今日(12月21日)の日経新聞朝刊トップは「中古住宅取引 透明に」だった。
業者間システムで取引状況の開示を義務付けることや、専門家による診断を普及させる法改正などが主な対策だ。
日本の住宅市場は新築住宅が中心だ。住宅取引における中古住宅の割合は、日本は14.7%で、米国の89.3%、英国の88.0%、フランスの68.4%に較べて著しく低い。日本の中古住宅取引の割合が著しく低い理由の一つは、暮らし方の変化~家電・家具の大型化、少子化、欧米化など~に過去の住宅が対応できていないので、新築住宅に対する需要が強い時代が長く続いたことにあると私は考えている。
また新築住宅は経済的な波及効果が大きいので、政府は景気テコ入れのため住宅建設を後押しする政策を打ち出してきたことも中古住宅取引が伸びなかった理由の一つだろう。
ところで英米では、中古住宅のことを中古住宅とは呼ばない。英語では中古住宅をexisting house「既存住宅」という。中古という言葉には新品より劣る、経年劣化しているという意味が内包されているが、既存という言葉にはそのようなマイナスイメージはない。
たとえば美術品には新品・中古品という区別はない。新作であれ誰かが所有したものであれ、価値のあるものには同じ値段が付く。
政府が本気で中古住宅取引の拡大を目指すなら、まず中古住宅を既存住宅と呼び名を変えるべきだろう。少なくとも機能的に新規住宅に比肩するような住宅には既存住宅という呼び名を付与するべきだ。
またマスコミも米国のexisting home salesなど住宅取引データを伝える時、「中古住宅販売件数」と言わずに「既存住宅販売件数」という正しい訳語を使うべきだと私は考えている。名は体を表すのだから。