明日(12月4日)に行う講話について最終版がまとまりました。
テーマは「夢を持つことと夢の切り替え」です。
先月私はある学会で3人の人の話を聞く機会がありました。一つは世界的なチンパンジー研究者の松沢哲郎京大教授の「想像する力」という話。もう一つは全盲の弁護士・大胡田誠さんの話。大胡田さんの話は多岐にわたったのですが、一番印象に残ったのは、彼が4度目の司法試験に落ちて今後の進路をどうするか迷っていた時、御母堂が「迷った時は心が温かいと感じる方を選択しないさい」とアドバイスした話でした。
最後は日本モンキーセンターの主席学芸員・高野 智博士の「進化とは環境に適応することだ」というお話でした。3人の話を聞いてまず感じたことは、それぞれのお話に強いインパクトがあるということでした。そのインパクトはどこから来るのか?というと私は「夢を持ったぶれのない生き方から来る」と感じました。
大胡田さんの言葉を引用すると「迷った時は心が温かいと感じる方を選択する」という生き方です。心が温かいと感じる方は「夢がある」方と言っても良いでしょう。つまり夢の実現に向かう生き方をするとぶれのない生き方ができるということです。だから人生には夢が必要なのです。
だが勤め人の場合、一つの夢を追い続けることは困難です。今後定年年齢は伸びていくでしょうが、それでもいつかは会社や組織を去る日があります。元気であれば定年後20年程度の「自分が自由にできる時間」が生まれるはずです。その自由な時間帯に夢をもっているかどうか?ということは大きな問題です。スマートエイジングに必要なものはまず「夢」なのでしょうね。
若い皆さんにはそんな先の話は想像し難いと思いますので、もう少し短いtime spanの話をしましょう。皆さんは「ある夢」を持ってこの会社に就職されたと思います。そしてその夢の実現に直結するラインに関わっている人もいるだろうし、場合によっては今のところ自分の夢と少し違う仕事に携わっている人もいるかもしれません。
この会社を含め日本の企業は長期雇用を目指しています(「終身雇用」という言葉は死語に近いかもしれません。終身雇用が守られているのは大企業の男性で労働人口の9%程度と言われていますから・・・)。
企業は従業員に長期雇用を求める代わり、従業員からオプションを買っています。何のオプションか?というと「勤務地や仕事の内容を人事発令で変える」というオプションです。オプションの代金は皆さんの給与の中に入っているのです。
経済環境や会社の状況の変化に合わせて会社はこのオプションを行使するので、勤務地や仕事の内容が変化するというのが、日本企業の雇用の一つの特徴でしょう。
そしてこの変化に伴い、皆さんの夢も影響を受けることがあるかもしれません。その時今までの夢に固執するか?新しい夢を見いだすか?は中々難しい問題です。ケースバイケースですから、ここではこれ以上踏み込んだ話はしません。
ただ勤め人には「夢を切り替える」必要に迫られることがある、ということは認識しておいた方が良いでしょう。
この問題に対する対処方法は二つあると私は思います。
一つは複数の夢を持つことです。より具体的には仕事と関係ない趣味やボランティアなどを通じて自己を実現していく夢を持つということです。
もう一つは個別の夢の上にあるより大きな夢~例えば街づくりを通じて、人々が生きがいを見いだせる社会を創る・・を持つことです。
より大きな夢を持っていると、個々の夢の実現に多少の障害が起きても受け止めることができるでしょう。
昨今ストレスマネジメントということが言われています。私はストレスマネジメントで一番大事なことは夢を持つということだと思っています。夢があるから目先の障害を乗り越えることができるのです。
そのためには「夢のマネジメント」が必要なのでしょうね。
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