湖の子守唄

琵琶湖・湖北での生活、四季おりおりの
風景の移り変わり、旅先でのふれ逢いなど、
つれづれなるままに、語りたい。

木の実ナナちゃん

2014年09月27日 | 詩歌・歳時記

たった1巻のカセット・テープを大切に時々聴いている。「木の実ナナ全曲集」。全20曲のなかで

ヒット曲って、2、3曲であろうか? 「居酒屋」「おまえさん」くらいであろう。

世に知られていないほかの数々の歌が抜群に素晴らしいのである。

江戸前の下町の跳ねっ返り娘の、悪ぶっていながらも純情ぶりの哀しみ、切なさに胸が熱くなる。

ナナちゃんを初めて気にとめたのは、映画「男はつらいよ」の踊り子の演技だったろうか?

びっしょり汗に濡れながらも、夢にひとすじ生きるさっぱりとした、きっと彼女自身の等身大の、

演じる必要もない女優ぶりだったと思うのである。

          コスモスや風にさきがけ揺れそむる                    

歌謡界において、とくにポップスの分野で抜群の力量を秘めた木の実ナナの座る椅子がないの

である。黛ジュンしかり、西郷さんしかり~この国って歌への包容力って最低だ。


むかし「女の道」なんてヘドがでそうなド演歌がヒットして日本をいったんはあきらめました。


ナナちゃんやジュン、金子ゆかりの歌などが浮かび上がらねば、この国は「歌の墓場」となるであ

ろう。 西郷輝彦と舟木一夫が・・・日本の歌謡をぞくっとくつ返して、革新と伝統の旗手になる!!

そう想い、念じてきましたが、 日本人の馬鹿だれどもにアイソウついたね。

今夜もどこぞのカラオケ・ルームで、ど演歌をうなってるおっちゃん!!  あんたこそが日本を

壊してる容疑者だぜ。 巨泉さんが日本を捨てた、故なるべかな。

木の実ナナの歌が、日常とならない日本は衰退の一途でしょう。

 


 


ドーナツ盤よ、ありがとう。

2014年09月12日 | 詩歌・歳時記

伊藤久夫の「山のけむり」のシングル盤を見つけ出すのに、随分てまどってしまった。

東京時代にはこうではなかった。

幅広い本棚の3段に、四種類に分類していたのだ。

即ち、先ずは西郷輝彦をデビュー順から並べて、次は舟木、ジュン、ビートルズなどの20数枚を

持っているレコード盤。

3つ目は特に愛した歌手ではなくって、

この1枚って歌である。ちなみに言うと「酔いどれ」浜圭介、「恋しくて」仲宗根美樹、

「白馬のルンナ」内藤洋子、「泣かないで僕の恋人」市川染五郎の歌たちである。

そして4番目がその他のシングル盤なんだ。そして、レコード盤の配置はすべてアタマに入って

いたのだ。「潮風を待つ少女」安達明を聴きたくなったならば~すぐにこの指が真っ先に探り当て

たものだ。

けれども今は無茶苦茶である。

だいたいが、西郷さんのレコードを探すのにも時間がかかる体たらくである。

ボクの血液型はA型からO型へ突然変異してしまつたみたいである。

          えごの花

          咲きそむゆうべ

          かなしみは誰に等しく訪ふるもの

今の世はcd、dvd全盛である。 「ドーナツ盤」 なる言葉も私が死ぬときには、もはや死語だろう。

けれども、直径17センチのうすっぺらなシングル・レコード盤に賭けたこの想いはまったく重いの

である。 青春・中年・老年・・・・いつの日にも寄り添ってくれたボクのドーナツ盤に、いまさらに

ありがとう!!

           湧水は湖をめざすか百日紅




 


山のけむり・・・・

2014年09月07日 | 詩歌・歳時記

このブログのある回で、いじめ問題を取り上げたさい、今の教師にろくなのがいないと書いて、

元美術教師だったひとの逆鱗にふれてしまった。

ボクはしみじみと思い出す。小学校6年生の国語の時間だ。

先生はいきなり歌い出す。`


♪山のけむりの ほのぼのと
 たゆとう森よ あの道よ
 幾とせ消えて 流れゆく
 想い出の あぁ夢のひとすじ
 遠く静かに ゆれている


堂々たるバリトンの歌声が昨日のようによみがえる。黒板にひらがなばかりで三番までの

歌詞を書き、「さぁ、お前ら!この詩を出来るだけ、漢字で書いてみろ」

さて、当時のボクがどの程度書けたかは覚えてはいないが、

先生の愛情とそれからのボクの作詞家への夢の旅たちに、貴重な授業であったことは確かな

真実ではある。


            月煌々いのちの果てはありにけり


とくにボクが好きなのは二番の歌詞である。


♪谷の真清水 汲みおうて
  微笑みかわし 摘んだ花
  山鳩の声 聴きながら
  ゆきずりの あぁ君と共に
  降りた峠の はろけさよ

            シャツひとり干してひとりの月明かり


           庭の草とびとび抜いて良夜かな


絵画に生きるとの思いに、知る知らず詩歌が色濃く寄り添い始めた1日の授業であったことで

ある。   

  

 


されど、サンスポ !!

2014年09月04日 | 詩歌・歳時記

               

昨日留守中に佐川の不在票がポストに入っていた。 差出人は 「サンケイ・スポーツ」 である。

しめた !!  野球のバットが手に入った・・・・それと言うのも、死んだ母のレター・ボックスを整理し

ていて、50円のはがきと1円の切手・・・肖像画は明治時代に郵便制度を制定した 「前島密」・・・

まえじま ひそか・・・であります。

ま、それはともかくそのはがきと切手で、サンスポの懸賞に3通応募したのである。

          わが窓の

          朝顔たちは健気さく

          夏のあらしにあるじ死すとも

阪神の助っ人、ゴメスがホームランを打つと、1本につきバットを1本提供してくれるのだ。

住所・氏名・・・その他必要事項を書いてさ、はがき全面にカラフルなマーカーで 「ほしい!!」

そしてサンスポへの感想・要望を、とにかく目立つように書くのである。

次はホークスのイケメン・ショート、 今宮健太選手のサイン・ボール。 

そして武 豊のダービー馬・キズナのキャップである。

          息子より孫の写メールきて晩夏

結局、届いたのは 「サイン・ボール」 であった。 バットのはがきには 「60代の体力を50代

に戻すために・・・バットをお願い!!」 と切実に書いたのになぁー。

関西の 「サンスポ」 は、 阪神タイガース御用達のまったく酷すぎる紙面ではある。

けれど東京時代からの愛読紙である。 他のスポーツ紙との違いは歴然である。 そのセンスの

好さ! 切れ! 若さ!  昔むかし、巨泉さんが熱い筆をふるった競馬欄が忘れられないのである。

           遠雷や死を待つ身にもときめきが

     

せっかく手に入れた今宮健太のサインは、サイトを覗いたら・・・プリントだった。 税抜き980

円也。 世の中、そんなに甘くはないわなぇー。       


伊吹「薬草の湯」

2014年09月01日 | 詩歌・歳時記

湖北に暮らす者にとって、伊吹山は母なるびわ湖とともに、父とも云える存在であろうか? 日本蕎麦の発祥の地とか?
はたまた、かの織田信長がわが国初の薬草園を拓いた?とかの古い言い伝えに彩られてはいるが、まぁ~眉に唾もんでしょう。

                                    
                    早稲晩稲いろを違へて実りけり


その伊吹の山麓に「薬草の湯」はある。
券売機に500円玉を投じようとして、初顔の男性職員から言われた。「米原市民なら400円ですよ」なに?何!初めて知ったよ。よく見れば右すみに、そのボタンがあった。「えっ~以前からかい?」うなずく男性。今まではキツネ顔の女性が、そんなことはおくびにも出さず、チケットを受け取っていたのだった。


                   舎那院の枯れても紫陽花たりしかな


昼を随分過ぎたころ。薬草がつまった木綿の袋を絞っても、薄茶色の湯がこぼれるだけだ。つまりはお湯は薬草のエキスをたっぷりと宿し、伸ばす身体を浸してくれる。


                  秋風や円空仏の鉈のあと


日本の佳さはこれなのである。すぐさまに肉体に効用などを期待しない。穏やかにゆるやかに~「危険ドラッグ」とは対極の「癒しの葉っぱ」であることだ。
という事は、今、安倍なにがしが早急に進めている「集団的自衛権」などというものは、この国とは到底相いれぬ邪悪の
案件といえよう。


                 城歩き疲れにたぐるいぶき蕎麦


せっかくの薬草の湯を楽しみながら、生臭い政治の話にまでこころ悩ませる、この国ではある。