいる。 あまつさえ、図書館に行っては 「仔犬の図鑑」 だの

「柴犬との生活」 だの借り出しているボクである。 あぁ・・・柴犬がほしい。

名前だけは初めから決まっている。 「エス」・・・・・。 

             ふるゆきやかいいぬとおくなりにけり

エスよ、毎日湖畔の公園で転げまわって遊ぼうネ。 君の成長とともにボクの体力も伸ばして

ゆかなければ。 さて・・・はて・・・いやはや・・・なんとも・・・柴犬を夢にみる今日この頃である。

 

 


もうひとりの、時次郎

2014年02月08日 | 詩歌・歳時記

毎日曜日の夜7時は 「市川雷蔵」 アワーである。 眠り狂四郎シリーズから陸軍中野学校、

若親分シリーズ・・・雷蔵の全仕事というものも実に巾の広い、味なものである。

今夜は長谷川伸原作の 「沓掛の時次郎」。 以前に東映の映画、 中村錦之助と大川橋蔵の

それぞれの時次郎のお話しをさせていただきました。

                

                 盆梅のかげやわらかき障子かな

お絹さん役は、錦ちゃんの池内淳子、 トミーの山本陽子、 雷蔵には新珠三千代である。

同じ原作でも脚本・監督が違えば、 ストーリーは微妙に違ってくる。 とくに今夜の雷蔵の

時次郎はまったく新しい映画を観るようではあるが、 こみ上げ流す涙の総量は同じである。

そして第4の時次郎ってのがいて、 こいつ 「あんかけの時次郎」 って見かけ倒しの旅人で

今は剣客商売に勤しんでいる、秋山小兵衛に扮している藤田まことなんですね。

    

              

それはともかく、雷蔵の「時次郎」も見せ場たっぷり、面白くはあったけれども・・・・東映の作品と

比べると大映の映画は、ドライというのか? 叙事詩的というのか・・・・ボクの肌感覚とは合わない

のだ。 こころの奥深くで悩ましく苦悩する、錦兄やトミーの安っぽいけど人間的な煩悩が、

そのチャンバラと相まって、ボクを刺激するのだ。

              かみしめて佳き土の香よふきのとう

今更に五社協定などという、馬鹿な決め事が口惜しい。 東映と大映のオール・スターでの

「忠臣蔵」なぞというものを観てみたいものだ。 キャストをあれこれ想像するだけで、血湧き

肉踊りませんか? 大石を千恵蔵か長谷川一夫か? 浅野の殿様は橋蔵に決まりとして、

堀部安兵衛は勝新でしょうね。 錦兄はいっそ江戸っ子の代表として畳職の親方をふりませう。

ふっふふ・・・・究極のキャスティング・・・・吉良のじじいを雷蔵にお頼みいたしやしょう。

 

 


女優・山田五十鈴の凄さ

2014年02月02日 | 詩歌・歳時記

 

今夜はBSで 「鬼平犯科帳」 の ゛正月4日の客゛ を偶然に初めて観ることを得た。

この作品は正確に言うと、鬼平シリーズとは関係なくて、 角川文庫の「にっぽん怪盗伝」 の

なかの12編の短編の一作である。 去年、 時代劇専門チャンネルがいくつかの「鬼平・外伝」

を制作したなかの一作に、このお話が取り上げられていた。

松平健が盗賊のお頭を演じたこちらの方が、原作に忠実であった。

         短歌の夢俳句のゆめや雪しきり

ところが、鬼平では死んだのはおかみではなく亭主であり、そのおかみ役が山田五十鈴なのだ。

五十鈴さんが登場するとたん、40インチの画面が30インチに縮小するような緊迫をおぼえる。

圧倒的なその存在感に、吉右衛門の鬼の平さんも形無しであることだ。

         雪片に大小ありてふりつづく

それにしても原作の設定をころっと変えてしまった、この脚本にはまったく恐れ入り屋の

鬼子母神ってやつで、 それもこれも大女優・五十鈴さんのオーラのたまものであろう。

さっき、PCで 「山田五十鈴」 を検索してさ・・・・大阪の生まれ・・・・な、ナント誕生日が

2月5日ではおまへんか? ワタイの敬愛するモーヤン・・・・・西郷さんとおんなじでっせ?!!

このドラマを貫く 「真田そば」 というものは、 ねずみ大根というとにかく辛い大根を摩り下ろした

ものを薬味にして喰うのだが、 それは我らが伊吹山麓の名産・・・「伊吹大根」 でもあるのだ。

と、言ってもね。 それらは日本の貧困の証しなんだよね。

信州・上田の 「刀屋」 のそばを・・・夢にみます。