1.
帰宅途中の道で。
道端にしゃがんでうつむいている男がいた。彼の足元には薄緑色の細かいものが散らばっている。うつむいた男はそれを指で転がしたり突いたりしているかと思うとパッと拾い上げて何かしている。
よく見ればそれはまだ熟れきれていない青いハシバミの実で既に大方は半分に割られて中身はほじられている。 男は一心にまるでリスのように器用な手つきで中身ほじりだして口に放り込むのだが、それは見とれてしまうほどに見事な作業の流れであって、思わず足を止めて見ていると私の気配に気付いた男が振り向いた。
振り向いた顔は南の方角から来た人のもので熟したハシバミの実と同じ色をしていた。
浅黒い少し恐いような顔つきなのが突然照れくさそうに微笑んだ。
2.
ハシバミは公園や庭木として好んで植えられるので、実のなる頃に道端に沢山落ちている事がある。
昔利用していたバス停のわきにハシバミの木が2,3本植わっていて、同じくバスを待っていたトルコ人の女性がハシバミの実を収獲しはじめた。やはりまだ茶色くなりきらぬ青い実で、彼女はまだそれほど硬くは無い青い皮をおもむろに剥いておいしそうにぽりぽりと食べた。実を採る時にバシ、バシ、バシと威勢良い音がしたので私はその日から「ハシバミ」を「バシバシ」の木と密かに呼ぶ事にしている。
3.
ちなみにハシバミの木の枝は水脈,鉱脈を探す占い棒としてよく使われたらしい。何でもエネルギーをよく通すという事からだ。
ヒルデガルド・ヴォン・ビンゲンは咳止め、肺炎等の病に効くと書いている。
木の実の中ではどちらかといえば私はそれほど好きではない実だが、青い実はひょっとして美味しいのでは無いかと今心が動いている。
明日にでもバシバシの実を試してみようか。。。
帰宅途中の道で。
道端にしゃがんでうつむいている男がいた。彼の足元には薄緑色の細かいものが散らばっている。うつむいた男はそれを指で転がしたり突いたりしているかと思うとパッと拾い上げて何かしている。
よく見ればそれはまだ熟れきれていない青いハシバミの実で既に大方は半分に割られて中身はほじられている。 男は一心にまるでリスのように器用な手つきで中身ほじりだして口に放り込むのだが、それは見とれてしまうほどに見事な作業の流れであって、思わず足を止めて見ていると私の気配に気付いた男が振り向いた。
振り向いた顔は南の方角から来た人のもので熟したハシバミの実と同じ色をしていた。
浅黒い少し恐いような顔つきなのが突然照れくさそうに微笑んだ。
2.
ハシバミは公園や庭木として好んで植えられるので、実のなる頃に道端に沢山落ちている事がある。
昔利用していたバス停のわきにハシバミの木が2,3本植わっていて、同じくバスを待っていたトルコ人の女性がハシバミの実を収獲しはじめた。やはりまだ茶色くなりきらぬ青い実で、彼女はまだそれほど硬くは無い青い皮をおもむろに剥いておいしそうにぽりぽりと食べた。実を採る時にバシ、バシ、バシと威勢良い音がしたので私はその日から「ハシバミ」を「バシバシ」の木と密かに呼ぶ事にしている。
3.
ちなみにハシバミの木の枝は水脈,鉱脈を探す占い棒としてよく使われたらしい。何でもエネルギーをよく通すという事からだ。
ヒルデガルド・ヴォン・ビンゲンは咳止め、肺炎等の病に効くと書いている。
木の実の中ではどちらかといえば私はそれほど好きではない実だが、青い実はひょっとして美味しいのでは無いかと今心が動いている。
明日にでもバシバシの実を試してみようか。。。