夕方家に戻ると留守番電話がピカピカと信号を出していた。
釦を押すと、日本の妹と甥っ子からの誕生日祝いのメッセージだった。
もともと誕生日祝いのパーティーをするつもりもない。
年齢不詳で通しているので誕生日なんか忘れておくほうがいい。
とはいえ、お祝いの電話やメイルを戴くと嬉しいものだ。
プレゼントなんていらないので、ただ忘れず覚えて思ってくれた人がいると思える事が嬉しい。
杏の花。相棒から杏の盆栽をプレゼントに貰った。
杏の花というのは私はまじまじと見た事が無かった。
そして杏の盆栽というものにも今までお目にかかった事が無かった。
最近ではドイツも盆栽が多く見かけられるようになってきたようだ。
少し前は盆栽と銘打って、かなり"奇妙な鉢植え”が店に並ぶ事はあったが、我々日本人が盆栽と呼べる物が少なかった。最も盆栽経歴の無い私がそんな事を言うのもおこがましい。
子供の頃祖父がいじっている盆栽を見ては可愛いなあ、といじっては叱られたものだ。
カイドウの盆栽に花が満開だったある日、花が可愛らしいと思うと同時に、花が多すぎるんじゃないかと思い立ち、祖父のみようみまねで薄紅色の綿雲のように咲いた花をばちばちと切っておいたのだ。
無残にも切られた花で縁側にこんもり小さな山を作った。
散髪を受けて惨めになったそれに気がついた祖父はあんまり驚いて、私を叱るのも忘れてしばらく唖然としていたようだった。今ならその時の祖父の気持ちは良くわかる。とはいえ今でも満開のカイドウをみると花が多すぎると思ってしまうけどね。
私の盆栽経験はそれ以来しばらく途絶えていた。
かなり後になってやはり祖父が持たせてくれた皐月の2鉢は日当たりの良いベランダで、ある日気がつくとカラカラになってあえなく死んでいたのだ。
それ以来盆栽には手を出さないでいたのに最近気になっている。
調べて見るとドイツにも盆栽を商売にしている店が案外あって、そのうちの一軒を訪ねてみた。店は近々移転するという事で、品物が既に移動中で商品が少なかったのだが、富士砂、ケト土、赤玉、鹿沼土。。。何でもあるのには驚いた。
そしてこの杏だ。
遠目に梅なのか?と思って見ると杏で、梅は三月ごろ入荷するらしい。
この盆栽園芸店にはウェブサイトがあって愛好家達の意見交換ボックスが設けられている。
僕の始めての盆栽見て下さい!と自慢の写真を見せる者あり、こんなになっちゃってるんだけれどどうしたら良いの?と助けを求むる者あり、"やまどり”をしたいんだけれど、何処でするといいの?と言う質問があったりする。
やまどりの質問の答えが面白かった。
"墓地の裏に大抵あるゴミ箱には捨てられた植物が良く見つかるからそこを捜してみたら?でもあまり怪しげな行動は止めたほうがいいからね!それと墓地の中に植わっているのはだめだよ!”とかね。
墓地の植木ねえ。。。斬新な思い付きだ。
自慢の盆栽をウェブサイトに写真掲載しているドイツ人の作品を幾つか見たが、う~ん、こりゃあすごい新しい盆栽の境地である、カテゴリーを新たにすべきではないかと驚くべきものがあった。この辺のセンスは違うのだからしかたない。盆栽文化の分派だ。
訪ねた店には水石なども置いてあって、聞けば店番をしていたおじさんが水石の係だという。五月新装オープンするとこの店はドイツで一番大きな盆栽園芸センターになると自慢げに説明してくれた。
また行ってみようとたくらんでいる。
釦を押すと、日本の妹と甥っ子からの誕生日祝いのメッセージだった。
もともと誕生日祝いのパーティーをするつもりもない。
年齢不詳で通しているので誕生日なんか忘れておくほうがいい。
とはいえ、お祝いの電話やメイルを戴くと嬉しいものだ。
プレゼントなんていらないので、ただ忘れず覚えて思ってくれた人がいると思える事が嬉しい。

杏の花というのは私はまじまじと見た事が無かった。
そして杏の盆栽というものにも今までお目にかかった事が無かった。
最近ではドイツも盆栽が多く見かけられるようになってきたようだ。
少し前は盆栽と銘打って、かなり"奇妙な鉢植え”が店に並ぶ事はあったが、我々日本人が盆栽と呼べる物が少なかった。最も盆栽経歴の無い私がそんな事を言うのもおこがましい。
子供の頃祖父がいじっている盆栽を見ては可愛いなあ、といじっては叱られたものだ。
カイドウの盆栽に花が満開だったある日、花が可愛らしいと思うと同時に、花が多すぎるんじゃないかと思い立ち、祖父のみようみまねで薄紅色の綿雲のように咲いた花をばちばちと切っておいたのだ。
無残にも切られた花で縁側にこんもり小さな山を作った。
散髪を受けて惨めになったそれに気がついた祖父はあんまり驚いて、私を叱るのも忘れてしばらく唖然としていたようだった。今ならその時の祖父の気持ちは良くわかる。とはいえ今でも満開のカイドウをみると花が多すぎると思ってしまうけどね。
私の盆栽経験はそれ以来しばらく途絶えていた。
かなり後になってやはり祖父が持たせてくれた皐月の2鉢は日当たりの良いベランダで、ある日気がつくとカラカラになってあえなく死んでいたのだ。
それ以来盆栽には手を出さないでいたのに最近気になっている。
調べて見るとドイツにも盆栽を商売にしている店が案外あって、そのうちの一軒を訪ねてみた。店は近々移転するという事で、品物が既に移動中で商品が少なかったのだが、富士砂、ケト土、赤玉、鹿沼土。。。何でもあるのには驚いた。
そしてこの杏だ。
遠目に梅なのか?と思って見ると杏で、梅は三月ごろ入荷するらしい。
この盆栽園芸店にはウェブサイトがあって愛好家達の意見交換ボックスが設けられている。
僕の始めての盆栽見て下さい!と自慢の写真を見せる者あり、こんなになっちゃってるんだけれどどうしたら良いの?と助けを求むる者あり、"やまどり”をしたいんだけれど、何処でするといいの?と言う質問があったりする。
やまどりの質問の答えが面白かった。
"墓地の裏に大抵あるゴミ箱には捨てられた植物が良く見つかるからそこを捜してみたら?でもあまり怪しげな行動は止めたほうがいいからね!それと墓地の中に植わっているのはだめだよ!”とかね。
墓地の植木ねえ。。。斬新な思い付きだ。
自慢の盆栽をウェブサイトに写真掲載しているドイツ人の作品を幾つか見たが、う~ん、こりゃあすごい新しい盆栽の境地である、カテゴリーを新たにすべきではないかと驚くべきものがあった。この辺のセンスは違うのだからしかたない。盆栽文化の分派だ。
訪ねた店には水石なども置いてあって、聞けば店番をしていたおじさんが水石の係だという。五月新装オープンするとこの店はドイツで一番大きな盆栽園芸センターになると自慢げに説明してくれた。
また行ってみようとたくらんでいる。