望郷いなか詩

田舎に燦々といきたい

農夫は坂道にあり

2020-08-06 23:21:20 | 田舎色逍遙

いなか原風景 美波町
 
農夫は坂道

私は黄金色の棚田を懐旧
妻を労る農夫の心根を見ている

農夫は妻と二人
勾配のきつい坂 その時代時代にそぐう 地下足袋で凌いで来たと語る

ぬいぐるみ人形を我が子同然 あやしながら歩く妻
農夫は野良仕事着のまま
棚田への坂道を妻の後を歩く

棚田 畦道に草刈鎌の朽ち果てた残骸
雨はしとしと錆色を坂道に滲ませ下る
錆色に薄まり加減の休耕棚田
落日に至る崖崩れ

妻は黄金色みのり 金の重量感 
その重さ噛み締めて棚田に石垣を築いた日々 
農夫は回想しながら妻と落日の散歩を楽しんでいる

「農夫は農夫のみに有らずして識者 介護者なんだ」

農夫夫妻の頭上
暑中伺うようにギンヤンマぐるぐる旋回 
夫妻の休耕棚田から
朝日に輝く黄金色棚田へ飛んで行くのかな

私はギンヤンマ 私自体の思いを休耕棚田に刻んで
私は朝日へ飛んでいる










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