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【イディオム】Associate with 日米、相手の見方は違っても高まる信頼

2015年04月09日 | 英語・経済

今月(4月7日)に米国の調査機関PewResearch Centerが発表したレポートによると、日米双方の約7割の人がお互いに信頼できるとしている。これはアメリカ人の30%、日本人の7%が中国を信頼できると言っているのに、較べると非常に高い相互信頼関係といえるだろう。

より細かく見ると、日本を信頼できると言っているアメリカ人は68%で、その内大いに(a great deal )信頼できると言っている人は26%、かなり(a fair amount)信頼できると言っている人が42%だ。

一方日本人の75%がアメリカ人を信頼できると言っているが、大いに信頼できると言っている人は10%で、かなり信頼できると言っている人は65%である。強い信頼感においてはアメリカ人の方が日本人を上回っている。

調査の中で興味深かったのは、それぞれの国民性に対する見方に顕著な違いがあったことだ。

PewはWhich of these characteristics do you associate with Japanese (American) people?「日本人(アメリカ人)からこれらの性格を連想しますか?」という質問を調査対象のアメリカ人/日本人に投げている。

Associate withは「連想する」というイディオムだ。

日本人については「勤勉」を連想したアメリカ人が最も多く94%の人が連想すると言い、連想しないと言った人は4%に過ぎなかった。

また独創的を連想すると言ったアメリカ人は75%で連想しないと言った人は19%。正直を連想すると言ったアメリカ人は71%でしないと言った人は19%だった。ここまでは「良い性格」に関する質問で、以下は「悪い性格」に関する質問。

日本人に「狭量」を連想すると答えたアメリカ人は36%で、連想しないと答えた人は53%。「強引」を連想すると答えた人は31%で、しないと答えた人は64%。「利己的」を連想すると答えた人は19%で、しないと答えた人は73%に登った。

同じ質問を日本人にしたところ、アメリカ人から「独創的」と連想すると答えた人は67%、しないと答えた人は24%。

また「狭量」を連想すると答えた日本人は29%で、連想しないと答えた人は59%だった。

「独創性」「狭量」に関する両国民の相手に対する評価ははぼ一致している。

しかしそれ以外の性格については相手の見方がかなり異なる。

「勤勉」については、日本人の25%だけがアメリカ人から勤勉を連想すると言い、62%は連想しないと答えている。

またアメリカ人から「強引」を連想する日本人は50%(しない人は43%)、「利己的」を連想する日本人は47%(しない人は44%)、「正直」を連想する人は37%(しない人は48%)だった。

少し悩ましいのは「強引」という言葉だ。英語の質問ではAggressive. Agressiveには「攻撃的、強引な」というネガティブな意味と「積極的、主体的」というポジティブな意味がある。アメリカ人はAggressiveという言葉をポジティブな意味で使うことが多いが、Pewが日本人に対してAggressiveをどのように訳して質問したのか分からない。ここでは全体の流れから「強引」と訳してみたがそれがPewの訳語だったかどうかは分からない。

いずれにせよアメリカ人が日本人に対して持っているステレオタイプは「勤勉で独創的。正直で強引さや利己主義な面は少ない」というものだろう。

一方この調査から浮かび上がる日本人がアメリカ人に対して持っているステレオタイプは「独創的だけれど、あまり勤勉じゃない。狭量ではないにしろ、強引で利己的と考えている人とそうではないと考えているがほぼ拮抗」というものだろう。

もっとも多くの人は正確な情報に基づいてこのような判断を下している訳ではない。アメリカ人で現在の安倍首相に好意的な見方をしている人は11%に過ぎない。といって残りの人が否定的な見方をしている訳ではない。73%の人は単に安倍首相について聞いたことがないのである。

人間の意思決定プロセスで重要なものは、正確な情報よりも印象であることが多いという。とすれば、米国人が日本人をかなり高めに評価していることは大事にしていくべき財産であろう。

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