WSJのJapanese Universities look to get Schooled in Investing(日本の大学は大学自体に投資を学ばせることに関心を寄せている)と記事の中に、Public institutions such as the top-ranked University of Tokyo also want in.という一文があった。
私学の資産運用熱が高まる中で、「トップランクの東大のような国公立大学も仲間に入りたいと望んでいる」という意味だ。
Want inは「仲間に入りたい」という意味だ。want inには次のような使い方もある。英語のイディオム辞書に、I want some coffee in this room now!(今この部屋にコーヒーを持ってきてくれ!)という例があった。
現在のところ国公立大学には、資産運用制限があり、高格付の円債しか投資することができないが、国立大学の資産運用担当者は、運用制限の緩和を政府に求めている。記事によると東大の資産運用責任者は「政府が税金で賄われる基金が投資で毀損することを懸念するのであれば、大学が寄付金として集めた基金分だけでも運用制限を緩和して欲しい」と述べている。
運用収益の元になる基金の厚みで、日本の大学は米国の大学に較べて大きく見劣りする。記事によると日本の大学が保有する基金は総額約10兆円(840億ドル)だが、ハーバード大学一校で360億ドルの基金を持っているという。
もっとも資産運用にはリスクはつきもの。大きな基金残高と優れた頭脳を持つ米国の基金も、リーマンショックでは平均18.7%の損失を被り、ハーバード大学の基金はまだ2008年にピークを付けた資産価値を回復していないという。
アベノミクスが目指すところは、平たくいうと、日本の経済構造・社会構造の米国型化だ。大学への政府補助金を減らすから、資産の効率運用で収入を増やしなさいという訳だ。
だが資産運用だけで少子化で今後先行きが暗い大学の収入を賄うのは覚束ない話。大学教育と研究のレベルを高めて、アジア諸国等から優秀な学生を受け入れ、日本の学生と一緒に勉強させ、人材のネットワークを作っていくのが本筋だと思うのだが・・・
それはさておき、日本の優秀な大学に資産運用という真剣勝負の場で実学を勉強させるのは良いことだと思う。この観点から国公立大学の運用制限も少し緩和しても良いのではないか?と思う。そして彼らが「畳水練」の徒ではなく、実学の徒であることを示してくれるなら、日本の大学の評価も高まるというものである。
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