60歳を越えた頃からボクの涙腺が際限もなく緩んでしまったようだ。
今夜からCSの 「時代劇専門チャンネル」 で、西郷さんの 「風鈴捕り物帳」 が始まった。
1978年ということは西郷さん31歳である。 その頃ボクは写植・デザインの事務所に命がけで
妻子との実生活よりも仕事第一で励んでいた。 当然のようにいくら愛する西郷さんであっても、
テレビ・ドラマをリアル・タイムで観たことはなかったのである。
銀閣寺
石森章太郎の漫画が原作であり、 ドラマは荒唐無稽!! 苦笑しか浮かばないけれど、脇が凄い。
伊賀忍者・服部半蔵がバンジュンである。あっ、若いおひとがお読みでしょうか? 原作・水上勉、
三国連太郎、高倉健の 「飢餓海峡」 の老練な刑事を演じた、伴淳三郎です。「アジャ・パー」
なるギャグで一世を風靡した名優でごじゃりまする。
1回目を観て、西郷さんはなんて幸せな役者人生を始めたのか? とつくづくと思いました。
彼の役はおかっ引ですが、時の奉行役が里見浩太郎であり、その先輩が片岡知恵蔵なんです。
そしてドラマの冒頭のシーンで、 半蔵の娘の水沢アキが風の新吉の長屋で一夜を過ごす時、
西郷さんが部屋の真ん中に十手に結んだ紐を投げましてね、 その紐に着物や敷布を掛けて、
これはクラーク・ゲイブルとC・コルベールの 「或る夜の出来事」 のジェリコの壁のパロディー
なんですね。 笑っちゃいました。 このテレビ・ドラマが放映されていた時、ボクは29歳でした。
その連続ドラマを35年のあとに平日の夜7時から毎日観る事ができる!!
長く生きているのもまんざらではございませんね。 あとは 「どてらい奴」 を観て・・・・観て・・・・
そして、死にたいものでございます。
そして 「ホーム・ドラマ チャンネル」 で、 「新幹線公安官」「ジグザグ・ブルース」 なんかも
観てみたいものだ。 ボクの青春が戻ってきそうな、 西郷さんの凛とした立ち姿である。
当分のあいだは、 夜7時からは熱い涙を流せるだろう。 その涙の海に溺れ死ぬことができれば
本望であることだ。