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ちょっと気になるいい事、言葉、最新技術

書籍、映画、旅、最新技術から選んだ心に残るもの。速読者向けは、青文字表示。内容は小学生でも理解できる表現使用

人は愛情に飢えている『生者たちのゲーム』

2020-12-27 07:55:12 | ミステリー小説から見えるもの
「人は愛情に飢えている」、その愛情好意を一方的に無視される事は感情が抑えれなくなり、「嫉妬」が逆鱗に変わるのは恐ろしい。人は感情を如何に抑えれるのか、で人の価値も変わってくるかもしれない。その現状は「我慢する」という言葉は、現代はあまり言わなくなったがその分「わがまま」も増えてしまった原因かもしれない。中途半端な自粛が長く続けば続くほど外に出たいと反発するのも理解できるが、異変種感染となると昔のような一気に大量な感染死のような恐怖に襲われるかも知れない。
『生者たちのゲーム』パトリシア・ハイスミス
魅力的な一人の女性に3人の男が好意を持ち、三角・四角関係が「嫉妬」で殺害事件に発展するというミステリー小説だ。3人のうち一人は既婚者、2人は独身で金持ちと貧乏人。
・女性はレイプされ、顔を切り裂かれ無惨な姿となった。いつも一緒にいたとされる独身の2人が疑われ、特に貧乏人の男は正確的にも短気で癇癪持ちだったことで容疑者となる。その貧乏人の男は警察の拷問で殺害を告白するが、どうも事実と違うことで釈放される。
・小説は貧乏人の宗教に対する考え方から精神的な感情で告白するが金持ちの友達はそれを信じないで真犯人を追及していく。
真犯人は女性の一言で逆上、それは本人の愛情の気持ちを全く無視した言葉だったのだ。

探偵の目の付け所『シャーロックホームズの智慧』

2020-12-25 07:53:55 | ミステリー小説から見えるもの
シャーロック・ホームズの探偵基本を探ると1、事件で偶然のモノ事と必然のモノ事を判別する 2、先入観を持って事を構えない事とある。 事件等を解決するコツはさらに現場を徹底調査し、関係者を詰問、周りの人々への聞き込み、証拠品等を確認し、それぞれの関係を結びつけることだろうか。日本の探偵の相場は内容、日数、人数にもよるがここに参考がある。@¥5万〜¥90万
日本の場合も「浮気調査」が多いとか。今年は自宅自粛だから激減するかも。
『シャーロック・ホームズの智慧』コナン・ドイル
8つの短編ミステリ事件の解決を物語る
・「技師の親指」
    掘削機(圧縮)の秘密の修理を頼まれた修理技師が金で罠にかけられ命拾いをする
    (糸口)拠点場所を隠すために技師を馬車で回って時間を稼いでいた事
・「縁柱石の宝冠」
    宝冠を盗まれた時に親は息子を疑った
    (糸口)外から犯人を導いた取り合った兄娘と息子の悪仲間(犯人)の恋仲
・「ライゲートの大地主」
    隣同士で揉め度とに忍び込みを見られた矢取られ他人を殺害する
    (糸口)殺された人が奪った紙切れの筆跡と目撃したという嘘証言
・「ノーウッドの建築士」
    資産家の男が焼死殺害される 遺言書等を嗜めて昔の許嫁の息子を犯人し仕立てた
    (糸口)家の構造が歪でそこに資産家の男が隠れていた 昔の許嫁に結婚を断られた事を根に持っていつか仕返しを企んでいた そこで息子を呼び出し犯人証拠を作り出した
・「3人の学生」
    机の上に置いた重要な試験問題が盗まれた。試験問題を盗んだのは近くに住む学生3人?
    (糸口)外から高い窓越しに見ることができたスポーツする学生が犯人
・「スリー・クオターの失踪」
    スポーツの主力選手が行方不明となり探索する その影にはケチな遺産相続人がいた
    (糸口)主力選手の恋人が瀕死の状態になり本人には知らせないようにしていたが本人が見舞いに来て試合に敗れる ケチな遺産相続者は探索に一切費用を出さないとでしゃばった。
・「ショスコム荘」
    病魔に襲われた妹への遺産相続を隠し続け、借金を競馬の本命を狙う
    (糸口)妹の死を隠し続けることで遺産相続を継続させ、競馬に全借金をかけさせた
・「隠居絵具屋」
    一財産を稼いだ男が隠居し、相当離れた若い娘を妻にすると妻と友人の息子が若い妻と財産を持って逃亡する
    (糸口)隠居した男の自作自演の陰謀を暴く。男の嫉妬から住む魔れた品を再確認



使わない銀行口座を悪用『捌き屋』

2020-12-24 07:43:17 | ミステリー小説から見えるもの
人は金(欲)に弱い。企業内部の争いから競合相手への情報漏洩を犯す。特に金と権力を持ったものの力は計り知れない。この小説ではやはり利権を得るためにどこの誰(企業)を利用した方が得なのかを考え、それに従って金を拠出する企業を狙い、最後に個人的な利益を得ることを狙っていた。餅屋は餅屋としての力量を見せつけるが、そこにはどうしても金と権力には対抗できない。 そんな中、捌き屋は依頼主に従い調査し、一旦破棄された発注案件を復活させる、その解決への糸口は他人の口座を利用した賄賂送金が明るみに出たことだった。自分の使わなくなった口座は自分で処理しておくことを肝に銘じておきたい。
『捌き屋』浜田文人
企業交渉人・鶴谷康に舞い込んだ依頼は、横浜市で持ち上がったカジノ(IR)誘 致事業への参画を突如取り消されたアミュー ズメント会社の権利回復
・情報捜査の焦点
  取り消しされた理由の追求、だがそれは交差する社内幹部による機密情報の漏洩だと分かった。では機密情報が如何に漏れたのか、誰が持ち出したのか、その背景で利益を得るものは誰なのかなど情報捜査の焦点を絞る。現代は更にITを駆逐して操作できる点は思った以上のスピード感と情報が収集できる。それはさまざまな解析が容易にできること、例えばGPS、監視・防犯カメラ、通話履歴、銀行口座の動きなどのデータ解析は事件解決に有効な手段だ。
・人間関係(個人情報・証拠の情報源)
    関係者の職業、地位、役職、役割等を知り、その人との繋がり、交友関係を掘り出す
・賄賂等の接待場所の確認
    ゴルフ場、ホテル、バー、スナック、それに重要なのがホステスなどの交友関係
・証拠隠しの手口
    他人の銀行口座を利用して賄賂を入金送金する(通帳・カードを保有する)

遺産相続が招く誤解『マローン御難』

2020-12-13 08:03:17 | ミステリー小説から見えるもの
遺産相続における事件事故の多くは日頃平穏な家族程支離滅裂な家族分裂を引き起こす。何を信じ、何を疑うのか。現実、実際の遺言書通りにはならないと言う。 法的な自書遺言書はA4サイズ、題目以外は全て自書で、推定相続人以外に対する用語は「相続する」ではなく「遺贈する」、署名と押印+作成日、必須となる 法務省のサイトhttp://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00057.html
『マローン御難』クレイグ・ライス
「概要」馴染みのバーで酒を奢られながら弁護士マローンは不安を予感した。その夜、マローンが自分の事務所で出くわしたのは依頼人の男の死体だった。しかも、その男の誘拐されていたはずの娘が、何故かマローンの元にやってきていっこうに自宅に帰ろうとしない。これでは殺人と誘拐、二重の容疑で逮捕されてしまう、マローン最大の危機をユーモアたっぷりに描く本格推理。
・依頼人であり殺された男は富裕な資産家でありいつも遺言書を持ち歩いていた。妻は過去2人の夫を亡くした連れ子2人、それに甥と姪が家族として暮らしていた。
家族の誰もが遺産相続に興味を持っており、また周辺も興味を持っていたところに殺人事件と誘拐事件が重なり発生する。その誘拐事件は連れ子の偽装の誘拐として家族が仕掛けたが、途中から家族の一人が身代金を請求するという事件になる。
・弁護士のマローンはその殺害された依頼者、殺人現場はマローンの事務所、その殺人犯として疑われ、誘拐事件もその後家族が連れ子がマローンに引き渡したことで誘拐犯として疑いを持たれることになる。
・その後依頼者の運転手が同じ手口で殺害され、事件解決が複雑化する。さらに、容疑者が賄賂で操れた犯罪人として「正当防衛」だと主張することがこの事件を複雑化させた。
誤解があったのは遺言にあった資産分配(法的分配と遺言書内容)、と日頃から懸念を抱いていた友人の裏切りだった。

原子力反対、再生可能エネルギー賛成、但し自分の家の前には再生可能施設反対『穢れた風』

2020-11-30 08:08:00 | ミステリー小説から見えるもの
日本での森友学園問題がまさにこの小説と類似しており、いずれにせよ金による賄賂は給与の安い官僚・研究所は弱く、公文書を改竄、建設許可証発行(販売価格の減額)する、のは似ている。文中にある言葉「誰もが再生可能エネルギーに賛成し、原子力に反対している。しかし、自分の玄関先にはウインドウパーク(風力発電所)やバイオマス(動植物を利用した資源開発)を欲しがらない。正に住民の迷惑顧みずの関係者だけのエゴで事は行われているのが現状だろう。
『穢れた風』ネレ・ノイハウス
「概要」風力発電施設建設会社のビルの中で、夜警の死体が見つかった。ビルには何者かが不法侵入した形跡が。奇妙なことに、社長室の机の上になぜかハムスターの死骸が残されていた。一体何を意味しているのか? 風力発電の利権にからむ容疑者が次々と浮かびあがり、さらに第二の殺人が。
・再生可能エネルギーにかかわる国家的犯罪、この小説は温暖化現象のデータを改竄し、住民を味方に抱き込み、風力発電所の建設許可を賄賂で取得、だが、地主が納得しない。その為スパイを送り込み陰謀を図る。
・風力発建設企業、建設庁、気候研究所等が賄賂でグルとなって反対住民・反対派グループに対抗、
強制的に推し進めようとする。建設企業は財政的に頻拍しており一気に進めようと推し進める。地主は断固拒否するがその家族が金銭的な難題も抱えており土地の売却を責める。反対派の中には建設企業側と繋がったスパイ活動を仕掛け事件を複雑にしていく。
「誰もが再生可能エネルギーに賛成し、原子力に反対している。しかし、自分の玄関先にはウインドウパーク(風力発電所)やバイオマス(動植物を利用した資源開発)を欲しがらない。市民の反対運動は審査過程を長引かせて、投資家に負担をかけさせるだけでなく、納税者に何百ユーローもの損害を与えているのです。しかもそういう反対運動の多くが個人的なエゴからきている」

権力で引き裂く格差社会とは『風の影』(上・下)

2020-11-28 07:55:41 | ミステリー小説から見えるもの
富豪の傲慢さが貧相な家族を道連れ、仲間との差別意識から悲惨な事件へと引き込む恋愛・冒険ミステリーだ。親と子、権力で家族を引き裂き、若い恋愛を力でねじ伏せていく、そこには隠された実の子供の関係を暴き、幼心に恨みを掻き立てる、且つ複雑で醜い人間社会の格差を生み出した。人の欲望・金で周りを消し去るかのようにできる世界は現代でも恐ろしい
『風の影』カルロス・スイス・サフォン
・1945年のバルセロナ。霧深い夏の朝、ダニエル少年は父親に連れて行かれた「忘れられた本の墓場」で出遭った『風の影』に深く感動する。謎の作家フリアン・カラックスの隠された過去の探求は、内戦に傷ついた都市の記憶を甦らせるとともに、愛と憎悪に満ちた物語の中で少年の精神を成長させる…。呪われた本、執筆した著者、本を燃やす男等の人、裏切りや失われた友情の物語は、風の影の中に生きる愛と、憎しみと、夢の物語、恋愛、冒険ミステリー。
・「忘れられた本の墓場」で見つけた1935年出版された一冊の本「風の影」の著者に興味を持ち、元役人、その後は浮浪者フェルミン、今は古本屋での手伝いする知恵ものの店員と探索する。その本は70冊ほどで廃刊となっており、その著者はその後パリで結婚する前日に亡くなったことを知る。その後不気味な男が現れその本を言い値で買い取りたいと言い出し、その後は一切を燃やすのだと告白。「彼は本の中に住んでいた」を思い出し、ダニエルは販売せず、先ずはこの著者の謎めいた生涯をたどることにした。
・ダニエルの調べでは、この本の著者フリアン・カラックスは、帽子屋を営んでいる父親の実の子ではないことを知っており、その為母はピアノができないほどの打撲と仕打ちを父から受けていた。息子は父を恨み、母は息子を遠くパリへ送り出す。そこでは娼婦のサロンでピアノを演奏し、生活をしていた。その後富豪の娘ペネロぺと結婚する約束するが、結婚式の前日に決闘で亡くなってしまう。フリアンは「誰かしら覚えてくれている人間がいる限り、僕らは生き続けることができる」と言っていたと言う。
・フリアンはある富豪の娘を恋したことで、富豪は娘を閉じ込め一切外出させなくさせた。それはフリアンの愛した娘は、フリアンと兄弟だったからで、昔フリアンの母はその富豪の男の子を宿し、その子がフリアンだったのだ。富豪の娘が妊娠していたことが分かり富豪は激怒、数年後に母子とともに若くして亡くした。
・富豪の息子はそのことでフリアンを敵視し、フリアンを追い詰め、フリアンの結婚式の前日に決闘を申し込む。それには昔の仲間で危険人物的存在であったフメロ、誰もの恐れる英雄、殺人者、陰謀者、策略家と化し警察官となる。フメロは昔の恨みから決闘の拳銃に細工をし、フリアンを殺す仕組む、ところがその息子を殺害してしまう。それは実はフメロの計画通りフリアンをいつ殺害してもいい条件(殺人罪として)を作ったことにあった。
・その後、ダニエルは、富豪一家は破滅し、館もそのままとなり、フリアンの母も海外へ去ったことを知り、富豪の館の地下には若い母子の棺がそのまま眠り続けているのをダニエルとフリアン(変身した姿)が知ると、フメロがそれを嗅ぎつけてフリアンを襲撃。が逆にフメロが殺されてしまう。

・知恵、記憶が有能な店員フェルミンの言葉
    1、悪い人が多い理由
    「悪いやつには特定のモラルと、意図と、ある種の思考性が前提にありますからね。でも馬鹿な人間、つまり野蛮な人間は、じっくり考えたり、論理的に思考することをしないんだ。本能だけで行動する動物と同じですよ。奴らは、自分が良いことをやっていると思っている。自分はいつも正しいと思い込んでいる。そして、自分とは別種と思しき人間を片っ端からやっつけていくことに誇りを感じているんですよ。」
    2、恋人に対して
「『誰かのことを愛しているか』の質問に対して、一瞬でも考えてしまうようなら、その人はもう、その相手を愛してはいない、その先も永遠に愛する事はないって」
    3、友情と夫婦愛
「彼女にふさわしい男になる為にする事は、何を相手に与えられるかじゃなくて、どれだけ譲れるかってことが、時には大切なんです
    4、暇な人間のする事
暇な人間はね、いつでも他人の生活に首を突っ込んでいないと、気が済まないんですよ
    5、天も恵とは
「運命はね、いつも未知の曲がり角にいるんです。スリや、男の袖を引く女や、宝くじ売りみたいにです。人の求めに応じる3つの権化です。だからこっちから出向かなきゃいけないんだ」
    6、人というもの
「話すのは愚か者、黙るは卑怯者、聞くは賢者の技なり」
    7、片思いの心
「言葉より残酷な牢獄がある」(愛してもらえない自分を例えた言葉)
    8、後悔
「人生にチャンスは2度ない。あるとしても、それは後悔する事でしかない」


捜査は常に疑問と行動が伴う『アウトロー上・下』

2020-10-27 07:48:21 | ミステリー小説から見えるもの
@これは映画化されたアクション・サスペンス小説だ。「一人の人間の死は悲劇だが、百万の人間の死は統計上の数字に過ぎない」(ヨシフ・スターリン)過去に過酷な人生を送った輩の世の仕返し。
完全な証拠は必ずやどこかに穴がある、それを紐解き、証拠の裏の落ち度を暴いていく元軍人警察官。捜査官たる感の良さとその行動には圧倒されるサスペンスストーリーだ。その元警官の喧嘩の仕方は思わず唸らせる。(下記)
『アウトロー上・下』リー・チャイルド
・平和なダウンタウンで起きた、ライフル狙撃による無差別殺人。容疑者は6時間後に逮捕された。証拠はこれ以上ないほどに揃っており、誰もが容疑者の有罪を確信していた。元軍隊でスナイパージェイムズ・バーが逮捕され、刑務所でイチャモンをつけられ重症、入院。検察側と弁護人側には父・娘の親子対立関係となる。ジェイムズ・バーは元軍人警察のジャック・リーチャーを指名、だが、ジャックは「私がここに来たのは彼を埋葬する為だ」と弁護人を支持する発言ではなかった。 さらに「私は自分の約束を守りに来ただけだ」と。その後、ジャックは飲み屋で何者かに襲われる
軍隊でのバーはスナイパーとしての戦闘での経験はなかったが、ある射殺事件を起こした。だが結果的に無罪放免となり退役させらる。それは射殺された四人の下士官たちが戦争で掠奪・レイプ・強盗行為をしていた輩だった事で、最終的に軍隊での極秘事項となった。
弁護側の疑問
    バーは何故駐車料金を払ったのか、自分の指紋がついてコインを残していた
    何故薬莢の始末をしなかったのか、薬莢を1つだけ残したままになっていた
    珍しい靴(靴底の跡が残る)で犯行に行ったのか
    近距離で射撃する行為(スナイパーは75m以上あっても可能な訓練をする)に疑問
    当日の朝家で睡眠薬を飲んでぐっすり就寝していた
    殺害のあった駐車場のビデオテープがない(コーンを誰が立てたのか)
・事件の背景に出てきたのが検察側と警察が弁護側に有利となるジェイムズを逮捕し、事件に関与させない事、さらに実際にコーンを立て射殺を企て、実行したギャングたちだ。
・事件の報道を目にして町にやって来たリーチャーを罠にはめようとした若い女が惨殺された。事件のすべてを裏で演出している「操り人形遣い」は何者なのか? 容疑者の妹、女性弁護士らと真相究明に挑むリーチャーの前に立ちはだかる者の恐るべき正体は。
・リーチャーはバーの事件と自分に殺害容疑をかけようとしている問を解決する為、バーが殺害した人物の特定、バーが付き合っていたチャーリーという男のの本当の姿、さらにリーチャーを影から消そうとする背後にいるロシア系のゴツい奴らの関係。 内部情報が漏れ、ロシア系の連中に指示を送っているのは弁護士の父か、警察捜査官か。
・射殺された一人の女性が夫の捜査願いを出していたことから夫の仕事、市からの砕石商売が賄賂でロシア系に奪い取られたことが分かった。その関係から夫はロシア系の一人が口封じにまず夫を殺害、さらに妻を殺害する事件へとつながった。
・バーの妹がゴツい奴らに連れ去られると同時にゴツい奴らの企みとアジトが浮かび上がった。そして妹を助け出す計画からそのアジトを襲撃。犯罪者たちを捕らえ、さらに出征を夢見、大金を手に入れようと情報を流していた警察捜査官を逮捕した。
軍隊に入るタイプ4つ
    軍人系の家系 
    愛国者で祖国に奉仕に熱い思いを持っている
    就職口が欲しい
    人を殺したがるタイプ
軍人経験の喧嘩の仕方
    立って、いつでも動ける体制をとっておく事
    どんな男を相手にしようとしているのか見つけてやる事
    リーダーを見つける
    リーダーは一番初めに動くやつと思え
    決して後退りするな
    家財は壊すな
    行動しろ、口でやり合っても始まらない
    よく観察して見定めろ
    真正面から突っ込むな

薬物依存とは『ヒートアップ』

2020-10-14 08:07:25 | ミステリー小説から見えるもの
@薬物売人の犯人捜査の結末は周りに意外性をもたらすミステリー探偵小説だ。新たな脳神経薬物は人間を一瞬に強靭な狂人にする。殺傷など致命的な痛みでも感じさせない神経薬と麻酔薬を合体させた劇薬物は、世界で生まれているかも知れない。麻酔薬を世界で最初に作った江戸時代の日本人華岡青洲から既に200年脳だけを生かしたバイオ人間を作る事が可能かも知れない。アルコール・薬物依存は、後遺症の恐怖を知る事も必要だろう。幻覚症状・フラッシュバック・激しい不安感、不眠ストレスなどがあると言う。 各依存症のセルフチェック方法がここにある。https://seimei-hp.or.jp/addiction/screening/
『ヒートアップ』中山七里
・麻薬取締官七尾がヒートという薬物の捜査をする事になった。それは未成年者を中心に薬物を売り凶暴な立ち振る舞いと共に一般的な麻薬とは違い一瞬で強腕、狂人の様に凶暴になる。そこでヤクザの幹部が一緒に撲滅するべく接近してきた。それはヤクザ組織でこのヒートが外国勢絡み特に背後にはチャイナマフィアが絡み国内のヤクザ仲間に広がると闇雲に殺戮戦争が起こることを恐れたからだ。
・ヒートを売り捌いているのは元その製薬会社の販売員一人、その会社は既に日本を引き払い元社員ら全員が姿を消した。やがてアジトを見つけたが、何者かが先手を打って売人を殺害、ヒートを持ち去った。殺害したのが麻薬捜査官の七尾が容疑者として逮捕される。それは凶器に使った鉄パイプに指紋が残っていた事だ。
・護送中に七尾は二人組がパトカーを襲い、七尾を救出した。それはヤクザの幹部が実は同じようにヒートを持ち逃げしたかのように組に疑われたからだ。逃げ込んだ先は、元ヒートがあった山奥の社屋、既に破壊され立ち入り禁止の場所だった。そこには既に一人の元研究者が潜んでおり製造可能な証拠品を探していた。
・立ち入り禁止の場所が何故か米国軍の管轄にされ、野外のスピーカーでは一帯を細菌撲滅で焼き払う爆撃目標にされた。その爆撃は時間を掛けず即刻、情報が漏洩するのを恐れて消滅させる目的でナパーム弾による一斉爆撃が開始された。中にいた七尾、ヤクザの幹部、それに元研究者三人が猛獣と化した獰猛な犬たちに阻まれるが辛うじて奪取に成功する。
・七尾はアジトで発見された死体から犯人が意外な人物であったことを最後に証明する。

動物保護と農作物被害『相剋の森』

2020-10-12 07:42:20 | ミステリー小説から見えるもの
動物による農作物の被害、その動物への捕殺処理、動物保護、住民保護など最近の農作物被害は住民(農民)にとっては死活問題であり、都会ものは「自然保護・動物保護」を訴える。 この書で痛感したのは、そもそも動物の生活環境を破壊している人間が動物保護と言うものおかしな事で、原因は「人間の出すゴミ」(住民・観光客・旅行客がそのままにしていく食べ物の処理)であると指摘していることだ。 動物・住民も生きていくの為の行為であり第3者的発言の「〜保護」主張は言うのは簡単だが現実的には非常に難しい。 今後さらなる動物による被害、災害で起きた場合いかなる処方があるのか住民(農民)の声は重要である。

『相剋の森』熊谷達也
『概要』「山は半分殺してちょうどいい――」現代の狩人であるマタギを取材していた編集者・美佐子は動物写真家の吉本から教えられたその言葉に衝撃を受ける。山を殺すとは何を意味するのか? 人間はなぜ他の生き物を殺すのか? 果たして自然との真の共生とは可能なのか――。
・動物による農作物被害は甚大な田舎の問題、その動物を補殺処分することは自然保護団体などから抗議が殺到すると言う、またその圧力は「マタギ」のみならず町中の問題と化し避難を浴びていた。その問題を作り出したのが「人間が出すゴミ」であり、その味を取りに山の動物が里に降りてくる事となった。実際農作物の被害面積に関して、その8割が鹿と猪、そして猿もので、熊による被害は1~2%だと言う。一般には熊は人を襲わないが一度あると住人は子供たちを守るためにも狩猟ハンター達による捕殺処分をする事が常識になっていた。
・「マタギ」はこれまで熊を捕らえ肉を分ると言う「生活の為」としての糧とし、自然保護と動物保護を考えた上での狩猟、都会ものが言う「共生」と言う簡単な考えではない。それは「山は半分殺して・・」と言う殺したいからと言うのではなくマタギたちも止もう得ない状態で狩猟していることを知るのである。 
・マタギの棟梁曰く「マタギは親からと山(熊)からもらった体で、熊を撃つのは面白いし血が騒ぐけど、同時に痛いんよ。ここが。どうしようもなく、痛くて、切なくなってくるってのも嘘じゃないんだよ。だから熊を殺すってことは、自分を半分殺すことと一緒なんだ。これは、なんつうか、一種の業のようなものかもしれねえ」「熊を追ってこの手で仕留める行為そのものが大事なんよ。俺らに生きる力を与えてくれるんさ。だからよ、俺らは熊を殺す代わりに、自分たちの欲しいものを殺さなければならねえと思っている。山から山のものをもらう代わりに、山を守ってやらなければならねえと思っている
・「最近のクマっ子は、昔のと比べると頭が悪くなっているんでねえかの。里に居つくようになってから、知恵が足りなくなってるぜ」
・熊の肉を食した美佐子は「熊に命をもらい、その先も生き続けようとしている。そうした感謝の念のようなものが細胞の隅々にまで行き渡っていく感覚があった」

医療の過失・安楽死『2人のウイリング』

2020-10-08 07:49:25 | ミステリー小説から見えるもの
@医師が患者の苦痛を取り除く、安楽死、自殺補助など犯行の背景には綿密で計算されたな毒の致死量投与と依頼者(治療者保護者、夫婦)などにもWin-Winとなる実益を目的にしたミステリー事件小説だ。現代、難病患者自身が安楽死補助を医療者にお願いした事件があったが、日本も安楽死法案に傾いていくのか。実際他国へ旅し安楽死を望んだ患者をTVで見たことがあったが、医療の発達は逆にそういった治療を諦める治療者・患者が増えていくかもしれない。下記は他人による積極的安楽死を法律で容認している国・地域の一覧 (出典:Wikipedia)
  •  スイス - 1942年
  •  アメリカ合衆国
    •  オレゴン州 - 1994年「尊厳死法 (Death with Dignity Act)」成立
    •  ワシントン州 – 2009年
    •  モンタナ州 - 2009年
    •  バーモント州 - 2013年
    •  ニューメキシコ州 - 2014年
    •  カリフォルニア州 - 2015年[8]
  •  オランダ - 2001年「安楽死法」可決。
  •  ベルギー - 2002年「安楽死法」可決。
  •  ルクセンブルク - 2008年「安楽死法」可決。
  •  カナダ - 2016年[9]
  •  オーストラリア  ビクトリア州 - 2017年[10][11][12]
  •  大韓民国 – 2017年[13]
『二人のウイリング』ヘレン・マクロイ
「概要」ある夜、自宅近くのたばこ屋でウィリングが見かけた男は、「私はベイジル・ウィリング博士だ」と名乗ると、タクシーで走り去った。驚いたウィリングは男の後を追ってパーティー開催中の家に乗り込むが、その目の前で殺人事件が…。被害者は死に際に「鳴く鳥がいなかった」という謎の言葉を残していた。発端の意外性と謎解きの興味、サスペンス横溢の本格ミステリ。
・殺害されたのは偽名を使って忍び込んだ私立探偵とその私立探偵を雇った富裕者の一人で白内障で失明した老婆の2人。殺された私立探偵は飲み物に毒物が、老婆は常用している薬が元で亡くなった。
犯行の背景には、精神的に安楽死を望む人、治療が効かないパートナーを痛めつけたい、夫婦仲をこれ以上継続したくないなど、犯罪と法の執行を隔てる垣根、治療者の苦痛と治療する立場をうまく利用した精神科医の犯罪となる。
・精神科医はそれぞれの悩みを解決するべく治療と思わせながら常備薬に適度の毒薬を入れ金儲けを目的に手を染めることになる。精神科医曰く「金に知性が伴えば、現代の世界でできないことなどほとんどない。金があり、手立てを弁えてさえいれば、中絶手術をさせたり、コカインを買ったりするのと同じように簡単に人を殺せる。闇市はどんなものにも存在するのさ。美しい話じゃないか。物事はそんなものだよ。賢い者は、物事を変えようとはしないものだよ。確実に配当にありつくようにするだけさ」

生活環境で人は変わる『その女アレックス』

2020-10-05 12:41:22 | ミステリー小説から見えるもの
家族が異父兄妹、年少の頃から性的虐待など、誘拐犯の被害者が実は加害者で、その加害者が多くの無残な殺害をしていく、ところがその加害者を最後に抹殺する兄妹、このミステリー小説に出てくる事件の深さには驚愕する。人は生活環境(家庭環境、仕事環境)など友人関係が意外な性格と習性を作り出す。最も必要なのは家族愛がその基盤なのかと思い知らされる。
『その女アレックス』ピエール・ルメートル
「おまえが死ぬのを見たい」――誘拐事件、男はそう言って女を監禁した。檻に幽閉され、衰弱した女は死を目前に脱出を図るが……。孤独な女の壮絶な秘密が明かされるや、物語は大逆転を繰り返し、最後に待ち受ける慟哭と驚愕へと突進する。
女は仕事も定職ではなく派遣、30過ぎて結婚も諦め孤独を楽しむ。その一つがカツラで変身する事、それが「淫売女」と見えたのか誘拐事件となる。目撃者は一人でその現場から分かった事は監視ビデオに写っていた白のバン、誘拐したのは大柄で腕力のある男、誘拐された女は何一つ特徴がない。職場、家族、友達等からの捜査願いも全くない、孤独な女と判断される。
・男は誘拐後、古い建物の中で小さな檻に全裸にして体を折りたたむように閉じ込める。「淫売がくたばるところを見てやる」とネズミが餌を求め徘徊する場所に閉じ込める。
・事件は白のバン、犯人が連れ去った車から犯人を特定、住処で逮捕を計画したが逃亡され挙句には犯人は高速道路の上から飛び降り自殺してしまう。携帯電話に残っていた写真から誘拐された女は1週間経ったがどこかでまだ生きている事だった。男は離婚歴のある50過ぎ、精神異常を患った息子を探していたと言う。その息子を知る女を探すと友人の部屋の屋上でその息子が水槽で死体で発見される。致命傷は硫酸を飲まされた殺人事件となる。
・ある日、若者が古い建物にペイントしようとした時建物の中に何か動くものがいると警察に通知、現場につくと数匹のネズミの死体に、人間の血に飢えたネズミ、それと壊れた檻を発見したが誘拐された女がいない。警察は、女に殺人の容疑を立てる。それは誘拐した男はこの女が息子の居場所を知っていると思い聞き出そうとした。実は息子の性格からも帰宅しないのはこの女に何かされたと疑っていた。もう一つはこの女が過去に付き合った男たちが硫酸を飲まされ無残な死体となって発見された事だった。
・女は辛うじて家にたどり着き治療、食事、睡眠などした後、引越しをする。その先に宿を経営する女主と親しくなるが、深夜過去と同じように最後に硫酸を飲ませ殺害をする。 その後、最後の男、トラックの運転手も同じように硫酸で殺害する。そして女はすべてを終えた事でスイスに逃亡する計画を立て、異兄妹である兄を呼び出した。 逃亡するための翌日の航空チケット、ホテルからタクシーの予約、私物の処理を終えホテルに戻る。
翌日その女が自殺体として発見される。殺害容疑者が何故6人もの人々を殺害したのか、何故完全逃亡計画したにもかかわらずホテルの部屋で自殺しなければらなかったのか。事件はその後急展開を見せ、親族関係が拘留される。それは性的虐待、加重買春斡旋、証拠隠滅殺人罪となる。

罪と知りつつも一線を超える役人の立場『ダ・フォース』

2020-10-05 08:30:25 | ミステリー小説から見えるもの
@「40年に及ぶ弁護士人生の中で、嘘をつく人、騙す人、自分が一番になるために世の中の仕組みを曲げようとする人には始終会ってきた。そのほとんどが政府で働く連中だった」(オスカー・グッドマン)は正にこの小説の真髄を突いたもので賄賂、贈与、汚職、横領等が政府・役人につきまとう罠であり、罪を背負っているということだ。 警官から中央幹部も例外ではなく「見つからなければ」という思いでついやっている、と言う。日本の何人かの政治家も同類だ。日本のさらに悪いところは罪を一切認めず、決して辞職しないことだろうか。さらに給与(税金)も問題なく在職中は支払われる事だろうか。
『ダ・フォース』上・下 ドン・ウインズロウ
(上)
麻薬や銃による犯罪を取り締まるマンハッタン・ノース特捜部、通称"ダ・フォース"。
ニューヨーク市警3万8千人の中でも最もタフで最も優秀で最も悪辣な警官たちを率いる
デニー・マローンは市民のヒーロー(ダーティーヒーロー)であり、この街を統べる刑事だった。だが、ドミニカ人麻薬組織の手入れの際におこなったある行動をきっかけに、栄光を約束されたマローンの人生は、転落の道をたどりはじめる……。
・殉職した警察官は2000年北米では射殺された警官325人、刺殺21人、殴り殺された警官32人、故意に車で轢き殺された警官21人、爆発関係8人、さらに9.11事件など
・銃規制の緩い州、テキサス、アリゾナ、アラバマ、サウスカロライナ、ノースカロライナから密売され大都市に流れこむ
・「ダ・フォース」の特別任務とは現状維持、都会のジャングル内での勢力を盛り返さない事、メンバーは誰もが犯罪者にみえ、囮捜査官は薬中か売人、私服警官は都会の海賊の姿でしか見えない。警察の中には内部監査部というのがあり警察の不審を捜査する部隊とFBIと組んだ検察側を相手にする汚職、賄賂を暴かれる。マローン警部「世の中が公平にプレーしているなら、俺も公平にプレーする。しかし、検察と警官にはそもそも不利な手札を与え、最高裁判所の判決全てが売人ともに有利な手札を与えている。なぜなら警官が、「偽証言」をしなければ、検察局が有罪判決を勝ち取るなどできないからだ。」(アメリカ流の真実と正義)
(下)
ダ・フォースの中にネズミ――裏切り者――がいる。
FBIが汚職警官を極秘裏に捜査するなか、1人の刑事が拳銃自殺を遂げた。
仲間内に衝撃と疑心暗鬼が広がる一方、街場ではラテン系、黒人ギャング、
マフィア新旧入り乱れる権力抗争が激化していた。複雑に絡み合う悪に追いつめられていく刑事マローン。やがて哀哭の街で男たちを待ち受ける血みどろの結末とは?
・「40年に及ぶ弁護士人生の中で、嘘をつく人、騙す人、自分が一番になるために世の中の仕組みを曲げようとする人には始終会ってきた。そのほとんどが政府で働く連中だった。(オスカー・グッドマン)
マローン警部の最初は些細だった自らの不正から一線を超えてしまった。それは人殺しをしても依頼する凄腕の弁護士によっては勾留期間を短く、保釈させることができる。法と秩序もが金と権力(賄賂とコネクション)で牛耳られていることを知ってからだ。それにお巡りとして命をかけ仕事をしても残る金は少なく、誰も察知できない戦利品はチームの退職後の年金、生活費とし、または寄付することが一番だと悟ったからだ。
・ギャングからある警察官が後ろから14歳の住民を殺した動画で市、警察等を脅迫、逮捕されたマローンに最後の任務として取引をする。それに対してマローンは市長、市警本部長、刑事局長、特別捜査官、判事に対し「お前らは腐り切ったクソッタレだ。俺はこの街で18年働いた。お前らがやれって言ったことをやってきた。お前らのためにこんなに尽くしてきたのに、今になって厄介払いだ。俺のことを汚いお巡りだという。お前らはこの街、この国の魂の腐った芯だ。俺を釈放しようとしたのは街を救うためはない。町の公共事業で何百万ドルもの賄賂を受け取っているからだ。それを隠したいからだ。スラムの家主には見て見ぬ振りをし、判事が金で判事の椅子を買って、判決を売ってその埋め合わせをしてもお前らはそんな話は聞きたがらない。お前らは金持ち連中からつけ届けや、旅行や食事やコンサートやスポーツのチケットをタダでもらう代わりに、そいつらの違反切符や出頭通達や法律違反をもみ消してやる。ところが平のお巡りが珈琲や酒やサンドウイッチをタダで受け取っただけで目くじらを立てる。人種暴動の一番美味しいところは、スラム化した街とかビルを破壊させ、権力者はペントハウスを建てることで稼いだ金をロンダリングする」
「戦場に出ている俺たちお巡りをいつだって平気で見殺しにする。ちょっと状況が悪くなっただけで。俺たちはどんなことがあろうと、仕事の途中で命を失うことになろうと俺たちは身を挺して善良な人々を守ってきた」



世代を超えた罪とは『罪の声』

2020-10-02 08:50:41 | ミステリー小説から見えるもの
数十年前の事件が現代に生きる世代を超えた家族まで巻き込む、この奥深い諸説だ。それは凶悪で未解決事件だったことが、家族に残された遺品と新聞社の執念が呼び興す。「知らぬが仏」、それにメスが入る、だが最後に離れ離れにされた家族に未来が見える。恨み辛みは必ずや世代を超えても残るということ、だがそれを克服して影に生き残る人々は現代でもあるだろう。
『罪の声』塩田武士
家族の古い過去を知る事の恐怖、ましてや30数年前に世間を恐怖に巻き込んだ凶悪未解決事件に関係するとなれば尚更だ。この小説は事件の裏に2つの加害者であり被害者となった家族があった。事件の計画を練り生きて海外に定住者となっている叔父、計画を依頼、実行した元暴対刑事と9名の共犯者だった。きっかけは叔父の父が受けた企業の疎遠扱い恨み、また、元暴対刑事が生活資金繰りの為、と暴対で知り合ったヤクザ等の仲間たちと企業4社を脅迫事件へと巻き込んだ。最初は企業脅迫を海外の事例を元に実行して現金を奪うことより株価操作で儲けようとした。その為司法の権力ー警察、経済の権力ー企業、それらの弱みを握るマスコミに巧みな文章で挑戦状と脅迫状を送付、市民の賛同を得ようとした。 だが結果的にヤクザが求める現金にも欲が内部分裂起こし、如いてはそれが2つの家族をどん底に陥れて悲惨な出来事にまで巻き込んだ。

人間のDNAはどこまで読まれているのか『プラチナデータ(ライト版)』

2020-10-01 08:10:51 | ミステリー小説から見えるもの
人間のDNA解析は現在どこまで進んでいるのか。ヒトゲノム解析は既に2004年に完成しているが、そこから何を読み取れるのか。特に医療においては個々の病気を遺伝子入れ替え(あるいはDNA薬)で予防医学に役立つことが発見されており、国内でもバイオバンクなる国家プロジェクトが進行中である。
この書にある人の解析は果たしてどこまで進んでいるのか予測がつかない。
『プラチナデータ(ライトバン)』東野圭吾
・科警研の傘下にあった部隊警視庁特殊解析研究所が独立、様々な人間のDNAを収集、保存している。そこが行なっている分析は最先端で解析結果からプロファイリングができる。それは犯人の容貌を画像化させるDNAモンタージュだ。材料となる物は、唾液、汗、粘膜、皮脂、耳垢、体毛、血液などで遺伝子から血縁関係、体格、風貌、性格まで読み解く技術となっていた。特に顔を含めた似顔絵も可能でほぼ正確にモンタージュが完成していた。
・国民へのDNA情報登録・検査法案が国会で決定され、さらなる進化を予言させる事になったが、国民の心は不安を煽る事になった。それはプライバシーが暴露される事への不安だった。登録は強制ではないが、登録によって検挙率が向上する警察の立場とそれを悪用される事への懸念が交差し始めた。
・解析研究所の神楽は実は二重人格障害を持った患者であり研究材料として自身も悩んでいた。それは陶芸家の父の作品がロボットによって作られた贋作に苦しめられ自殺した時からだった。心と体が全く違う行動になり他の自分を意識できないことがあった。神楽は人間工学と生命工学を必死に勉学、特に人間の遺伝子は場合によってロボットとの差がない事を知った。遺伝子は人生を決めるプログラムであり、解析ができる物だと。