Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

メリー◆Strip 結成20周年の2021年、通算11枚目のフルアルバムをリリース!

僕はもうどうしようもないくらいにメリーが大好き

僕より年下だけど、「このバンドは本当に凄いバンドだ」ってずっと思っています。そして、真のヴィジュアル系バンドの後継者だと確信しています。

でも、メリーはずっとずっと茨の道を歩み続けているんです。

少しだけ何かが違えば、今頃、日本のロックシーンを誇るベテランバンドになっていたはず…。大げさに言えば、GLAYやラルクやジャンヌダルクに負けない最強のヴィジュアル系バンドになっていたはずなんです。

否、ヴィジュアル系の枠を飛び越えて、BOOWYやBUCK-TICKのレベルのバンドになっていたはずなんです。

でも、時代はメリーの味方にはなってくれませんでした。どんなに頑張っても、どんなにいい曲を書いても、どんなにいいパフォーマンスをしても、商業的な意味での「成功」を手にすることができないままでいます。

そうこうしている間に、メリーは、メジャーの世界を離れ、インディーズシーンに戻り、そしてFREEWILLレーベルからメリーらしい作品をリリースしては、ライブ活動を続けてきました。…20年もの間…、ずっと。

そして、ギターの健一が脱退してしまい、4人体制になり、その4人体制で作り上げたのが、

Strip

という通算11枚目となるアルバムでした。

2年前にリリースされた【for Japanese sheeple】のレポはこちら
4年前にリリースされた【エムオロギー】のレポはこちら!(10枚目のアルバム)

今回のニューアルバムを聴いて、もう、本当に涙が出てきました。「なんてカッコよすぎるアルバムなんだ…」って。最初から最後まで本当に本当にカッコよくて…。

ぶっちゃけ、この数年、どのアルバムを聴いても、頭ではいいなと思っても、心の炎が燃え上がるような作品には出会えていませんでした。音楽に目覚めた10代の頃に感じたあのワクワク感、高揚感、恍惚感…、そういうものをすっかり感じなくなっていました。正直、「もう、音楽では心は動かないのかな?」って思うほどに…(*自分の曲は除く…苦笑)。

でも、僕の音楽心は消えてませんでした。今回のメリーのアルバムを聴いて、本当に本当に心が動きました。きゅんってしました。枯れていた僕の心が大きく動きました。

もしメリーが商業的に大ブレイクして「成功」を納めていたら、きっとこういう作品はできなかったとも思いました。20年間、ずっと苦労して、苦しんできて、もがき続けてきたからこその作品だな、って。歌詞的にも、楽曲的にも、コンセプト的にも、演奏的にも、すべてがこの苦悩の20年故にできたものなんだろうなって強く思いました。


夢なんて持ったって、今の時代叶え辛いし、って思ってるし、歌詞の中では“夢なんてみてたって叶わないよ”って歌っていたりもするんですけど。20年目の再スタートという地点に立たされた今、なんか新たにバンドを始めた頃みたいに夢を見れてる気がするんです。自分の歌詞を見て、“あ、俺、まだ夢追ってるんだな”って思ったんですよね。なんだかんだ冷めたことを思ったり言ったりしてても、まだどっかで夢を追いかけてんだなって、今回改めて自分の気持ちに気付いたとこもあったりしたんです。

引用元はこちら


このガラの言葉に今回のアルバムのエッセンスが示されていると思います。

どのバンドとは言いませんが、商業的に売れたのはいいけど、それ以降何の心にも響かない気の抜けたコーラのような歌をただただ出し続けているバンドがいます(一つじゃなくて…)。「こんな曲をやってて、本人たちは楽しいんだろうか? ビジネスライクの臭いしかしない…」って。どの新曲を聴いても、「なんだ、このクソみじめな曲は…」って思ってます(昔はすごく好きだったんだけど…)。

メリーは、商業的には(まだ)大きな成果を出せてないかもしれないけど、【ヴィジュアル系】の文化を継承している重要なバンドだと思います(今回のアルバムのコンセプトも、Psychedelic=サイケデリックですからね…苦笑)。メリーを継承するバンドは…、僕が知る限りまだ出てきてないと思います。

大げさに言えば、メリーがなくなった瞬間に、『ヴィジュアル系文化』は途絶えるんだろうなって。もちろん亜流V系バンドは残るでしょうけど、80年代以降続く「正統派のヴィジュアル系バンド」はゼロになるんです。

夢って、叶う必要ってなくて、夢が夢のまま輝き続けることの方がよっぽど尊いなって…

そんな「夢」がぎゅっと詰まったニューアルバム。

過去最高のクオリティーのアルバムになったんじゃないかな?!

今回のフルアルバム【Strip】は、通常バージョンと初回限定バージョンがあります。

僕はそれこそ20年前からメリーが好きなので、初回限定バージョンを買いましたが、「そんなに高いお金は出せないよ」っていう人は、通常バージョンの方で十分に満足できるので、是非是非買って聴いてもらいたいです。

11曲入りのフルアルバム、全曲解説いってみましょう!


Strip / Merry

【Disc-1】

01. S.trip theater

緊張感のあるSE。デランジェの1曲目のSEにメリー的要素を加えた感じ?! いよいよこれからメリーの劇場が始まるよ!っていう高揚感があります。僕的には、SEというより、チルアウト~アンビエント系サウンドで好き💛 タイトルの【S. trip】の意味については、「“S”というのは、今回のアルバムの曲たちを指していて、“trip”は、この曲たちを聴いて非日常の世界にトリップして欲しいなっていう意味を込めたんです」とのこと(引用元はこちら)。歌の旅が始まります。

02. psychedelic division

そして、始まりました。メリー劇場。いきなりガラの「令和3年 垂れ流す嘘はもう聞き飽きた 最上階で笑ってる」という超カッコいいシャウトから始まる【超メリー的疾走ソング】!! これぞ、メリー! 結成20年の熟練の技もギラギラと冴えわたっている。ギターも結生一人になったけど、全然薄っぺらくない(ま、レコーディングだと1人も2人もないんだけど…)。一人になったせいで、ギター的な統一感は出て来たかも?! この曲はYouTubeでフルで公開されています。

03. ニューロマンティック【NOISE CORE】

3曲目にこれをもってくるところが、なんか最近のBUCK-TICKっぽさを感じたな。BUCK-TICKサウンドをメリー風にアレンジするとこういう曲かな!?って。3曲目でこれというのは、マニア的にはすごくしっくりくる。

04. ブルームーン

最初、一瞬Perfumeの新曲かと思った…(あるいはPassCode)。この曲はレトロなダンスナンバーを今のメリーが再解釈したような楽曲。しかも、この曲、打ち込みビートなんですよね。そこが新しい。「ネロは寝ろ」じゃないですけど、ネロドラムはお休み。真夜中2時のお別れの歌で、「ジュークボックスから哀しい歌流れる」というところがもうダメ😢。「ウィスキー飲み干してグラスを置き 出ていく背中 追いたいけれど この人混み ハイヒールじゃ追い付けない」というところはもうむっちゃ80年代~90年代前半。日本がまだキラキラと明るかった頃…。あと、「馬鹿野郎」ってところがもう胸キュンで💓。

05. erotica

失恋ソングの後は、夜の劇場の世界へ。これまでのメリーっぽさを踏襲した派手で豪快で勢いのある曲(どっかで聴いたことありそうなイントロとか…苦笑)。聴きどころはバコバコいってるネロのドラムと、勢いまみれの楽器隊と、ガラのエモーショナルな歌(エコーバリバリ!)。サビの「失うものなど もう何もないさ 後は綺麗に咲くだけ」というところが聴きどころかな?! あと、ギターソロが今井さん節炸裂で、その後のベースソロは飯田成一!! 今回、テツさんのベースがところどころで輝いているんです。ギターが一人になって、ますますテツさんの腕が問われてきますね。最後の「派手に踊るから」の「ら」の後がもうたまらない(苦笑)

06. 遠い昔の恋愛ソング

本作で僕が一番心に響いた曲の一つ。メリーらしいカッティングのリフから始まる壮大な一曲。イントロは、なんかどこかEDEN時代のLUNA SEAを彷彿とさせるようなギターメロ。どんなエフェクターを使っているんだろ。めっちゃ90年代前半っぽい(僕も大好きなエフェクターの音の一つ!)。ガラもインタビューで言ってたけど、Aメロの歌いはじめがすごく難しそう…。「小麦色に焼けた」というところ。これ、カラオケで歌うの大変だろうな…と。曲調もセブンスコードを基調としていて、夏のアンニュイな感じがでていて気持ちいいです。僕は今のメリーにこういう曲をすごく期待しています。だって、こういうメランコリックでセンチメンタルなナンバー、やれるの、メリーくらいしかいないでしょうから。でも、ただのノスタルジックに終わらない。ドラムソロの後のCメロ?「夜にまた2人で会おうね…」ってところは、今風というか、ラウドロック風。歌詞はここが最大の山場なのに、全然ロマンティックじゃないという…。その後の「ルームナンバー1314」以降は、もう夢の世界。こういう恋も人生で一度くらいはしたいものですね💓 でも、その結末は…

07. rat-a-tat-tat

いい曲が続きます。この07の曲もまた会心の一撃です。メリー、どうしちゃったの?って。アラビアンスケールを使ったエスニックなイントロで始まるメリー輪舞。これまた、10年代のBUCK-TICKサウンドを感じさせますね。メリーのメンバー、みんなBUCK-TICK、大好きですもんね💓(っていうか、群馬バンドの真の後継者だ)。この曲は、櫻井あっちゃんとデュエットしたらむっちゃファンも喜ぶだろうな…。でも、ただBUCK-TICKっぽくしただけじゃなくて、メリーっぽさもあって、聴きどころ満載の一曲です。「step step step step ラッタッタ ラッタッタ🎵」のフレーズが頭から離れません…

08. 煙草

僕もよく「女言葉」での歌詞を書きますが、女目線の歌詞を書かせたらもう右に出るものはいないというガラの歌詞世界。「アタシは火のついた煙草 アナタは灰皿 アタシはそこに灰になって落ちていく 煙と共に そっと」という歌詞はもう「詩人の世界」ですよ…。直感的で官能的で深すぎる…(;'∀')。この「煙草」というタイトルにするところは、きっとTUSKの影響も入っていることでしょう。今回のアルバムでも、TUSKっぽいフレーズがいくつもあって、「嗚呼、さすがはメリー」って思いました。TUSKの精神はこうやって受け継がれているんだな、と。吸い殻にしかならないような恋というのも、人生においては「あり」なのかもなぁ、って思う今日この頃…。【吸い殻が願うアナタの幸せ】とは…?! メリーの三拍子の世界、とても心地よかったです。

09. 愛なんて所詮幻想で都合のいいものなのに

この曲を聴いた瞬間、僕が失っていた「何か」に気づくことができた気がしました。これだ…って。これまでのメリーにありそうでなかったタイプの曲というか、BUCK-TICKの『極東より愛を込めて』とか、GLAYの『Freeze my love』とかを彷彿させる「ヒットナンバー」になりそうな曲。僕は心からメンバーに言いたい。「なぜ、この曲をシングル曲として出さないんだ?!」って…。この曲は、世に出せば絶対に売れると思うんだけど…。そんな時代じゃないかもしれないけど…。でも、きっと今の人たちだって、こういう曲を求めている気はするんだけど…(でも、知らなきゃ、この曲の良さも分からないか…)。僕個人的に本作で一番心に刺さる最もV系っぽいナンバーでした。サビの「あの展開」が凄く好きです💘

10. Bremen

【ブレーメン】と来れば「ブレーメンの音楽隊」。そのブレーメンの音楽隊をメリーワールドにしたのがこの曲かな? メリーファンならきっと【ハーメルン】を思い浮かべると思います。ハーメルンに続いてブレーメン。ドイツ好きにはたまらない【グリム童話シリーズ】になるかな?! どこまでもメリーさんは僕の心をわしづかみにしてくれます。疾走感のあるハーメルンに対して、壮大なミドルテンポのロックナンバーになっているブレーメン。「あっという間に月日は経ち みんな歳を取ってしまった」というところがもう号泣で…😢 僕も「夢を見ていた頃」からあっという間に40代後半になってしまった。他人事として聴けないこの素敵なナンバー。メリーは旅人。今回のタイトルも【S-trip】という意味も込められているみたいですし…。どこまでもどこまでも先に進むのみ…(僕はずっと応援しますよ。まだまだメリーの旅は果てしない…)

11. Mechanical words

10のブレーメンから間を入れずに始まるラストナンバー。なぜこの曲をラストにもってきたのか?! ラストっぽくないハードでアグレッシブなナンバー。でも、きっとこれが「メリーの回答」なんだろうなって。次のメリーを指し示す「暗示的な曲」な気がします。20年前から貫いているエログロナンバーの要素を残しつつ、次のステージに向かおうとする彼らの強い意志を感じました。「いつ終わりが来るのか いや 終わりなどないさ」。前作の【エムオロギー】のラスト曲が今回のアルバムを暗示したように、きっとこの曲がメリーの未来を暗に示しているんだろうな、と。

↑ こちらで全曲視聴できます!

【Disc-2】

01. 六本木ジャジー喫茶
02. 黄昏レストラン
03. 頭がザクロ
04. ブルージー・ナイト
05. Ve-doro
06. イエローガール
07. 路地裏哀歌
08. ドラマティック・チルドレン
09. やさしさ・キッド
10. 陽の当たらない場所
11. ピンク色の青春

このセトリを見たら、もう涙涙ですよね。メリーのエッセンスがつまった11曲。

このDISC2は、【実演配信・History of メリー~現代ストイック編~】です。

当時レコーディングしたものよりはるかに凄みを増した現代ストイック。その当時からのファンにとってはもうたまらないライブ音源になっていると思います!


というわけで、、、

結成20周年にして通算11枚目のフルアルバム【Strip】のご紹介&全曲解説でした。

本当に本当に素晴らしいアルバムを放ってくれました。僕の中にある「音楽魂」にまた火をつけてくれた感じです。ホント、最近はどの音楽を聴いても、心が動かなくなっていて…。でも、メリーの音に触れた瞬間、「これだよ!これ!」って思いました。「最近のヴィジュアル系はどれも…」って思っていましたが、違いました。刺さる音はまだまだ僕の(枯れた)心にも刺さるんだなぁって。

また、アルバムの世界観も見事に統一されているような気がしました。【NOnsenSe MARkeT】の頃から続くメリーワールド。その世界のまた一つ先を見せてくれた気がしました。

このアルバムについて、ガラはこう語っています。


今回のアルバムって、1曲1曲見ていくとバラバラなんだけど、俺の中ではめちゃくちゃコンセプチュアルにできたんですよね。ストーリーを追って作っていけたというか。メリーという架空の都市なのか、街なのか。そこにストリップ小屋があって、その中に入ったら、この曲をやっていて、パーティーが繰り広げられているっていう映像がリアルに頭の中に浮かんだんです。

引用元はこちら


まさに、そんなアルバムでもありました。

メリー国の小さな物語がぎゅっと詰まった11のエピソード。どのエピソードにも、人間の悲しさや切なさや強さや弱さが描かれています。見せかけの美辞麗句はなくて、そのまま、人間の泥臭さがいっぱい詰まっています。

こんな素敵なバンドなのに、なぜ注目されないんだろう…って本当に思います。どうしたらメリーをもっと音楽界の中心に押しやることができるんだろう。ガラの歌声は人間国宝モノだとホンキで思っています。僕にできることは、こうやって毎回彼らの作品のレビューを書くことくらい…😿

もっともっと多くの人にメリーの世界を味わってもらいたいです。

今回のアルバムも、Amazonで購入できます!

こちらが通常盤です。今回のこのアルバムに関しては、こちらで申し分ないです。

少しでもこの記事でメリーに興味を持った方がいたら、是非このアルバム、聴いてみてください!

こちらが初回生産限定盤です。オールドファンは絶対喜べると思います💓 

かつてメリーが好きだったという人にこそ、この初回生産限定盤をおススメします!

戻って来て~~~~!!!!( ;∀;)

おまけ

メリーの楽曲を支える結生のギターの秘密が垣間見えます🎵

この曲は本当に名曲であり、最高にカッコいいV系ナンバーだと思います!

この曲は、ポップサイドのMERRYの最高なゴキゲンナンバーです🎵

メリーの数あるPVの中で一番好きなのが、この「梟」のPVです!!

最後の「気づけば俺もナショナリスト」というところがなんとも…💦 風刺最強ソング。

No Merry No Life!!!

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