やれこら やれこら 昨日も今日も

自分だけはと力んでみても,膝はガクガク,息ハアハア。会話は「アレ,ソレ」そして「やれこら」。鍛えるべきは皮肉とジョーク。

おじいさん,来たけえな

2015-03-22 07:38:19 | 今日のやれこら
「ゴーン,ゴーン」
町内のお寺から,鐘の音が聞こえてきます。
お寺の裏山には,山裾に沿って,数千の墓が並んでいます。

“今日は,春分の日,彼岸の中日です”
ということで,ご先祖様の墓参りをしてきました。

「おじいさん,来たけえな」
墓の間から,声がします。
声の主は,おばあさんでした,かなり昔の女子です。
小道を挟んだ斜め上の「・・家」と書いてある墓の前にしゃがんでいます。
両手を使えるようにでしょう,リュックサックを背負っています。

「久しぶりじゃなぁ,おじいさん!」
「好きじゃった酒と,美味しいお菓子を持ってきてあげたけえな」
おばあさんは墓の前で手を合わせながら,そう言ってます。
そして,リュックからコップ酒と四角い箱の様なものを取り出し,お墓に供えます。
供えながら「南無・・・・・」と拝みます。

「おじいさん,もう飲んだ? 菓子も食べた?」
「もう帰るけぇな,これ持って帰るでぇ,又,来るけぇな」
そう言いながら,コップ酒と菓子をリュックにしまいます。
「ようまいんなさったなぁ,お先に」と声を掛けて,墓を後にします。

おばあさんが,折角のお供え物を持って帰るのには,訳が有ります。
数を増したカラスの所為です。
墓に食べ物を供えたままにすると,カラスが食べ散らかしてしまいます。
時に,花立の花さえ悪戯して散らかしていることが有ります。

“あらら,ここも掘られて,これじゃ墓がひっくり返るがなぁ”
イノシシが,墓の崖を掘り返すんです。
餌のミミズを,捜すためのようです。

子どもの頃には,盆に,正月に,お彼岸に,墓地はにぎわっていたんです。
お墓参りの人も,少なくなりました。
山裾の墓地は,野生が闊歩する時代になってしまいました。


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