金融そして時々山

山好き金融マン(OB)のブログ
最近アマゾンKindleから「インフレ時代の人生設計術」という本を出版しました。

貸金業法改正で信用収縮

2007年06月28日 | 社会・経済

ファイナンシャルタイムズ(FT)が自民党の増原義剛代議士(金融調査会貸金制度に関する小委員会委員長)にインタビューを行った。増原代議士が言うには「貸金業法改正で小規模自営業者に対する信用収縮が起こっているようなので状況に注目している」ということだ。

モルガンスタンレーのチーフエコノミスト・フェルドマン氏は「信用収縮の影響は銀行融資が受けられないスタートアップ段階の小企業に特に大」という。

貸金業法改正の影響を受けて中小貸金業者の多くは廃業に向かっているし、大手も与信基準を堅くしている。

FTによると新規ローンの承認率はアコムでは昨年5月の64%から今年の5月の32%に半減、アイフルは同期間に57%から37%に下がっている。また帝国データバンクによると5月までの一年間の中小企業の銀行取引停止数は52%増え、個人事業主の倒産は倍増している。

帝国データバンクは、倒産の増加を直接的に貸金業法の改正の影響と判断することは難しいが、今後間違いなく倒産は増えると言う。

前述の増原代議士は「クレジット・クランチが本格化したという兆候はまだないが、もし状況がさらに悪くなれば法律の見直しが必要かもしれない」と言っている。

★     ★     ★     ★      ★

ここからが私の意見である。

まず広い意味の金融業者の一員の立場からいうと「今の時期は小企業融資に慎重に取り組むべき」ということになる。特に中小企業開拓に乗り出した後発組の銀行等はババを引く可能性があるので要注意だ。

次に「小規模企業が融資を受けられないことの良し悪し」を論じよう。結論からいうと信用リスクが高い小企業が銀行融資を受けられないのは米国ではごく普通のことであり、日本も市場経済型資本主義を取る以上当然の帰結である。米国の中小企業のバランスシートをみれば、日本の中小企業などに比べて資本勘定が厚いことが分かる。米国の中小企業特にスタートアップ企業は、銀行から融資が受けられないので友人知人やベンチャーキャピタルから出資を仰いで事業を立ち上げていく。

つまり開業資金のようにリスクの高い資金はローンではなくエクイティで調達するべきであり、貸金業法を見直すよりは中小企業への出資を促進することを考えるべきなのである。

また設備投資についてはリース、在庫投資については動産担保融資などの手法を使って信用リスクを出来るだけ借り手リスクからもののリスクに転嫁する手法も必要なのだ。

次に中小企業が慢性的な不足運転資金を貸金業者から調達しているケースがあるだろう。この場合は事業継続そのものに無理があるので、転廃業を行うべきであり、そのための援助は国や公共団体が行うという仕組みを作るべきだろう。

以上考えるに仮に信用収縮が起きても、安易に貸金業法を見直すのではなく、市場が求める事業の効率化や金融の多様化を粛然と受け止めるべきなのである。

なお貸金業法の改正そのものについていえば、法律で「借入額を年収の3分の1に制限する」などという細かいことを決めているが、市場経済を標榜する国では本来ありえないことだろう。与信の安全性を考えるのは金融機関の第一の原則であり、本来は国に言われなくても貸出に一定の年収制限を加えるのは当たり前の話である。そんなことはローンポリシー(融資方針)の中で定めればよい。

ところがそうならないところに日本の社会の特殊性と基盤の脆弱さがあるということは認識しておくべきことだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

へそ出さず、腹出さず

2007年06月28日 | うんちく・小ネタ

昨日地下鉄のシートに座っている時視線の端に女性のおへそが入った。電車が揺れた拍子に体が伸びたのだろうか?そっと眼を上げて顔をうかがうが、腕が邪魔をして見えない。しばらくしてまたそっと目線を上げると結構なおばさんだったので、少し損をしたような気になった。

いつ頃から女性のへそだしスタイルが大手を振ってまかり通るようになったのだろうか?女子ゴルフの愛ちゃんが活躍しだしてからだろうか?それにしてもそのスタイルがいつ中年女性にまで広がったのだろうか?

というようなことをいっていると、おばさん達から「余計なこと言わないでよ。それよりあんたのお腹をへっこめたら!」なんて叱られるかもしれない。

中年はへそださず、腹出さず、口出さずが良いようだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする