水の都・松江は予想以上に美しかった。
青い空、萌える緑を背景に、茶を基調とした武家屋敷の映えること映えること。


これが水路に映り込み、陽を浴びてキラキラ輝く。何と素晴らしい眺めだろうか。

「いいわねぇ」
「キレイだな」
夫も娘も、口を開けて景色に見とれている。きっと私も同じで「あんぐり」状態だったろう。
武家屋敷は金沢と大差ないが、松江城は国宝だ。

冷房はなくても、扇風機がついていた。高知城よりは涼しい。
「顔をはめて写真を撮るヤツがあるよ」
「クスクス、やろう」
と、バカなことにチャレンジする元気が残っていた。
だが、私のイチオシは松江城ではない。小泉八雲記念館だ。

レイクラインに乗れば、目の前にバス停があり便利だった。残念なことに、平成生まれの娘に、この記念館の価値はわからなかったらしい。
「小泉八雲? 何をした人?」
そう、知らないのだ。昭和の世代であれば、一般常識に出題されたり、英語の教科書に登場したりで知名度が高かったけれど、今はそうでもないらしい。ためしに、職場の20代に聞いてみたら、全員、小泉八雲の名前すら聞いたことがないと答えた。
「もともとはラフカディオ・ハーンていうんだよ」
「どこの国の人?」
「さあ」
私の知識もこの程度だ。でも、記念館に入れば、八雲の波乱万丈な人生がわかる。
「へー、ギリシャで生まれてイギリス国籍を持っていたのか」
2歳のときにアイルランドに引っ越し、両親は離婚。16歳のときに左目を失明、19歳のときに保護者が破産し、一人でアメリカに移民する。
「なんだなんだ、ひどい話だね」
日本に来たきっかけは、英訳された『古事記』に出会ったからだという。尋常中学校の英語教師という職を得て、松江に住むこととなった。多くの観光客を魅了するこの都市に、ハーンも惹かれたのだろう。やがて、松江の士族の娘である小泉セツと結婚し、日本に帰化して「小泉八雲」となったらしい。
当時は「ラフカヂオ・ヘルン」と表記されていたようで、クスッと笑いが漏れた。
「ひいい」
八雲の代表作は『怪談』である。娘が壁の文を見て、悲鳴を上げていた。怖い話は苦手なのだ。
もっとも、私が知っている作品は『貉(むじな)』『耳なし芳一』『雪女』くらいで全部ではない。せっかくだから、みやげとなる本を探してみたら、あったあった。

「カバーをおかけしますか」
「はい」
ちゃんと、文字入りのカバーをつけてくれた。うれしい~!

記念館を出て松江駅に行くと、八雲ゆかりの土産物を見つけた。

「あっはっは、ほういちの耳まんぢうだって」
「ほういちって何」
この土産は、『耳なし芳一』のあらすじを知らないと意味がない。
「実はかくかくしかじかで、平家の亡霊に耳をもぎとられちゃうんだよ」
「ひいい」
中にはこんな耳が入っていた。

島根県立大学短期大学部の学生による企画と知り、頼もしく感じる。とてもユニークで気に入ったと伝えたい。

「ムシャムシャ」
「パクパク」
私も夫も遠慮なく食べているが、娘が食べようとしない。
いらないのかなぁ。

↑
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
青い空、萌える緑を背景に、茶を基調とした武家屋敷の映えること映えること。


これが水路に映り込み、陽を浴びてキラキラ輝く。何と素晴らしい眺めだろうか。

「いいわねぇ」
「キレイだな」
夫も娘も、口を開けて景色に見とれている。きっと私も同じで「あんぐり」状態だったろう。
武家屋敷は金沢と大差ないが、松江城は国宝だ。

冷房はなくても、扇風機がついていた。高知城よりは涼しい。
「顔をはめて写真を撮るヤツがあるよ」
「クスクス、やろう」
と、バカなことにチャレンジする元気が残っていた。
だが、私のイチオシは松江城ではない。小泉八雲記念館だ。

レイクラインに乗れば、目の前にバス停があり便利だった。残念なことに、平成生まれの娘に、この記念館の価値はわからなかったらしい。
「小泉八雲? 何をした人?」
そう、知らないのだ。昭和の世代であれば、一般常識に出題されたり、英語の教科書に登場したりで知名度が高かったけれど、今はそうでもないらしい。ためしに、職場の20代に聞いてみたら、全員、小泉八雲の名前すら聞いたことがないと答えた。
「もともとはラフカディオ・ハーンていうんだよ」
「どこの国の人?」
「さあ」
私の知識もこの程度だ。でも、記念館に入れば、八雲の波乱万丈な人生がわかる。
「へー、ギリシャで生まれてイギリス国籍を持っていたのか」
2歳のときにアイルランドに引っ越し、両親は離婚。16歳のときに左目を失明、19歳のときに保護者が破産し、一人でアメリカに移民する。
「なんだなんだ、ひどい話だね」
日本に来たきっかけは、英訳された『古事記』に出会ったからだという。尋常中学校の英語教師という職を得て、松江に住むこととなった。多くの観光客を魅了するこの都市に、ハーンも惹かれたのだろう。やがて、松江の士族の娘である小泉セツと結婚し、日本に帰化して「小泉八雲」となったらしい。
当時は「ラフカヂオ・ヘルン」と表記されていたようで、クスッと笑いが漏れた。
「ひいい」
八雲の代表作は『怪談』である。娘が壁の文を見て、悲鳴を上げていた。怖い話は苦手なのだ。
もっとも、私が知っている作品は『貉(むじな)』『耳なし芳一』『雪女』くらいで全部ではない。せっかくだから、みやげとなる本を探してみたら、あったあった。

「カバーをおかけしますか」
「はい」
ちゃんと、文字入りのカバーをつけてくれた。うれしい~!

記念館を出て松江駅に行くと、八雲ゆかりの土産物を見つけた。

「あっはっは、ほういちの耳まんぢうだって」
「ほういちって何」
この土産は、『耳なし芳一』のあらすじを知らないと意味がない。
「実はかくかくしかじかで、平家の亡霊に耳をもぎとられちゃうんだよ」
「ひいい」
中にはこんな耳が入っていた。

島根県立大学短期大学部の学生による企画と知り、頼もしく感じる。とてもユニークで気に入ったと伝えたい。

「ムシャムシャ」
「パクパク」
私も夫も遠慮なく食べているが、娘が食べようとしない。
いらないのかなぁ。

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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)