横浜駅から徒歩8分の場所に、「宮川香山 眞葛ミュージアム」がある。ちょうど、4月28日からの新企画展「明治陶芸の神髄 怪傑!初代宮川香山」が始まっている。
今回の目玉は、2週間限定で写真撮影ができるところだ。これを逃す手はないと、公開早々に出かけてきた。
開館の10時を回っていたが、チケットには何人か並んでいる。撮影可の効果は大きいと思われた。
「解説をしますので、よろしければお付き合い下さい」
この声は館長の山本さんに違いない。以前にも解説が始まるときに居合わせ、運よく豆知識を仕入れたことがある。また、うまい具合にお会いできて嬉しい。
「最初にクイズをします。明治に焼かれた陶芸品のうち、重要文化財に指定されているものはいくつあるでしょう」
ふふふ、前にもそれは聞いた気がするわ。
私は自信を持って手を挙げ、「2つ」と答えた。
だが、ちょっと違ったようだ。山本氏は「うーん」と唸り、「正しいといえば正しいんですが、昨年、ひとつ追加されたので今は3つになりました」と続けた。そうか、私が最初に解説を聞いたあとで、重要文化財が増えたわけか。にゃるほど。
入口に近い場所の作品から解説が始まる。
「真葛焼きは、時代の移り変わりに合わせて作風を変えた点がすごいところです。高浮彫(たかうきぼり)が売れた時代が終わると、もっとシンプルな作風に変え、アールデコ風の傑作をいくつも生み出しています」
解説のこの件は何度聞いても心地よい。特に驚きだったのは、釉薬をとことん研究しつくした熱心さだ。焼き物の色は、釉薬によって表現されるが、塗るときには緑や赤といった色ではない。高温で焼かれるうちに鮮やかな色に変わるのだ。ところが、色によって発色の温度が違うため、何色も使った焼き物では温度の調整が作品の出来栄えを左右する。宮川香山は、どの色も同じ温度で発色するよう巧みに調整し、マイセンやロイヤルコペンハーゲンなどからも一目置かれていたという。
写真は少々難しかった。このミュージアムには鏡が多く、作品の後ろまで見られる工夫がなされているから、油断すると自分が写り込んでしまう。横からこっそり撮るしかない。ポストカードで見るような、完成度の高いアングルはとても無理だ。
目のくらむような陶芸品の中でも、鉄の龍が絡みついたこの逸品は特別な香りがした。
「龍を作ったのは誰なのか、明らかになっていませんが、おそらくは第一人者との合作となっています」
写真がヘボで申し訳ない。この作品には、やたらと大きなエネルギーがこもっている気がした。富や名誉を引き寄せる、縁起のいい昇り龍なのではないだろうか。
解説は30分ほどで終了する。あとは自由に撮影した。
私はゴテゴテした高浮彫が好みである。
姉や娘は、すっきりとした後期の作品が好きなのだとか。
鳥や魚の作品からは、題材への愛情が感じられた。山本氏が伊藤若冲との関連を指摘した点にも、大いにうなずける。
一番上手く撮れたと感じるのが、このカニである。
鏡をよけながら撮るより、好きな作品をアップで撮るのがよさそうだ。
撮影のチャンスは、5月5日の土曜日と、6日の日曜日を残すのみ。
どなた様もお見逃しなく!
↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
今回の目玉は、2週間限定で写真撮影ができるところだ。これを逃す手はないと、公開早々に出かけてきた。
開館の10時を回っていたが、チケットには何人か並んでいる。撮影可の効果は大きいと思われた。
「解説をしますので、よろしければお付き合い下さい」
この声は館長の山本さんに違いない。以前にも解説が始まるときに居合わせ、運よく豆知識を仕入れたことがある。また、うまい具合にお会いできて嬉しい。
「最初にクイズをします。明治に焼かれた陶芸品のうち、重要文化財に指定されているものはいくつあるでしょう」
ふふふ、前にもそれは聞いた気がするわ。
私は自信を持って手を挙げ、「2つ」と答えた。
だが、ちょっと違ったようだ。山本氏は「うーん」と唸り、「正しいといえば正しいんですが、昨年、ひとつ追加されたので今は3つになりました」と続けた。そうか、私が最初に解説を聞いたあとで、重要文化財が増えたわけか。にゃるほど。
入口に近い場所の作品から解説が始まる。
「真葛焼きは、時代の移り変わりに合わせて作風を変えた点がすごいところです。高浮彫(たかうきぼり)が売れた時代が終わると、もっとシンプルな作風に変え、アールデコ風の傑作をいくつも生み出しています」
解説のこの件は何度聞いても心地よい。特に驚きだったのは、釉薬をとことん研究しつくした熱心さだ。焼き物の色は、釉薬によって表現されるが、塗るときには緑や赤といった色ではない。高温で焼かれるうちに鮮やかな色に変わるのだ。ところが、色によって発色の温度が違うため、何色も使った焼き物では温度の調整が作品の出来栄えを左右する。宮川香山は、どの色も同じ温度で発色するよう巧みに調整し、マイセンやロイヤルコペンハーゲンなどからも一目置かれていたという。
写真は少々難しかった。このミュージアムには鏡が多く、作品の後ろまで見られる工夫がなされているから、油断すると自分が写り込んでしまう。横からこっそり撮るしかない。ポストカードで見るような、完成度の高いアングルはとても無理だ。
目のくらむような陶芸品の中でも、鉄の龍が絡みついたこの逸品は特別な香りがした。
「龍を作ったのは誰なのか、明らかになっていませんが、おそらくは第一人者との合作となっています」
写真がヘボで申し訳ない。この作品には、やたらと大きなエネルギーがこもっている気がした。富や名誉を引き寄せる、縁起のいい昇り龍なのではないだろうか。
解説は30分ほどで終了する。あとは自由に撮影した。
私はゴテゴテした高浮彫が好みである。
姉や娘は、すっきりとした後期の作品が好きなのだとか。
鳥や魚の作品からは、題材への愛情が感じられた。山本氏が伊藤若冲との関連を指摘した点にも、大いにうなずける。
一番上手く撮れたと感じるのが、このカニである。
鏡をよけながら撮るより、好きな作品をアップで撮るのがよさそうだ。
撮影のチャンスは、5月5日の土曜日と、6日の日曜日を残すのみ。
どなた様もお見逃しなく!
↑
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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
私も年初に訪れましたが、展示替えがあったとは気付かず、写真が撮れるなんて思いも寄らず、ビッグニュースでした。
あの技は、何度見ても息を飲むばかり。
そのカニさんなんて、今にも歩きだしそうではありませんか!
これはぜひ、観に行かねば!!
いつも素敵な情報をありがとうございます。
今夜BSのガンダム特集、是非ご覧になって記事になさってくださいませね。
それにしても精巧に作られていて豪華絢爛な作品ばかりですね。
私はどちらかというと銀座のママさんよりも盛ってない後期の作品のほうがすっきりして好きです(*^^*)ポッ
勇んで出かけた割にガラスに遮られて心残りだったのでは…
4/29に行きました。
さっとアップしたかったのですが、5/3は宴会があって間に合わず……。
でも、5/5には間に合わせたかったので、アップできたときには安堵しました。
横浜に着き、一番に行ったのが眞葛ミュージアムです。
ランチを挟んで横浜そごうにも行きました。
北海道展でパフェをムシャムシャ。
イッセイミヤケで散財をして、同行した娘に母の日のプレゼントを買ってもらってウハウハ。
すっかり長居し、疲れて帰宅しましたよ。
今日はガンダムオリジン6の映画を観てきました。
カラオケで歌ったせいか、また疲れてしまい早く寝たいです(笑)
それが、ゴテゴテした飾りをつけたあとに焼くそうです。
ひび割れなどが起きやすく、ボツになった作品が数知れずあるとか。
半年から2年かけて完成させていたと聞いた時には、常人にはない集中力を持っていたことがわかりました。
片割れ月さんも姉や娘に近い感性をお持ちなんですね。
実は、宮川香山も後期作品のほうが得意だったようです。
見れば見るほど、魅力が倍増していく焼きものだと思いませんか。
ガラス越しの撮影はツラかった……。
服が何枚も写り込んでいます。
でも、撮れただけうれしいかな~。