今年の東京の正月は穏やかな天気だった。車で遠出することもなく、山に行くでもなくノンビリ過ごしている内にふっと気が付くと3日の夜になっている。遠出や携帯電話が届かないところへ出かけなかったのは、来るべき不景気を予測して財布のひもを締めたからではない(多少はそれもあるが)。正月休に会社の業務システムの切り替えがあったので、万一に備え待機していたのである。
しかし日本の市場が休んでいる間にオイルが100ドルをつけたとか、ニューヨークで株式相場が大幅に下げたなどのニュースが流れると今年は米国でリセッションが起きるのか?とグルーミーな気分になる。米国でNBCとウオール・ストリート・ジャーナルが調査を行ったところでは3分の2の米国人が「すでにリセッションに入っているか今年中に入る」と考えているそうだ。リセッションが起きるかどうか?ということについては米国の専門家の間でも、悩ましい判断だ。グリーン・スパーンや元財務長官のローレンス・サマーズも確率は半々だと言っている。証券会社も弱気組と楽観組に分かれている。メリル、ゴールドマン、モルガン・スタンレーは弱気組で、JPモルガンとリーマン・ブラザースは楽観組だ。
一般にはリセッションに入ったかどうかは「連続して二・四半期がマイナス成長になるとリセッション」 ということで判定されるが、公的なリセッションの定義はもっと複雑である。米国で経済がリセッションに入ったかどうかを判断するのは景気循環期間確定委員会The Business Cycle Dating Commitee of National Bureau of Economic Researchだ。
この委員会は通常リセッションが始まってから6ヶ月から18ヶ月後で宣言を行う。ところでリセッションは通常1年以内に終了するから、リセッションが宣言された時にはリセッションはすでに終了している・・・ということもありうる。
米国の景気を最終的に左右するのは、消費者の自信である。年末商戦については予想よりも好調だったが、住宅価格の下落が続き、原油価格が上昇する中で、消費者のマインドが冷え込まないという保証はない。ただプラス材料は労働市場が比較的堅調なことである。
景気とは「気」という字が示すように、まさに消費者の経済に対する強気・弱気の見方である。昨年米国を震源地とするサブプライム問題では本家本元より日本の株式市場の方がはるかに打撃を受けてしまった。下手をすると今年は日本の消費者の方が米国のリセッションを先読みして財布の紐を締めて、日本の景気が減速してしまうということがあるかもしれない。