予備知識は何もなかったけれど、チラシを見て「行きたい」と思ったのがミュシャ展だった。

包容力を感じさせる美女と、背後には明るい色彩のアラベスク調紋様。確かなデッサン力に基づいた柔らかな画風からは、只者ではないオーラが広がっている。
他の絵も見てみたい!
すぐさま、高2の娘と自分の前売り券を申し込んだ。
「明日はミュシャだからね。結構混んでるみたいだから、朝イチで行くよ」
「うん、わかった」
3月から4月にかけて、2人の都合がなかなか合わず、昭和の日になってしまった。ホームページを見ると、夕方からは空いているようだが、それ以外は待ち時間があるらしい。さっと行って、さっと帰ってこようと思ったのだが……。
「ぐおーーーっ」
当日、何度起こしても娘が起きない。開館の10時に間に合うはずが、一時間も遅くなってしまった。
六本木はいい天気だった。蜘蛛のオブジェも、楽しげに見える。

しかし、森アーツセンターギャラリーの入口で、私たちは凍りついた。

「ミュシャ展50分待ち!?」
早速、親子ゲンカが始まる。
「だから言ったじゃない。朝イチで行くって」
「なによ、お母さんなんか、今日はたまたま早かっただけで、いつも支度に時間かかるくせに」
「1時間も遅れませーん」
「10分でも、6回遅れれば1時間でしょ」
「何よ、開き直って」
「わあわあ」
「ぎゃあぎゃあ」
列の最後尾につき、言い争いをしながら進んでいたのは私たちである……。
幸い、前売り券を持っていたので、チケット売り場に並ぶ必要はなく、実質20分ほど待っただけで入場することができた。
だが、中の混雑もひどい。人、人、人のすき間から、かろうじて絵がのぞけるような感じだ。ゆっくり見たかったが、取捨選択をしないと体力が持たない。「これは」と思う絵には時間をかけ、「まいっか」の絵はスルーして、人をかき分けかき分け進んでいった。
不満だったのは、展示物リストがもらえなかったことだ。普通は、紙ベースで配られると思うのだが、なぜないのだろう。それから、展示物の配置が悪い。一筆書きで見られるようになっていない上、会場が狭いから、逆行する人で混乱する場所ができ、何度も人とぶつかった。
また、高額の保険がかかっているような絵には、簡単に近づけないよう、足元に柵を置いているのに、そうでない絵は床に白線を引いただけ。絵を差別しているように見えた。
しかし、それらを差し引いても、素晴らしい作品ばかりで満足のいく展示だった。
ミュシャは、アール・ヌーヴォーと呼ばれるカテゴリーにおいて、代表的な存在である。これは、19世紀末から20世紀初めに、フランスを中心とした欧州でブームになった芸術様式のことで、植物模様や流れるような曲線に特徴がある。
彼は特に、女性・花・植物を多用したようだが、どれもやさしく明るい色彩で描かれ、豊かな人間性が伝わってきた。とりわけ、私が気に入ったのは、娘・ヤロスラヴァを描いたこの一枚である。ポスターやイラストと違って、チェコの民族衣装を写実的に再現し、家族愛のこもった作品となっている。ポストカードを購入した。

それから、チケットやチラシの顔となっている「夢想」も素晴らしい。こちらは、カードミラーを買い求めた。

もし、手紙を書く機会があれば、記念切手をお勧めしたい。これは、左半分が80円切手、右半分が切手と同じ絵のシールとなっている。作品名や制作年も入っているので、大変気に入った。


「すごくキレイだった!」
「行ってよかったね~!」
美しいものは、親子ゲンカの仲裁までしてくれる。あとは仲よくお昼を食べ、和やかに帰路についた。
翌日、カードミラーを化粧ポーチにしのばせた。コンタクトレンズにほこりがついたようで、ゴロゴロ感がある。早速取り出し、使ってみた。
使用後、鏡を付属の袋に入れようとしたら、丸いシミができていることに気づいた。
「ギャッ!」
どうやら、リキッドルージュが漏れたようだ。
洗っても落ちなかったが、背景の色彩に近い色だから、「まいっか~」とスルーすることにした。

ミュシャ展、あと2週間で閉幕です!
お早めにどうぞ~☆

↑
クリックしてくださるとウレシイです♪
※ 他にもこんなブログやってます。よろしければご覧になってください!
「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)

包容力を感じさせる美女と、背後には明るい色彩のアラベスク調紋様。確かなデッサン力に基づいた柔らかな画風からは、只者ではないオーラが広がっている。
他の絵も見てみたい!
すぐさま、高2の娘と自分の前売り券を申し込んだ。
「明日はミュシャだからね。結構混んでるみたいだから、朝イチで行くよ」
「うん、わかった」
3月から4月にかけて、2人の都合がなかなか合わず、昭和の日になってしまった。ホームページを見ると、夕方からは空いているようだが、それ以外は待ち時間があるらしい。さっと行って、さっと帰ってこようと思ったのだが……。
「ぐおーーーっ」
当日、何度起こしても娘が起きない。開館の10時に間に合うはずが、一時間も遅くなってしまった。
六本木はいい天気だった。蜘蛛のオブジェも、楽しげに見える。

しかし、森アーツセンターギャラリーの入口で、私たちは凍りついた。

「ミュシャ展50分待ち!?」
早速、親子ゲンカが始まる。
「だから言ったじゃない。朝イチで行くって」
「なによ、お母さんなんか、今日はたまたま早かっただけで、いつも支度に時間かかるくせに」
「1時間も遅れませーん」
「10分でも、6回遅れれば1時間でしょ」
「何よ、開き直って」
「わあわあ」
「ぎゃあぎゃあ」
列の最後尾につき、言い争いをしながら進んでいたのは私たちである……。
幸い、前売り券を持っていたので、チケット売り場に並ぶ必要はなく、実質20分ほど待っただけで入場することができた。
だが、中の混雑もひどい。人、人、人のすき間から、かろうじて絵がのぞけるような感じだ。ゆっくり見たかったが、取捨選択をしないと体力が持たない。「これは」と思う絵には時間をかけ、「まいっか」の絵はスルーして、人をかき分けかき分け進んでいった。
不満だったのは、展示物リストがもらえなかったことだ。普通は、紙ベースで配られると思うのだが、なぜないのだろう。それから、展示物の配置が悪い。一筆書きで見られるようになっていない上、会場が狭いから、逆行する人で混乱する場所ができ、何度も人とぶつかった。
また、高額の保険がかかっているような絵には、簡単に近づけないよう、足元に柵を置いているのに、そうでない絵は床に白線を引いただけ。絵を差別しているように見えた。
しかし、それらを差し引いても、素晴らしい作品ばかりで満足のいく展示だった。
ミュシャは、アール・ヌーヴォーと呼ばれるカテゴリーにおいて、代表的な存在である。これは、19世紀末から20世紀初めに、フランスを中心とした欧州でブームになった芸術様式のことで、植物模様や流れるような曲線に特徴がある。
彼は特に、女性・花・植物を多用したようだが、どれもやさしく明るい色彩で描かれ、豊かな人間性が伝わってきた。とりわけ、私が気に入ったのは、娘・ヤロスラヴァを描いたこの一枚である。ポスターやイラストと違って、チェコの民族衣装を写実的に再現し、家族愛のこもった作品となっている。ポストカードを購入した。

それから、チケットやチラシの顔となっている「夢想」も素晴らしい。こちらは、カードミラーを買い求めた。

もし、手紙を書く機会があれば、記念切手をお勧めしたい。これは、左半分が80円切手、右半分が切手と同じ絵のシールとなっている。作品名や制作年も入っているので、大変気に入った。


「すごくキレイだった!」
「行ってよかったね~!」
美しいものは、親子ゲンカの仲裁までしてくれる。あとは仲よくお昼を食べ、和やかに帰路についた。
翌日、カードミラーを化粧ポーチにしのばせた。コンタクトレンズにほこりがついたようで、ゴロゴロ感がある。早速取り出し、使ってみた。
使用後、鏡を付属の袋に入れようとしたら、丸いシミができていることに気づいた。
「ギャッ!」
どうやら、リキッドルージュが漏れたようだ。
洗っても落ちなかったが、背景の色彩に近い色だから、「まいっか~」とスルーすることにした。

ミュシャ展、あと2週間で閉幕です!
お早めにどうぞ~☆

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「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
「うつろひ~笹木砂希~」(日記)