金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
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世界の中で日本の死刑を見ると・・・

2010年07月29日 | 社会・経済

法相就任以来死刑執行にサインをしてこなかった千葉法相が死刑執行にサインをし、昨日執行に立ち会ったということで死刑の問題がちょっと話題になっている。日本では死刑の存続を認める声が強いが、世界的には死刑を廃止する傾向が強い。アムネスティ・インターナショナルのホームページによると、世界の3分の2以上の国が法律によりまたは運営により死刑を廃止している。また死刑を存続させている58の国も大半は死刑を実行していない。

一番死刑が行われたのは中国だ。ただしその数は正式には発表されていないがエコノミスト誌は中国で刑死した人の数はそれ以外の総ての国の刑死者の合計を上回るという。

2009年の刑死者の数が分かる国について見ると日本が7、米国が52、イランが388以上、サウジアラビア69以上、イラク120以上、イエメン30以上、ベトナム9以上がおもなところだ。

欧州連合が死刑に反対するヨーロッパではアムネスティ・インターナショナルが記録を取り始めて以来始めて死刑執行がなかった。というのは今まで死刑を執行してきたベラルーシが始めて死刑を行わなかったからだ(死刑判決はでている)。

以上のような状況から死刑執行数が多い国・地域は、中国、中東地域、米国であることが分かる。中国を除く東アジア諸国ではそれ程死刑は執行されておらず~タイが2件、ベトナム9件、シンガポール1件、バングラデシュ3件、北朝鮮、マレーシアは若干~、日本はこの地域ではやや多い方に属するだろう。

死刑の是非については、その文化圏の人間観や法慣習が影響を与えている。欧州連合は「生命の絶対的尊重」の観点から死刑廃止を訴えている。一方中東諸国では「目には目を」のハンムラビ法典の伝統が生きていると思われる。

ところで1年程前にブログで書いたが「死刑を執行する方が懲役刑を科すよりもコストが高い」という研究が米国でなされていた。http://blog.goo.ne.jp/sawanoshijin/d/20090314

死刑の是非をコストアプローチで決めるのは如何なものか?という気はするが、一つの論点ではあろう。またその研究によると死刑は必ずしも凶悪犯罪の抑止力にならないことも論じられていた。

私は今のところ個人的には死刑存続論に立っている。つまり世の中には死を持って償うしかない犯罪もあると考えているのである。ただ死刑の犯罪抑止効果等については内外の実証的な研究をもっと研究してみたいと考えている。

コメント
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