Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

回想の古伊万里 26(鳥兜文六寸皿)

2019-11-16 23:53:40 | 古伊万里
 伊万里の収集を続けていると、何の文様なのか判らない品で出会います
今回の品も、購入時点では何が描かれているのか判らなかった(単に知らなかっただけですが・・・)品です。



白く綺麗な生地に染付で紅葉と思われる枝葉が描かれ、見込み中央には何か判然としない文様が描かれています
この品を売っていた業者さんはちゃんと判っていたようで、「鳥兜文」と名付けていましたが
購入した当時のワタシは「鳥兜」が何だか知らなかった訳です。
↓がその「鳥兜文」の部分を拡大した画像ですが、正直なところ多くの人は「これは何?」と思うのが普通であるように思います



さて、「鳥兜とはなんじゃらホイ」という訳でネットで調べてみたところ
「舞楽の常装束で用いられる頭に被る装飾品。舞楽以外には神社・仏閣での民俗芸能などでも用いられる」だそうです
舞楽を見る機会はほとんどありませんが、そういえばこん感じのものを被っていたような・・・、というイメージはありました。

裏面はあっさりと紅葉の葉(?)が散らしてあります



この品を扱っていたのは京都の業者さんで、ヤフオクでは江戸中期の伊万里として売っておりましたが
やはり見かけないタイプの文様ということで値段が上がらず、確か7000円ほどで落札したように記憶しています。
実際に入手してみると、全体に中期伊万里とは印象が違い、土の感じが平戸・三河内系を思わせる品で
「いい感じの品で珍柄だが、良くワカラン」ということに落ち着きました。(10年以上前です)

そして、この品について教えてくれたのが、この世界の先輩コレクターさんで、それによると
「三好一さんの『楽しい小皿』(青幻舎)のP211に掲載されています、三好さんの見立ては江戸後期の平戸焼とのことです」
ということでした。

時代は特定できないものの、他に見かけることの無い珍柄ということで、結構気に入っている品でもあります。


故玩館への招待

2019-11-12 22:53:49 | 日記
以前から気になっていた本を購入しました
「故玩館への招待」です。



内容はというと3部に分かれており、最初の部分はネットオークションの体験に基づくハウツーですが
ワタシもネットオークション歴は20年近いので、同じような体験をしておりまして、まさに「わが意を得たり」といった感じです。
特に感心したのは、オークションの終了画面を保存してデータベース化するという部分で、ワタシなんぞ仕事では
オラクルやSQLサーバー(共に業務用データベースソフト)、さらにはACCESSも使っているのに、ついぞ思いつきませんでした。
したがってウチの品はいつ買ったか、値段がどんなものだったか不明な品ばかりになっています。(ガサツな性格なもんで)

第二部はネットオークションでゲットした品が増えた結果、自宅の母屋を「故玩館」に改装する過程が描かれていますが
そのきっかけとして広重の浮世絵に描かれた風景、そして同じ場所の現在の風景が対比されていく下りがとても興味深い部分です。

第三部は膨大なる故玩館の収蔵品の紹介で、入手時のエピソード(ネットオークション中心)、さらには品物についての歴史的背景等
とにかく収蔵品のジャンルが広いので、これらについて仔細なる説明が出来るというのは並大抵ではありません。

さて、ワタシがこの本で最も印象深かった部分はなんと「はじめに」の一部分でありまして
その中に以下のような一文があります。(勝手に引用しております)

「故玩とは、オトナの玩具(オモチャ)である」

骨董趣味を簡潔に表現した見事な一文だと思った次第です。

回想の古伊万里 25(花唐草に唐獅子文六寸皿)

2019-11-11 23:08:23 | 古伊万里
 いつもウチのブログに心あたたまるコメントを頂いている、遅生さんDr.kさんのブログで
キズ物ではあるものの、それ以上に魅力のある古伊万里が取り上げられていましたので
「傷物ならウチも負けていない」という、なんの自慢にもならない理由で取り上げるのが今回の品です。

恐らくは延宝~元禄期の盛期伊万里と思われる六寸皿です


縁の部分を二段に菊形に成形した中期に見られる形で、見込み部分には三頭の唐獅子を描き、その周囲は繊細な花唐草文が描かれています
この狭いスペース(実測してみたら、中央の二重圏線の中は直径10cm)に唐獅子を三頭も描く細かな絵付けは見事しか言いようがありません


この品は確かトリノ・オリンピックの開催中に見つけて買った記憶がありますので、今から14年も前に購入した品ですが
傷物とはいえ、当時はそこそこの値段だったように思います。
見ての通り、縁に下手な直しが一箇所あり、そこから3cmほどのニュウ、さらに別のところにも3cmほどの裏に通ったニュウがあります
完品であれば上手の藍柿として市場へ出たのでしょうが、立派な傷物であるが故にウチへやって来た品です。

裏面も中期の上手の特徴を備えています


かの中島センセイは、「傷物ばかり集めてはイカン」というようなことを書いていたように思いますが
完品では入手できない品を傷物で入手して審美眼を育てるという考え方もあるようには思います。
(ま~、貧乏コレクターの屁理屈ではありますが・・・)


ピラカンサス

2019-11-10 18:35:55 | 日記
ウチの庭(道路のすぐ側)に植えてあるピラカンサスが大量の赤い実を付けました。


調べたところピラカンサスは「トキワサンザシ」と「タチバナモドキ」の二種類があるようで
ウチのは日本で数の多い「トキワサンザシ」のようで、「ヨーロッパ南部からアジア南西部に自生する」そうです。


この赤い実は雪の降る頃まで楽しめます


↓の画像は2017年1月13日のものですが、雪の白と赤い実のコントラストがお気に入りです。

ナルキッサス・ミイロタテハ

2019-11-08 23:36:48 | 
蝶を見て美しいと思う女性はそこそこいると思うんですが、標本コレクターになるのはほとんど男性のようです
しかし、ミイロタテハ(アグリアス)の世界最大のコレクターは女性です。
マダム・ガストン・フルニエという女性で、この人は裕福な宝石商の娘として生まれ、後に銀行家と結婚します。
彼女が膨大なアグリアスのコレクションを作り上げることができたのは、経済的に恵まれていたのは確かですが
やはり宝石商の娘であるが故に持ち合わせた審美眼が大きかったのだと思われます。

さて、今回のアグリアスはフレンチ・ギアナ、ガイアナ、ベネズエラ、ブラジルの一部の生息している
「ナルキッサス・ミイロタテハ」です。


この標本は「ナルッキッサス・オビドニウス」という種類で、ご覧の通り状態はイマイチです
とはいえ、この青の輝きは魅力的で、翅を広げると80ミリ近くある大型のアグリアスです。
ウチには標本がありませんが、赤の部分の形が違う「タパジョナス」というタイプ、さらには
赤の部分が黄色になったタイプもおり、高値で取引されるようです。


ワタシはモルフォに代表される「青い蝶」が大好きで、アグリアスの場合も青の輝きに惹かれます。