Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

■MERRY■エムオロギー■2年9か月ぶりのFull Albumはパワー全開で圧巻!

ヴィジュアル系はどこに向かっているのか。

このブログでは、ずっと「ヴィジュアル系論」も書いてきました。

でも、最近のヴィジュアル系バンドについていけなくなったのもあり、

また、色々聴きはするんですけど、なんかピンとこないというか…。

ヴィジュアル系バンド以外だと、わりと「おお!」というバンドはいるんですけど…。

(SiMとかロットンとかは「おお!」って思う…)

「ネオヴィジュアル系ブーム」が到来してからすら、早10年。

ガゼット、ムック、ナイトメア、シド…。

いわゆる「カタカナ系バンド」が大人気を博しました。

その中心にいたのが、まさに「メリー(現MERRY)」だったと思います。

(ネオヴィジュアル系ブーム以降は、かなり混迷しているというか、新たなムーブメントを呼び起こせていない、というか…)

結成16年

ネオヴィジュアル系ブームの立役者となり、色々なアイデアを打ちし出して、

多くのファンを魅了し続けてきました。

実に2年9か月ぶりとなる新作、

エムオロギー

M-ologie?

Merry+Ideologie?

メリーのIdee(理想)をlogosする!?

毎度、言葉選びのセンスには脱帽させられます。

前作の「NOnsenSe MARkeT」も裏に「No Smart」という言葉が隠されていて…

こういう「遊び心」に、メリーの魅力の本質があったりしています。

***

さて。

今回のエムオロギーは、一言で言って、「短い!」(苦笑)

おそらくはD'ERLANGERに触発されたのでしょう。

一切無駄のない、削ぎ落した感じのアルバムになっています。

だから、一気に最終曲までいってしまいます。

(そして、もう一度聴きたくなる…)

これだけシンプルで潔い30分弱のアルバムって初めてじゃないかな!?

とにかく、今回のアルバムは、「なんでもあり」。

JACK IN THE BOX

みたいなアルバムでした。


【全曲解説】

1. 「M」World Order

いきなり壊れたコンピュータみたいなノイズで幕を開け、ストリングス全開のSEになっています。テツ作曲らしいです。かなり「ノイズ」を意識した壮大なSEかな? これからいったい何が起こるのか? 緊張感のあるSEになっています。この辺もまた、デランジェっぽさを感じるなぁ、、、と。MERRYは、ある種正統派D'ERLANGERの後継者的なところもありますし、そのメンバーの「敬意」みたいなものも感じました。来るぞ来るぞ、、、と。。。

2. MASS CONTROL

そして、注目の2曲目。最初、オペラっぽいコーラスが度肝を抜きます。そして、徐々にテンションを上げていき、イントロ2?で、MERRY節炸裂、ときます。Aメロ?は、突き抜けるようなガラの歌メロがとても心地よいです。そして、シャウト全開のBメロ。解放感のあるメロディーとV系らしいシャウトが見事に折り重なっています。タイトルが示すように、「大衆管理」がテーマ? MERRYらしい反骨精神?溢れるロマンティックな二曲目に仕上がっていました。ネロの曲っていうのが意外だったかな!?

3. 犬型真性MASOCHIST

これまた、V系の王道を感じるイントロのリフにうっとりさせられます。曲的には、「これぞ、ヴィジュアル系!」っていうサウンドになっています。歌詞もまた、ヴィジュアル系じゃないと書けないテーマ?かな。マゾヒストっていうと、かつての「黒夢」を思い出しますね。理性だとか知性だとか、そういうものじゃなくて、官能こそが真実でしょ!?というMERRYらしい主張が聴けて、僕は嬉しくなりました。嘘に塗り固められた建て前じゃなくて、むき出しのホンネこそが、本当の幸せだよね、っていうメッセージには、僕も共感します。人間なんて、キレイなもんじゃない。ドロドロしていて、気持ち悪いもんなんだ。その気持ち悪さの「尊さ」みたいなものを歌っているように感じました。カッコいい曲です。

4. gaudy

gaudy=けばけばしい、派手で俗っぽい、飾り過ぎた、か。この曲も、勢いとパワーと熱がありますねー。この熱っぽさが、MERRYの最大の武器なんだろうなー、と。いきなり「眼鏡をかけた豚」だもんなー…。豚からみた人間の世界?ってわけではないかもしれませんが、豚が比喩的にテーマになっているところが面白いかも!? ドイツには「豚」を歌った歌がいっぱいあるし、ロックにこういう歌詞は結構ありなんじゃないかなー!?、と。サビの「時代はスピード 変わりゆく」というところがとっても気持ちよくて、いいメロディーだなぁと感心しました。ハイスピードで、心地よいMERRYワールドって感じでした。「首吊り」っていう歌詞があって、ちょっと「懐かしさ」も覚えました。変わらない部分もちらりと見えて、「いいぞ~♪」って、、、。

5. 平日の女 -A面-

先行シングルとして発表された曲①ですね。この曲は、いわゆる「二番目の女」の歌、ですね。「煙草を吸って 私の匂いを消す貴方」というところが妙にリアルで、切なくなります。こういうメロウで切なくてセクシャルで昭和歌謡テイストの楽曲をやらせたら、MERRYに勝てるバンドはいないんじゃないかな!? 「豚」の次に「二番目の女」を歌えるのは、MERRYだけだろうなぁ…。「禁断の恋」。ここにもまたD'ERLANGERの魂を感じるなぁ。でも、そのアプローチは別物。MERRYのこの歌謡曲っぽさは、ホント独特だから。ガラの歌は、ホント、こういう曲にぴったり合いますねー。。。(;;) 

6. Black flag symptom

「え? なに?」…というのが最初の印象。なんだ、このキャッチ―な曲は!?!?(;;)。マニア的に言えば、「元祖フリーウィル系」の楽曲ですね。メジャーコードのこういう曲って、MERRY的には、かなり「斬新」かもしれない…。歌詞的には、ちょいTHE SLUT BANKSっぽさもあったりして、面白い歌詞だなぁ、と思いました。テーマ的には、かなり危険な感じもしますが、今回のアルバムのコンセプトが「禁断」だということを考えると、納得、、、。

7. 傘と雨

こちらも先行シングル曲。でも、リテイクしているのかな。かなり、シングル曲と違う印象を受けました。ボーカルもエフェクトを深くかけていて、より昭和歌謡テイストが増していました。MERRY節が炸裂の泣けるメランコリックな曲で、じーんと来ます。歌詞はかなり意味深。出てくるのは、「俺」と「君」なんだけど、この二人の考え方が違っていて、変なんです。心を殺して「何も望まない」という「俺」に対し、「未来はきっと明るいのだろう」と呟く「君」。絶望的な歌かと思いきや、最後の最後に「未来はきっと明るいのだろう」と歌うガラ。希望の歌なのか、絶望の歌なのか。今の「衆議院選」の後の世界を映しているみたいで、引き込まれてしまいました。…ギターソロがよりよくなっていて、うっとりさせられました。

8. F.J.P

「トットタト・ントタッ」というドラム(苦笑)から始まり、唸るようなベースソロが炸裂し、MERRY王道のギターリフへと続くパンチの効いた曲。この曲もガンガンのイケイケの楽曲になっていて、スピーディーで、パワフルです。この曲も、めっちゃ「風刺色たっぷり」の曲になっています。衆議院選挙前ということで、なんかぴったり合います。「捕らわれの鳥たちは何時迄も 朝焼けの夜 誰かの高笑いを聞くだけ」(サビ)なんか、選挙後の朝焼けの夜の当選者の高笑いにしか読めない(苦笑)。「無様な死であっても それはそれで美化されて さあさあ~ 明日はどっちだ!お祭り騒ぎ日本!!」。MERRYのパンクな一面が存分に発揮された一曲になっています。何時聴く?今でしょ!

9. Happy life -reprise-

先行シングル3曲の中では、一番「聴こえ方」が違う曲でした。シングルで聴いた時よりも、はるかにパンチの効いた攻撃的なビートの楽曲になっている!! ポジティブ?パンクバンドMERRYの最高潮がここにあるかも? 日本に警告を鳴らす8の後に、「世界がどうなったって 別にそれでいい 目の前の人達を幸せにしたいだけ」だもん。僕も同じ考え。8のF.J.Pの気持ちもある。だけど、結局は「勝つ者が笑い、負ける者が泣く」。でも、そんなことはどうでもいい。僕らにできるのは、目の前の人達を幸せにしようと願うことだけ(できるかどうかは別にして)。8~9の流れは、もう「反則」です!!(;;) カッコいい。

シングルバージョンは↓

10. SIGHT GLASS

本アルバムもクライマックスへ。久々に「初期メリー」を感じさせるエログロな曲がまさかここで登場、という…。この曲が「あの曲」か…。もう歌詞を読んだら、苦笑するしかない、という。言葉遊びも上手いなぁ…。この曲は、もう、語れないなぁ、、、(苦笑) とにかく歌詞に注目です!! メリー時代のエログロ、健在です!!!

11. エムオロギー

今回のアルバムの中で、最も彼らにとって大事な曲がこれでしょう。間違いない。D'ERLANGERでいうところの「CRAZY4YOU」的なものかな、と。あるいは、BUCK-TICKのアルバム的展開? BUCK-TICKって、昔から一番最後に一番の曲をもってくる傾向がずっとありまして。そういうストラテジーを感じました。「アルバムラストの曲!」っていうよりも、「一番のシングル曲系」。この曲に、これまでの、今の、そしてこれからのMERRYがぎゅっと詰まっていると確信しました。これはもう、聴いてくれ!!!って感じ。最高の一曲です!

この曲はYouTubeでもばっちり聴けます!MERRYワールドを存分に堪能してください!

***

エムオロギー。

これまでにも、MERRYにはたくさん「いいアルバム」がありますが、今回は、これまでと少し違う気がしました。

①コンパクトで勢い重視!(作り込んでない)

②シングル曲の入れ方が少し変わった。

③初期のメリー時代の「初期衝動」みたいなものを積極的に取り込んだ。

④アルバムの一体感が半端ない(歌詞も含めて)

是非是非、一度、このアルバムを手に取って、聴いてみてもらいたいです♪

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