これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

私だけのペーパーウェイト

2023年03月19日 16時02分45秒 | エッセイ
 昨年までの職場は風が強く、窓を開けると机上の書類が飛んでしまうことがあった。
 今の職場は換気設備が整っているため、窓を開けることがないのだが、ペーパーウェイトにしかできないものを手に入れてしまった。



 後ろから見るとこんな形をしている。
 そして、前から見ると……。



 ギャッ! 歯だ!!
 これは石膏で作った私の歯型である。何でそんなものを持っているかをお話ししよう。
 私は子どもの頃から、寝ているときに歯ぎしりをする癖があり、ぐっすり眠れず困っていた。大人になってから、歯科医に勧められ、歯ぎしり防止のマウスピースを作ったおかげで、熟睡できるようになった。
 マウスピースは、規格品ではなくオーダーメイドである。歯科で歯の型を取り、それにフィットするものを注文する。何年かは使えるが、消耗品なので、7~8年後には作り直すことになる。先日、2個めが使えなくなり、3個めを作ってもらったときに、おまけで石膏の歯型がついてきたというわけだ。



 こんなものをもらっても、使い道がない。でも、歯医者さんはもっと使い道がない。だから、私が引き取るのが理にかなっている。わかっちゃいるけど邪魔だ。だったら捨ててしまうこともできるが、自分の一部のようで、粗末に扱うことには抵抗がある。
「総入れ歯になったとき、懐かしく思い出すかもしれないから、ひとまずしまっておこう」
 とりあえず保管する場所は決まっている。リビングの緑の収納庫に入れようと、引き出しを開けたらすでに先客がいた。何年か前にも同じことを考えて、ぶち込んでおいた過去の歯型である。
「これは少々ホラーかも」
 積み上げてみた。



 ハンバーガーに似ているな、とひそかに笑った。
 さて、これ以上、歯型を増やすわけにいかない。3個めは大事に使わねば。
 歯型の入っていた引き出しから、昔の同僚からいただいた、カードホルダーにもなるペーパーウェイトを見つけた。



「あら、なかなかオシャレじゃない」
 歯型のあとだから、余計にそう感じる。
 しまい込んでいたら、もったいないかしら。

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コメント (4)
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