連休後半の初日。何の気もなくかーたんと三軒茶屋に出かけた。商店街を見ていても、見慣れた風景と見慣れた品揃えなので、退屈してしまう。なんというか、三軒茶屋は、地元の土地持ちの旦那衆が道楽で店を続けているので、ほかの商店街に比べて、変化に乏しいということを聞いたことがある。土地持ちの商店主ということは家賃を気にしなくてもいいから、鷹揚な商売をしていけるということだ。しかし、そこは世知辛い今のご時勢、市場価格を無視した正礼のもとに鎮座ましましている商品は買い物客から見向きもされないということだ。しかし、三軒茶屋にも自由競争の波がひたひたと押し寄せていて、大分、街並みが変わった。大量仕入れ、薄利多売が可能なチェーン店が多くなったといってもよい。しかしトンカツの『しおじま』のような名店が失われるのはさびしい限りだ。茶沢通りを右に抜けてキャロットタワーに足を向ける。26階のスカイラウンジにエレベーターで昇って、摩天楼からの展望を楽しんで来ようという思惑だ。ところが、エレベーターホールにはウィーンのポスターが・・・ドイツ・オーストリア・ビア・フェスティバルというイベントをやっている。これは興味津々。しかし、26階に着いて納得。ウィーンというのは名ばかりの、小さなテーブルカウンターで、ドイツ・オーストリアのビールの展示・試飲・販売をやっているのだ。これは竜頭蛇尾というか羊頭狗肉というか・・・まぁ、世田谷区がウィーン一区と姉妹都市なので、こじつけたような名称のイベントまがいのことを考え出したというのが真相のようだ。しかし、ゲッサーやジップファーなどのオーストリア・ビールには興味があったので、出展社の『ツークシュピッツェ』の神長さんとは現地のビールの話などで盛り上がった。ついでに、ゲッサーを一杯。懐かしい味は美味かった。
妻ともにそぞろ歩きや春行きぬ 素閑