昨日米労働省は12月の物価指数が前月比0.1%上昇、変動幅の激しい食料・エネルギーを除いたコア・インフレ率は0.3%上昇したと発表した。
半年ベースで見たコア・インフレ率(年率換算)は、2.2%で、6月時点での0.9%を大きく上回っている。また3か月ベースでコア・インフレ率は既に2.5%に達している。年ベースでみたコア・インフレ率は春先には2%に到達する勢いだ。
昨年の春インフレ率が鈍化した時、イエレン連銀議長は「携帯電話料金の低下などによる一時的現象でインフレ傾向は続いている」と発言していたが、今では多くの市場関係者が「イエレン議長のインフレ見通しは正しかった」と認めるようになっている。
退任するイエレン議長にははなむけの賛辞になる。
適度な物価上昇は経済を活性化する上で必要なものだろうが、それはマクロ経済上の話で、個人の生活で考えると全く違った意見になる。特に日本の年金生活者の場合、物価上昇が始まっても直ぐに国の年金がフルに物価上昇分引き上げられるとは考えにくい。また通常の企業年金の場合はインフレにスライドしないから、インフレは年金生活者を直撃する。
日本でも宅配便の料金等サービス分野ではすでに大幅な引き上げが行われつつある。デフレ脱却が宣言されるのはそう遠い先の話ではないだろう。そしてそれは多くのシニア層にとっては憂鬱な日の始まりでもある。
私は3年ほど前にアマゾンで「インフレ時代の人生設計術」という本を出版した(キンドル・アンリミテッドで無料で読むことが可能)。本の趣旨は将来の生活設計図の作る時、将来の物価上昇率を想定して支出を見積もる必要があり、それをカバーするにはインフレ抵抗力のある資産をポートフォリオに持つべきものだというものだ。当時はデフレ進行中の最中でほとんど注目されなかったようだが(笑)。
だが私は自分の書いたことを実践し気長にインフレ抵抗力のある資産(つまりグローバルな株式)に細々と投資を続けてきた。幸いなことにこちらの方はインフレより先に花が開いた(もっともコレクションが起きると一部は「あだ花」になるだろうが(笑))。
物価上昇が始まりやがて日本でも金利が上昇してくると、人々は「お金の時間的価値」ということを思い出し始めるだろう。だがインフレ対策はその時では遅いかもしれない。今がやるべき時だろうと私は考えている。