セミナー講演では時々本題より小話の方が受けることがある。
先日某所で相続学の話をした時も自立に関する小話がけっこう受けた。
小話の内容は「水を入れるポリタンクにはシェルが固いハードシェル型と持ち運びに便利なソフトシェル型がある。ハードシェル型は水を入れなくても立っているが、ソフトシェル型は水を入れることで自立する。」「少し前までの日本の社会はハードシェル型だった。家族や会社あるいは成長神話がシェルの役割を果たし、必ずしも自分の足で立つ必要がなかった。」「だが現在の社会はそのような枠組みが消えつつある。だから自分の中に何かを満たすことで自立する必要があるのだ」
ポリタンクの中に満たすものは人によって異なるだろう。家族であったり、趣味であったり、社会的使命感であったりと人様々だ。
むしろ様々の方が良いのだ。様々なソフトシェルポリタンクが自立して、自立したポリタンクが支えあうことでより強固な社会ができていくことが理想なのだ。
現在国会で働き方改革が議論されているが、論点が残業代問題に偏り過ぎている感がある。過度の残業が心身の健康を蝕み、豊かな人生を損なっていることは間違いない。過度の残業を抑制することには賛成だ。
だがそれだけで働き方を改革できるとは思われない。大切なことは「ソフトシェル型ポリタンクに自分という水を入れて自立する人間」を育て大切にする社会を作ることではないか?
ある人から「この話私のセミナーでも使わせてください!」と声をかけられた。どうぞ、どうぞである。話には著作権はない(本当かなぁ)。話を聞いて自立を目指し、そしてその持続を目標に生きる人が増えるならば大歓迎である。