金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

本屋さんが食糧品を売る時代

2011年01月25日 | 社会・経済

アメリカの話だが、書籍の無店舗販売最大手のアマゾンが、取扱商品を日用雑貨や生鮮食料品まで広げてきた。http://fresh.amazon.com/Search?tn=1

FTによるとアマゾンは本拠地のシアトルで、昨年夏から購入金額の多寡にかかわらず無料配送を行なうサービスのテストを始めている。

アマゾンは食糧品を購入する顧客のウエッブサイトへの立ち寄り頻度に注目している。これは1990年代にウォールマートが業容を伸ばす時に取った戦略と同じだ。ウォールマートは、低価格の食糧品販売で顧客の来店頻度を高め、利益率の高い雑貨品の拡販につなげていった。

一方ウォールマートもオンラインショップに力を入れている。ウォールマートは既存店舗をオンライン注文品の集配場所に活用する戦略で、無店舗のアマゾンにはない強みを強調している。なおFTによるとアマゾンは既存の物流ルートを使って英国とドイツでも昨年食糧品の販売を開始した。

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このような流れを見ていると、日本でもこれから食品や雑貨のオンライン販売が加速しそうだ。今のところ私は日本の食品オンライン販売は主に3つの消費者の需要をつかまえていると考えている。

第一は「多忙・交通手段の問題等で来店購入が難しい消費者が宅配を望む」ケースである。第二は「消費者が高い値段を払っても食材の安全性や素性に拘る」ケースだ。これは無農薬野菜の販売などで強い支持層を持つ「大地を守る会」などが該当する。第三は「訳ありで安い食品を望む消費者をターゲットとする」ケースだ。例えば京王はアウトレット食品として、メーカー在庫処分品などの安値販売を行なっている。

上にあげた三つの傾向は場合によっては一人の人が重ね持っていることもあるだろう。つまり全般的に食の安全性に拘るが、理由がハッキリしていれば安い商品も買うという具合に。

日本の食品小売りの世界にアマゾンが乗り込んで席巻する時代がすぐ来るとは思わないが、オンライン宅配競争は激化しそうだ。それは場合によっては食品業界の構図を変える可能性があると私は考えている。予兆は海の向こうに見える。

コメント
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