Papaver rhoeas
今年は無断進入してきたヒナゲシがやけに元気良く育った。
たったの一株しかないというのに何十、ひょっとして百近くもの花を咲かせたので驚いた。
ヒナゲシの横にある石楠花に新しい土を入れ肥料を加えたので、ここぞとばかりに大いに喰らい育ち数え切れぬ花を咲かせたものらしい。当然の事ながら種子のカプセルがたくさん出来ている。大きな芥子のカプセルとは違って小さくひょろリとはしているけれど美しい造形物だ。
この芥子の実はモルフィンを含まない。昔はRhoeadinと言うアルカロイドによって多量に摂取すると胃腸を壊すが、咳止めなどの薬草として活躍していた。
又この花のガクから赤インクを製造したというが、どんな赤インクが出来るのだろうか?
矢車草の青インク、ヒナゲシの赤インクで字を書くことを思うと心楽しいけれど、いまさらそんなものはお目にかかれないので残念だ。
クロアチアのアーティスト Sanja Ivekovic はドクメンタの会場広場を赤い花の海に変える準備をしたが残念ながらヒナゲシは彼女の見方をしてはくれなかった。
こういう野草は自我が強いとでもいうか、こちらの思いどうりにはなってくれないのだ。別段気にとめていない時に勝手にやって来て勝手に盛んにやっている。そういうものだ。
か細い茎や薄紙のような花びらの繊細さからは予想が付かない頑固さと野生の強さがある。
