最近読んだエコノミスト誌の中に白内障治療技術がどんどん進化しているという話があった。今のところ私や私の家族の中に白内障の懸念があると言われたものはいないので、この病気に知見はない。しかし医療先端技術の進化を見る上で面白い記事なのでポイントを紹介した上でコメントを加えたい。
エコノミスト誌によるとニューヨーク州ローチェスター市に本拠を置くBaush & Lomb社はStellarisという白内障治療器具を開発した。現在の白内障cataractの治療は白濁した水晶体の核を超音波で乳化させ吸引除去し、折りたたんだ人工レンズを挿入するというもので日帰り手術も頻繁に行われている。エコノミスト誌によると切開する幅は2mm以下(日本のホームページを見ると5mm程度というものが多かった)ということだ。Stellarisという装置は上記の吸引除去とレンズの挿入を一緒に行う装置だ。
エコノミスト誌は更に次のステップとして「焦点調節型の人工レンズ」の普及が課題だと述べている。人間の眼と同じように焦点距離を変えることが出来る人工レンズを眼科医、そしてレンズメーカーも欲しいと思っている。既に数少ないが市場にもこのタイプの人工レンズは出ているとエコノミスト誌は言っている。例えばカリフォルニアの階差hEyeonics of Aloso ViejoのCrystalensなどだ。そしてその次に明るさに対応する人工レンズの出現が望まれるという。
ところで白内障は文明国では比較的簡単に治すことができる病気だが、低開発国では失明の最大の原因だ。医療サービスの格差が人生のクオリティに差を与えている大きな例だ。白内障の治療技術が進展し、サービスを提供できる医療機関の差が拡大してくると文明国の中でにも受けた医療サービスの違いで患者に大きな生活の質の差が出る可能性があると思った次第である。