目黒雅叙園のイベント「百段雛祭り」のチケットをいただいた。
大学3年の娘を連れて行ってきたが、ここには独特のタイムスリップ感が漂っている。
今年は「近江・美濃・飛騨」がテーマとなっていた。
エレベーターを下りたところから、お雛様がお待ちかねだ。
真打はこの先の展示室である。出入口でブーツを脱ぎ、スリッパに履き替えた。
穴の開いた靴下は、履いてこないようにしましょう。
いくつか撮影可能スポットもあるので、カメラも用意しましょう。
さあ、お雛さまツアーの始まり、始まりぃ~!
百段階段をちょっと上ったところに最初の展示室があった。中に入ると、かなり年季の入ったお雛様が鎮座していたが、どの人形も重々しいオーラを背負っている。
「やだ、このお雛様。怖い」
娘が拒否反応を起こした。
「だって、お雛様は持ち主の身代わりとなって、災いを受け止めてくれるものなんだよ。厄災を背負ってきたから怖いのかもね」
「ふーん……」
雛人形のいわれを説明しても、娘は展示室から出てしまった。
「ミキのお雛様の方がずっとキレイじゃん。もう来年は来なくていい」
あらあら。
冒頭からこれでは先が思いやられる。
私は次女ということもあり、雛人形を持っていない。妹も同じだ。わが家にあった雛人形は長女である姉のもの。身代わりはなかったけれど、きっとご先祖様が守ってくれたのだろう。無事に大人になれてよかった。
二つ目の部屋。人形の衣装も、顔つきも、今風ではないところが新鮮だ。
「ねえ見て。どの人形も首が前に伸びてるよ」
怖いと言いつつ、娘が新たな発見をして喜んでいる。これが当時の流行だったのか、人形の姿勢が全部前のめりになっていた。すごく貴重なお雛様を見たようで、得した気分である。
人形たちが身代わりとなって守り抜いたのは、由緒正しい生まれのお姫様に違いない。姫は妻や母となり、やがて寿命を迎えて鬼籍に入る。でも、残された人形たちが、現代まで大事に保存されているのは、役目を果たしたご褒美なのかもしれない。
人形たちは、相変わらず妖しげな気を発していたが、娘も慣れてきたようだ。撮影可の部屋では、スマホを出してシャッターを切っていた。
年配の来客もたくさんいた。百段階段は厳しいだろうが、楽しんでいたようだ。
最上階の展示室が最後だった。下りの展示室はない。スリッパからブーツに戻り、ホテルをあとにした。
帰りに気づいたのが、「お七の井戸」である。
お七とは、江戸時代の八百屋お七。
「ああ、火事で避難したとき知り合った男を好きになって、また火事になれば会えると思って放火した人でしょ」
意外なことに、娘もお七を知っていた。
ここにも妖気が立ち込めているような……。
本当は怖い目黒雅叙園?
↑
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※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
大学3年の娘を連れて行ってきたが、ここには独特のタイムスリップ感が漂っている。
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穴の開いた靴下は、履いてこないようにしましょう。
いくつか撮影可能スポットもあるので、カメラも用意しましょう。
さあ、お雛さまツアーの始まり、始まりぃ~!
百段階段をちょっと上ったところに最初の展示室があった。中に入ると、かなり年季の入ったお雛様が鎮座していたが、どの人形も重々しいオーラを背負っている。
「やだ、このお雛様。怖い」
娘が拒否反応を起こした。
「だって、お雛様は持ち主の身代わりとなって、災いを受け止めてくれるものなんだよ。厄災を背負ってきたから怖いのかもね」
「ふーん……」
雛人形のいわれを説明しても、娘は展示室から出てしまった。
「ミキのお雛様の方がずっとキレイじゃん。もう来年は来なくていい」
あらあら。
冒頭からこれでは先が思いやられる。
私は次女ということもあり、雛人形を持っていない。妹も同じだ。わが家にあった雛人形は長女である姉のもの。身代わりはなかったけれど、きっとご先祖様が守ってくれたのだろう。無事に大人になれてよかった。
二つ目の部屋。人形の衣装も、顔つきも、今風ではないところが新鮮だ。
「ねえ見て。どの人形も首が前に伸びてるよ」
怖いと言いつつ、娘が新たな発見をして喜んでいる。これが当時の流行だったのか、人形の姿勢が全部前のめりになっていた。すごく貴重なお雛様を見たようで、得した気分である。
人形たちが身代わりとなって守り抜いたのは、由緒正しい生まれのお姫様に違いない。姫は妻や母となり、やがて寿命を迎えて鬼籍に入る。でも、残された人形たちが、現代まで大事に保存されているのは、役目を果たしたご褒美なのかもしれない。
人形たちは、相変わらず妖しげな気を発していたが、娘も慣れてきたようだ。撮影可の部屋では、スマホを出してシャッターを切っていた。
年配の来客もたくさんいた。百段階段は厳しいだろうが、楽しんでいたようだ。
最上階の展示室が最後だった。下りの展示室はない。スリッパからブーツに戻り、ホテルをあとにした。
帰りに気づいたのが、「お七の井戸」である。
お七とは、江戸時代の八百屋お七。
「ああ、火事で避難したとき知り合った男を好きになって、また火事になれば会えると思って放火した人でしょ」
意外なことに、娘もお七を知っていた。
ここにも妖気が立ち込めているような……。
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