金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

日本人が休みを取らない理由

2007年06月04日 | うんちく・小ネタ

週末雲取山荘に泊まった時、同宿の外人カップルと話をする機会があった。山小屋の一夜は全く見ず知らずの人達と話をする機会を提供する。情報交換の場として中々有効だ。男性はフランス人で人材派遣会社で働き、女性はドイツ人で広報関係の仕事をしているとのこと。二人が単なる山友達なのかそれ以上なのかなんてことは不明だし、聞くべきことでもない。多少興味はあったが。

話が休暇のことになった。二人とも本国からの派遣社員ではなく、日本採用なので年次休暇が少ない。しかもその少ない休暇すらどうもフルに使うのが困難な様だ。彼等の質問は「日本人はどうして休暇を取らないの?」というものである。

これに対する私の答はEagerness of an employee is measured by not taking vacation.日本では従業員の熱心さは休みを取らないことで測定される。

この返事に彼等はキョトンとしていた。英語が良く伝わらなかったのかそれともその内容が良く理解できなかったのかは分からないが。時間ともっと英語能力があれば、もっと丁寧な説明が出来ただろう。その出来なかったところをブログに書いておこう。

一つは休みに対する権利意識の欠如だ。私の会社でも休みの後必ず上司に「昨日はお休みを頂きありがとうございました」などと挨拶している部署がある。一つの伝統であり文句を言うほどではないが、そこには休みは上司にお願いして貰うという意識が植え付けられている。出社することが当たり前で休みは例外でややもすると悪いことといわんばかりの風潮である。

もう一つは社会全般が休みを取り難くしているという点だ。どういうことかというと日本では担当者が休みの時、顧客から問い合わせがあると上司や同僚がそれに応えるため仕事をかぶるという傾向がある。ところが米国では余程の緊急事態でもない限り、顧客は「彼(担当者)はいつ出社するの?」「何時何時です」「じゃ、出社したらコールバックしてほしい」ということで片付いてしまう。つまり社会全体が勤務員は休みを取るということを前提に回っているのである。一方日本ではいつでも良いようなことでも返事を急かす傾向があり、このため周囲の人間に負担がかかることが多い。それ故お互いに休みが取りにくくなっているのである。

私はモノゴト全般に有限実行であるかどうか自信はないが、こと休みに関する限り有限実行、率先垂範である。もっともそれがため企業に対する忠誠心を休み日数で測定された結果あまり偉くなることはなかったので、読者諸氏に声高に休みを取ることをお勧めしてよいかどうか迷うところである。

しかし休みを取らず、好きなこともせず一生懸命働いても全員が全員偉くなる訳でもあるまい。そう考えると休みを沢山とって好きなことをして暮らすことに人生の楽しみを見出す方がリスクとリターンは見合っているという程度のことは言えるかもしれない。

コメント (1)
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