ダボス会議で米国のムニューチン財務長官が「ドル高は貿易にとって良いこと」と発言したことでドル安が加速している。昨日(1月24日)は一時108円台まで円高が進んだ。
多通貨に対するドル指数ICE指数は2014年12月以降の安値となった。
ドル安が進んだ一つの理由はダボス会議でムニューチン財務長官が「ドル高は貿易にとって良いこと」と発言したことだ。もっとも彼は「長期的には強いドルは米国経済の強さの反映である」とも述べているが。
昨年財務長官に就任した時彼の姿勢はトランプ大統領とは異なり、強いドルを支持するというものだった。もっともその時点でドル高は米国の貿易能力を傷つけると警鐘は鳴らしていた。
ところで債券市場では米国の長期金利は上昇基調にある。通常金利が上昇している国の通貨は強含むはずだが、ドル安が進行しているので、為替の専門家も頭を悩ませているだろう。
その背景にはいくつかの理由が考えられる。一つの理由は米国経済にキャッチアップして、欧州などの経済成長が加速しやがて政策金利が引き上げられるという見方だ。
米国の税制改正で将来的に財政赤字が拡大するというのもドル安を想起させると思う。もっとも財政赤字に着目すると円を買うなって発想は起こり得ないがそこは長期の見方と目先の鞘取り狙いの違いによるものなのかもしれない。
それに加えて私は「米国はドルの水準をある程度コントロールする力を持っている」ことにあると考えている。
さて日本からドル建て資産に投資している人にとってはドル高は不安材料(資産の円ベースの評価額が下がるから)と思うかもしれない。
為替ヘッジに走る人やドル資産のエクスポージャーを落とそうとする人もいるかもしれない。しかし私は「米国株などグローバルな株式投資を行っている」個人にとってはそれほど慌てる局面ではないと考えている。
何故ならドル安は米国の輸出企業の業績を改善し、株高につながるからだ。また原油・金などコモディティ価格を押し上げる。コモディティ価格の上昇とドル安は新興国経済にプラス材料だ。
近い将来ドル資産を換金するニーズがある場合を除いて私はそれほど慌てることはないと考えている。為替をヘッジするよりもドル安で上昇する資産を保有することで資産全体の価値をヘッジすると考える方が良いのではないだろうか?