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これは したり ~笹木 砂希~

ユニークであることが、ワタシのステイタス

小さなプリンセス

2013年05月09日 20時12分22秒 | エッセイ
 去年、妹からアマリリスの鉢植えをもらった。(関連記事はこちらから)
 品種「ピンクパラダイス」という名の通り、サーモンピンクをまとったプリンセスのようである。一年かぎりだと思っていたが、予想に反して、今年もつぼみが膨らんできた。出窓に置いてあるせいか、たっぷりと日差しを浴びて、早々に花びらを広げている。



「うちのアマリリスは咲きそうもないわ」
「うちもよ」
 先日、姉と妹が遊びに来たとき、二人はわが家のプリンセスを見て驚いていた。私に似ず、意外と図太いのかもしれない……。
 2輪咲いたところで次を待つ。この種類は4輪の花をつけるのだ。去年はこんな艶姿を見せてくれた。



 今年はその後、3輪は優雅に咲いた。だが、4輪目がちょっとおかしい。花弁がやけに小さく、これから育つ気配もないのだ。



 栄養が足りなかったのか、奇形なのか。
 開かぬ花弁から顔を出した短いおしべが、精一杯、天に向かって伸びていた。何とも、いじらしい……。
 アマリリスの花は、一週間ほどでしおれてくる。花が終わったら、すぐにハサミでカットすると、エネルギーの消耗を防ぎ、次の花が楽しめると書いてあった。
 去年のアマリリスは、2度咲いている。今年も、うまくいけば、もう一度華やかな姿が拝めるかもしれない。
 ひからびて、カサカサに乾燥した花弁を、チョキンと切り離す。最初に咲いた2輪は、ピンクから薄茶色に変化してしまった。
 次に、遅れて咲いた2輪を切ろうとした。しおれて下を向いた花には、まだ水気が残っていたが、構わず切り離した。手にまとわりつく花弁に、少々罪悪感をおぼえる。
 最後に、成長し損ねた小さな花に触れてみる。少々茶色になりかけていたが、私はこの花を切ることができなかった。
 幼くして、生涯を終えたような儚さに、胸が苦しくなってくる。

 今度は、大きな花に生まれておいで。

 そう願わずにはいられない。
 今日は、久々に暖かかった。
 せっせと水やりをして、次のプリンセスを待ちたい。 


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 「いとをかし~笹木砂希~」(エッセイ)
 「うつろひ~笹木砂希~」(日記)
コメント (10)
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