春をかける 2017-03-24 21:44:51 | 思いダイヤル 徳島県勝浦町 春をかける菜の花畑 「春をかける」 荷車の輪だけが残り錆び水の垂れる 過去のわだちに錆び水は流れる 誰かの過ちを責めも問もしない 現実につづく固まったわだち よたよたした足取りにどこまでも厳しく 世の中の尖ったギスギスは責めて叩いて 自分を祝うことも許さない 季節をたどってきた自信と深い思慮は 弱音もしんどさも言えないまま まだまだ進め歩けと自分を進ませる 此処まで歩いて来て辺りは温もうと 常に新しさに頭を下げねばならない 自分を孤独に追いやり今も春をかける
恋しくて辺川 2017-03-11 20:20:32 | 思いダイヤル 牟岐町辺川より五剣山 のんびりした駅に汽車が止まる 乗降客はなく汽車は出てゆく 山 田んぼ 谷川 田舎風景 心の古里しみじみ辺川は此処にしかない 「山里」 なんでだかうるうるしてしまう山里 あの家にどんな人が暮らしているのか あの山の向こうに懐かしい人がいそう 人がいて家があるから山里なんだ 鎮守の森に社があって山里らしい 雀が落穂をついばむ田んぼがある 田んぼが活きているから山里 物心つけば此処にいた 何かに執着することなくごく自然だから この地で泣き笑いの人生をおくれる
早春模様 2017-02-28 16:19:28 | 思いダイヤル 徳島県海陽町 大里海岸 「早春模様」 ゴーゴーと吹き抜ける風は空気の砲弾 点々と続く竹林で弾けてる しなってうねって竹は踊り もがれず切れもせず竹の葉光る 竹枝を見え隠れメジロはかくれんぼ 竹影に紅色ちらちら藪椿いとおしみ 梅の花一輪一輪をじっくりあじわう花見 爛漫と称されない孤高の花模様 侵されず侵さない花心を詠む 野山のしじまより早春の便り 神々しい香りは匂いたちて 閉ざされた季節は色ずきはじめる
そんなに寒くない 2017-02-13 21:24:12 | 思いダイヤル 徳島県海陽町神野 田舎風景 「そんなに寒くない」 そんなに寒くない 山路は春の入口で梅の花はひっそり いつもの春が来る古里になるから そんなに寒くない そんなに寒くなくても 予期せぬ突然の春夏秋冬 凍えても暑くても着替えできない そんなにとは過ごせない そんなに寒くないけど どうして寒いなら寒いままにいない 南風の便りでさーっと春がいい
雨のそぼふる居場所 2017-02-03 15:36:16 | 思いダイヤル 徳島県牟岐町 古牟岐 「雨そぼふる居場所」 優しい雨は柴小屋をポタポタ濡らし シトシトと堕ちて波紋を描く水溜まり いさぎよい雨は川面に波紋 静寂の絶景を幾重にも積み重ね何処までも無常 命ある限り広がる心の波紋 淡々と降る雨に少し流して歩く ぽつぽつ雨の濡らす道 濡れながら歩いていく ざあざあ雨のはねかえる道 空を仰いで涙をぬぐいはじいて 自分の居場所を求めて歩む