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地方分権は江戸・明治初期からの課題

2019-01-03 07:52:41 | 歴史から学ぶ

@江戸は世界でも有数な大都市(百万人超)となった。 それは幕政の武家社会に地方からの人口移住が商売を含め盛んになったからである。徳川御三家の水戸藩も例外ではなく江戸に2500名以上の家臣を配置する事になり、水戸藩主徳川斉昭の政策は財政赤字への対策と地方分権も視野に入れた対策を施工していたとある。現代東京都の予算は14兆円を超え、東京都の人口は14百万人(国家予算・人口比=13%・11%)、東京圏は日本全体の人口比ではなんと3分の1となる。2016年にはスウエーデンと同等の予算を持った東京は異常な拡大を続けているのだ。 だから2020年の東京オリンピック予算はこういった背景にあり「使い放題・予算はいつまでの概算・無法化」していると思わざるを得ない。果たして17日間の会期中、投資した以上の見返りはあるのだろうか。諸外国からの選手総数は1万人〜1万5千人、全て選手村に宿泊。開会式で収容できる人数は仮設も入れて10万人との事。 諸外国からの訪問者はどうだろうか。リオ・ロンドンでも数十万人との報告だが、物理的に建物の許容人数から言ってもどれも不可解な数字であり、オリンピック協会の正式な参加者・数値は無い。 それを思うと185日間「2025年万博」には期待したいところである。大阪の予測では来場者2千8百万人、2兆円の効果。 さてどちらが効果的な投資だといえるだろうか。 地方への分権を考慮した政策を今実地しなければ地方は悉く破綻するかもしれない。 本社機能を持った企業を地方へ、法人税を軽減し、Uターンを狙った労働力・数を増やし、街の活性化を図ることはできないだろうか。(働き方改革とはこんな大胆なことをしなければ無理かも)

『 尊皇攘夷の旗』童門冬二

  • 現代社会に酷似した江戸幕末期。軍備増強、攘夷排除、自派権力拡大。巨大な財政赤字に果敢に挑戦し、尊皇思想と攘夷を改革のバネとした烈公徳川斉昭の権威と東胡の思想。現代社会を見直す異色の人間関係研究書。水戸藩主徳川斉昭とその参謀藤田東湖の人間関係を「社長と総務部長」の現代に照らした書物である。「美しく咲き続ける。そして美しく散っていく」(美しい理念の花)=「理念追求」と「現実対応」
  • 徳川斉昭と藤田東湖は「阿吽の呼吸」の仲だった。が、終盤微妙な考えのズレ(反対派の採用による幕府内部告発=神仏分離・武備)で蟄居となる)で距離を置く事になる。
  • 2代目徳川光圀の後継で血統か能力か、で選ばれたのが血統であり、それを選んだのは光圀の大日本史編纂(財政赤字の肝)を見直しさせる改革派となった。だが、斉昭は藤田東湖を重用し改革し始める。
  • 徳川光圀の「黄門漫遊記」は黄門が諸国を歩いたという事実は全くなく副将軍として江戸城にいることが条件であった。よって漫遊記は大日本史の編集に指揮をとった佐々助三郎、と安積覚淡泊の諸国探訪となっている。
  • 藤田幽谷(藤田東湖の父)「学問は今生きている人間に役に立たなければ意味がない」と言った実学者だった。
  • 徳川斉昭の改革
  •             藤田東湖の奸臣の排除に対して、報復人事だと批判を避ける
  •             1、自分の藩主就任に反対した連中の処分
  •             2、財政悪化を招いた責任者を処分
  •             3、やる気のある忠臣の登用
  •             だが、最初に処分したのは自分を推奨した藤田東湖(江戸に無許可で南上=法を無視した行動)に処分を言い渡した。その後私利私欲で賄賂等含め財政悪化を招いた人材(江戸家老等)を処分した。 その後有能者(藤田東湖の弟子等、門下生)を多く採用させ、藤田東湖には郡奉行をさせた。多くは机上の学問学者で農民・民衆の現場の声を聞き実践させることであった。特に常陸太田は元佐竹一族(奥州)の領地で徳川家に対して恨みを持った民が多く、東胡には最初に解決策を探らせた。結果的に「常平倉」(災害に備える倉)を作り洪水での農民の心を掴んだ。
  •             4、「藩諭」(社則)を作らせ社員の心得(5か条)で統一
  •                         文武両道を奨励
  •                         奢侈を戒め節約すること
  •                         美衣美食を廃する
  •                         土木治水を怠らず、殖産産業を盛り上げる
  •                         民を憐れみ、窮民を施し、善事篤行者を嘉賞する
  •             忠臣の部署をオーバーラップさせ他からも干渉させた
  •                         縦と横割を少なくして仕事を公開「総務部門」を創設し統括、人事権を藩主人りにした
  •             江戸に藩主室(統合参謀室・社長室)を設け財政を調べさせると、江戸家臣の浪費が目立ち削減、2500名近くいた江戸家臣の1割を水戸に戻し経費の削減をしたが、大日本史の編纂を継続させた。
  • 15年に渡る改革の具体策
  •             質素倹約 寄り合いの酒禁止
  •             武備の充実 和魂洋芸・外国科学の導入
  •             教育の重視 弘道館5万4千坪・村単位の学校設立
  •             行楽施設の建設 偕楽園(後楽園は光圀)住民一般公開
  •             財政再建策 江戸家臣の削減・禄高制の改正
  •             殖産興業の奨励 紙・ガラス・鏡・茶・漆・桑・楮・麻・蜜蜂
  •             農村対策 間引き禁止(妊婦の届出)・育児手当・分家補助金
  •             社寺の改革 神仏分離
  •             上記を実施するため諫言機能を設け具体的に戦略を立てた
  •             中国太宗の「貞観政要」(水と船の例え・武士と農民)
  •                         改革では「創業の原点に戻る」理念で納得させる
  • 藤田東湖の8年間の蟄居後、訪れた人々
  •             佐久間象山・鍋島直政・横井小楠・川路聖謨・岩瀬忠震・吉田東洋・山内容堂・橋本左内・西郷隆盛・有村俊斎などである(明治維新の噴火口は水戸にあった、だが藩内部の闘争で明治維新の中核には人物がいない)
  • 「地方分権」一極集中の東京には人も金持ち集まる、地方への分権は法人の拠点(本社)で決まる
  • 「結果ではなく同期と過程」の重要性
  • 「人間は厳しい条件のもとでの方が、いい仕事ができる」

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