論理の芸術 湯川博士&門脇芳雄 『秘伝 将棋無双 詰将棋の聖典「詰むや詰まざるや」に挑戦!』 その3

2021年10月09日 | 詰将棋・実戦詰将棋

 前回に続いて、『秘伝 将棋無双』(湯川博士著 門脇芳雄監修)について。

 江戸時代の名人である三代伊藤宗看の創った百題の詰将棋集『将棋無双』。

 先日は、「歩の不成」という、実戦ではまずあらわれることのない、おそろしい詰将棋の手筋を紹介したが(→こちら)、「将棋無双」にはもうひとつ、スゴイ問題もあったのだ。

 

 

 

 

 将棋無双の第11番

 初手▲83歩成と王手すると、△71玉、▲72銀、△62玉、▲63歩打ち歩詰め

 

 

 

 

 そこでまず、初手に▲83歩不成」とする。

 

 

 

 出ました、またも不成

 ここでまず悲鳴だが、こちらも前回の問題で、少々免疫もできている。

 「ま、伊藤チャンやったら、これくらいはナ」

 なんて、平静を装っているが、次の第2波で泡を吹くことになる。

 ▲83歩不成、△71玉、▲72銀、△同玉に▲82歩不成(!)。

 

 

 

 なんと、まさかの2連チャン。

 歩をと金にしないだけでも、常人の感覚では違和感ありまくりなのに、なんと、その成らずで突いた歩を、もう一度「▲82歩不成」として王手するのだ。

 連続歩の不成!

 もちろんのこと、この一見ありえない手順は、必然でこれ以外では絶対に王様は詰まないという、唯一無二の正解なのだ。

 えええええええ!!!!!!

 こんなこと、ありえるのお?

 いやこれが、ありえるんスッよ。

 歩の不成2連発が、これしかない、まさに正義の2手なのだ。

 なんちゅう手なのか、もう無茶苦茶だよ。

 以下、△62玉、▲63歩、△同玉、▲45角、△同桂、▲54銀、△62玉、▲63歩△71玉▲81歩成、△同玉、▲86香、△同飛、▲72金、△92玉、▲83銀、△同飛、▲同角成、△同玉、▲82飛、△94玉、▲95歩、△同玉、▲96金、△同玉、▲86飛成まで。

 

 

 

 さきの歩不成のところ、ふつうに▲82歩成にしてしまうと、正解と同じように追ったとき、▲63歩打ち歩詰になる。

 

 

 

 どっこい、ここを不成にしておけば、▲63歩△71玉と逃げる余地があって、そこで▲81歩成と、今度は成って行けば詰む仕掛け。

 

 

 


 これには頭はクラクラ。めまいがしそう。

 すごいなあ、ようそんな発想が出ますわ。

 あと、さりげないんですが、前回の

 「▲94竜、△同玉、▲84金

 とか、今回の

 「▲96金、△同玉、▲86竜

 なんて、収束の形も綺麗で、そこもほっこりする。 

 今さらながらであるが、これ江戸時代の作品なんです。すげえッスわ。

 

 (「神局」編に続く→こちら

 

 


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