戦後まもなく、中世史家の松本新八郎という人が、
この山本義経こそが、平泉からひそかに上京した、若き日の九郎義経である、との
大胆な仮説を発表して、学会に波紋を巻き起こしたそうである。
いにしへを恋ふらむ鳥よ
山鳩の
湖北に鳴けば花は散るらん
だが、そう考えると義経についての数々の疑念が、解きほぎされることも事実なのだ。
例えば、山国育ちであるはずの義経の、瀬戸内海での海戦の見事さ。
宇治川では、木曾義仲を敗り、一の谷の奇襲などは、ゲリラ戦術に長けていなければ、
とうてい叶わないはずだ。
同一人物説が間違いであっても、史上に現れる以前に、義経は
この湖北の山本城に身を寄せ、琵琶湖を教材に、山本義経から戦術の特訓を受け、、
伊吹の峰に明日を夢見る、多感な少年時代をすごしたと想像すると、妙に楽しくなってくる。
近江野は小谷かくして走り梅雨
デジカメを取り出す間なし鴨わたり
湖岸をさらに北西に回りこんだ所には、京からの逃走中に隠れ潜んだと伝わる
岩穴がある。この悲劇の若武者が、湖北とのかくも深い関わりがあった、と知るとき、
詩心、歌心、おおいに掻きたてられるというものだ。
余呉川の河口にのぼってくる、小鮎のなかに、時々、背中に二筋、三筋の
紅色の糸を散らせた鮎が、見つかるそうだ。
静への熱い想いがのり移った、九郎どのの紅の吐心であろうか。
この山本義経こそが、平泉からひそかに上京した、若き日の九郎義経である、との
大胆な仮説を発表して、学会に波紋を巻き起こしたそうである。
いにしへを恋ふらむ鳥よ
山鳩の
湖北に鳴けば花は散るらん
だが、そう考えると義経についての数々の疑念が、解きほぎされることも事実なのだ。
例えば、山国育ちであるはずの義経の、瀬戸内海での海戦の見事さ。
宇治川では、木曾義仲を敗り、一の谷の奇襲などは、ゲリラ戦術に長けていなければ、
とうてい叶わないはずだ。
同一人物説が間違いであっても、史上に現れる以前に、義経は
この湖北の山本城に身を寄せ、琵琶湖を教材に、山本義経から戦術の特訓を受け、、
伊吹の峰に明日を夢見る、多感な少年時代をすごしたと想像すると、妙に楽しくなってくる。
近江野は小谷かくして走り梅雨
デジカメを取り出す間なし鴨わたり
湖岸をさらに北西に回りこんだ所には、京からの逃走中に隠れ潜んだと伝わる
岩穴がある。この悲劇の若武者が、湖北とのかくも深い関わりがあった、と知るとき、
詩心、歌心、おおいに掻きたてられるというものだ。
余呉川の河口にのぼってくる、小鮎のなかに、時々、背中に二筋、三筋の
紅色の糸を散らせた鮎が、見つかるそうだ。
静への熱い想いがのり移った、九郎どのの紅の吐心であろうか。