エコノミスト誌がWaiting for the great fallという大仰なタイトルで中国弱気筋のショート戦略について言及していた。記事は著名なショートセラー・ジム・チャノス氏が昨年ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで「中国の不動産バブルはドバイの千倍の悪い結果で終わる」と予想したスピーチの話から書き始める。
だが今のところ中国はチャノス氏や数少ない追随者が述べたようには崩壊していない。ただし株価は昨年14%下落している。チャノス氏は既に大変良い空売りだったと述べている。
ただし具体的に中国株を空売りすることは簡単ではない(特に中国人にとって)。何故なら中国では空売りは禁じられているからだ。空売りするには香港かニューヨークに上場されている株式を空売りすることになる。
また中国経済の大きな減速をヘッジするというマクロ的な観点から、世界規模のコモディティ会社の株を空売りしたり、中国ブームで高値をつけている豪ドルをショートする戦略を取る投資家もいる。
ただし冒頭「大仰なタイトル」と述べたとおり、中国弱気論者は未だ少なく、中国株ショートポジションの比率はNASDAQで4%、香港証券取引所で1%に過ぎない。ただし中国強気論者の中には慎重な姿勢を示すところもでている。エコノミスト誌によるとゴールドマン・ザックスのアジア・太平洋地域のチーフ・ストラテジストMoe氏は「アジアが米国をアウトパフォームするというより長期な図式は一休みをしている」と述べている。
今中国の前にあるのはバブルの崩壊とそれに続く混迷か?あるいは長期的な経済成長の中の一時的な足踏みか?は分からない。だが制御が難しくなりつつある人件費や食料費の高騰を見て、多くの投資家は中国に神経質になりはじめている。昨年前半は米国の二番底懸念が大きな関心事だったが、今年の前半は中国のインフレ対策の成否が大きな関心事になっている。