昨日(1月4日)米国株式市場では、ダウ・S&P500・ナスダックとも高値を更新した。各紙のヘッドラインは、ダウが25,000ポイントを超えたことを報じている。
株価が高値を更新した理由は、民間給与計算会社ADPが、先月に新規雇用数が25万人(市場予想は18.8万人)と発表したことや、コモディティ価格が堅調だったことによる。だが最大の原因は昨年の株価上昇の原動力だった「モメンタム」が持続していることだろう。
だが私が注目したのは、株価上昇による資産格差の拡大に関する記事だった。
日銀が発表している資金循環統計によると、米国の家計の資産構成の34.3%は株式・出資金、13.2%は投資信託となっている。日本の資産構成は、各々10.8%、5.7%だ(2015年6月末)
仮に投信の半分を株式投信とすると、米国家計資産の40.9%は株式投資に、日本のそれは13.7%が株式投資に配分されていることになる。
ここまでは「平均的」な話である。
実際に株価上昇で恩恵を受けた個人がどれ位いるのか?ということになると、個人投資家の頭数が問題である。
U.S.A.TODAYは、ギャラップの「2008年の金融危機前は62%の個人が株式投資を行っていたが、その後オンリー54%の個人が株式投資を行っている」と報じている。金融危機後の暴落で株式投資を止めた人は戻っていないのである。
またドイツ銀行の分析によると、現在の米国では純資産額で最上位の0.1%が持っている純資産総額が、90%の人が持っている純資産総額と等しいという。
1980代半ばには、この比率は最上位10%の人の純資産額と90%の人が持っている純資産額と等しかったから、富の一極集中が加速している訳だ。
以上のようなことから「株価上昇の恩恵を受ける米国個人は5割程度で、しかも資産保有残高の多い富裕層ほどその恩恵度合いは高い」ということになる。昨年末に成立した税制改革法案が株価を押し上げているとすれば、税制改革のメリットを受けるのは富裕層ということができる。
ところで上の方で「オンリー54%の個人が株式投資を行っている」と書いたが、日本の状況はどうだろうか?
日本証券業協会が平成27年11月に発表した調査では、約18%の人が有価証券を保有していると回答している。
デフレムードと過去のトラウマから株式市場に入っていない人が多いのだ。日本の場合は株高で家計が潤う影響は米国より更に限定的である。