寒いと言ったら暖かい。
なんとも定まらぬ陽気である。
ところで天気のことを挨拶の冒頭に持ってきたのは天候が不順な地に住むイギリス人だったそうな。
好天を喜び合い、悪天を憂い合う気持ちはわかる。
それにつけても日本人はなんと温暖清涼の地に住んでいることよ。
尤も最近では日本でも暑さで人が死ぬこともある。
花鳥風月を愛でている時ではないかもしれぬ。
しかし騒いでも何も収まらない。
まぁ、暑い暑い、寒い寒いと言っていればいいのである。
そこにも詩は生まれるであろう。
日の影も惜しく暮れるな帰り花 素閑
指で丸作りて覗く帰り花 素閑
欄干に触れて散るなり帰り花 素閑
枯れ枝のかざしともせむ帰り花 素閑
ゑだ折るなそれは私の帰り花 素閑
さめざめと川水に散る帰り花 素閑
金襴も色褪せてみゆ帰り花 素閑
一輪が町を満たせり帰り花 素閑
見せんかな川べりに来よ帰り花 素閑
祖父祖母の墳墓の地なり帰り花 素閑