金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

欧州国債の次の問題は米国地方公共債へ

2010年07月06日 | 金融

「今年後半のリスクは投資家が欧州から米国地方債へ注意を振り向けることだ」とクレディ・スイス証券のRobert Parkerシニア・アドバイザーは述べたとファイナンシャル・タイムズは報じている。

動揺が一番激しいのはBuild America Bonds (Babs)と呼ばれる1千億ドル規模の課税債券だ。米国の地方公共団体は伝統的に免税債券により、資金調達を行ってきた。しかし今回のリセッションで免税債券による資金調達が困難になってきたので、2009年に政府はアメリカ復興・再投資法の一環としてBabsを導入した。これは利払いの35%に相当する金額を政府が補助するというもので、このスキームにより、事業債の投資家を地方公共債マーケットに引き込むというものだ。

だが事業債の投資家は伝統的な免税債券の投資家とは異なり、デフォルトリスクに対して敏感である。その結果財政状況が悪化している米国地方債の利回りが上昇し始めている。バークレイズ・キャピタルのインデックスによると、5月始めに米国債比161bpだったスプレッドは228bpに上昇している。

National Conference of State Legislatureによると、7月1日から始まる新しい会計年度で米国州政府の財政赤字は890億ドルになると予想される。欧州各国が抱える財政赤字と年金赤字という問題を米国州政府も抱えるから投資家の注目がこのセクターに向かう訳だ。

米国の地方公共団体がデフォルトを起こした例はほとんどないとはいえ、投資家は神経質になっている。

☆  ☆  ☆

街を歩いていると参院選で走り回る候補者の連呼が耳に入る。中には声高に「消費税引き上げ反対」を叫ぶ声もある。「引き上げる消費税の使い道をはっきりさせろ」という声も聞こえる。

だが小難しい理屈やお題目のような増税反対を唱える前に、常識的でかつ直感的な判断が必要な時期だろうと私は考えている。

まず「世界の先進国が高い消費税を課している時代にどうして日本だけ5%の消費税でやっていけるのか?」という常識的直感が必要だ。今まで5%でやってこれたのは単に借金をして収支を合わせてきたに過ぎないのだ。その結果GDPの2倍まで借金は膨れ上がってしまった。この借金は政府の冗費の削減で追いつく規模ではない(無論冗費は削減しなければならないが)。

「消費税の使い道をはっきりさせろ」という主張はどうだろうか?これは家計に例えると債務過剰に陥っている家で、新しい収入の道が見つけた時、それを何に使おうか?と議論するようなものだ。無論「入るを図って出るを制する」家計と「出るを図って入りを制する」国家の財政を同一レベルで論じることはできないことは承知しているが、国の借金もここまで膨らむと「借金削減」を第一に考えるべきなのだろう。

さもないと後世の経済史家は「欧州で始まった国家の財政破綻騒動は米国の地方公共団体に飛び火し最後は日本の国債問題に火をつけた」と述べるかもしれないと私は懸念している。

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昼間の散歩は暑過ぎました

2010年07月06日 | まち歩き

会社の仲間でランチに行くと、ランチの後散歩をする人がいる。健康のためだそうだ。今日の昼も彼は散歩に出かけたので、僕も真似をして小伝馬町辺りまで散歩することにした。幸いなことに日差しがないのでそれ程暑くないだろうと思いながら。

日本橋室町から小伝馬町の十思公園までは片道9百メートル10分程度だ。歩き出した時はそれ程暑くなかったが、歩くにつれてどんどん汗が出てきた。十思公園は小伝馬町牢屋敷跡にあるので、史跡の説明を見ようと思っていたが、とてもそんな気になれなかった。

ただ公園の奥に咲いていたカンナに似た花が涼しげだった。それにしても梅雨時の昼間の散歩は暑過ぎる。体を動かすなら夕方ジムで走るのが一番だ。走った後の水風呂ほど気持ちの良いものはない。

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より大きな地図で 十思公園 を表示

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自動車業界の回復はout of gas

2010年07月06日 | 社会・経済

ファイナンシャル・タイムズはGlobal car sector's rebound runs out of gas.「世界の自動車業界の回復は息切れ」という短い記事を載せていた。Run out of gasは「車がガス欠になる」「エネルギーがなくなる、息切れする」「(ものごとが)前に進まなくなる」という意味だ。自動車業界の話だから業界の失速状況を掛詞的にout of gasと表現している。

春頃までの車の販売状況は調子が良かったが、「買換え補助金」の終了に伴い売れ行きは鈍化してきた。

米国の6月の自動車販売台数は年率換算ベースで11.1百万台。これは昨年同期の9.6百万台を上回っているが、4月の11.2百万台や5月の11.6百万台を下回っている。

欧州で一番大きな「買換え補助」プログラムを持っていたドイツでは、プログラムの終了により先月の販売台数は昨年同月比32%減少した。

販売促進のため、ディーラーは値引き販売を始めている。カナダでGMやフォードモーターは「従業員価格」プログラムを7月と8月に開始する。

業界アナリストは新興国市場での自動車販売が世界全体の販売台数を伸ばすと見ているが、中国など鍵となる市場で販売が鈍化するリスクはありそうだ。

中国でも販売台数の伸びは鈍化している。5月の伸びは25%だったが6月には10.9%に鈍化した。ディーラーは在庫処分に頭を悩ませているとFTは報じている。

☆   ☆   ☆

私事だが「今年は車を買い換えようかな?」と考えている。今乗っているX-trailが7年を越えたからだ。先月ニッサンが小型のクロスオーバーカー・ジュークを新発売したので、早速試乗してみた。その体験をブログに書いたところ結構アクセスがあった。毛色の変わった車は人目を引くのだろうか?

先月発売されたジュークは二輪駆動のみ。私が関心のある四輪駆動は11月にならないと発売されない。ところが「エコカー補助金」(13年超の中古車買換えには25万円、それ以下の中古車買換えには10万円の補助金がでる)プログラムは9月で終了する。

ニッサンの担当者に「これってちょっと辛いよね」というと、彼は「エコカー補助金がなくなれば、値引きで対応できると思います」と心強いことを言っていた。従って私は「エコカープログラムに惹かれてセカンドベストの車を急いで買うことはない」と考えている。

むしろ問題は今年の年末頃には世界的な景気後退が一層顕著になり、車の買換えを先延ばししたくなることかもしれない。

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