Diary Of 酒田の人

田舎住まいの60代サラリーマンの趣味の日々

伝説の蝶を求めて

2024-01-28 19:56:26 | 
ずっと読みたいと思っていた本を入手しました
「伝説の蝶を求めて 女帝ポンテンモンキチョウ」です。

1999年の刊行された書籍で、作者は原弘という方です
この本で取り上げられている「ポンテンモンキチョウ」(Colias ponteni)というのは世界に8頭しか標本が存在せず
しかも160年以上(場合によっては250年以上)採集された記録がないというまさに幻の蝶です。
世界にある8頭の標本のうち5頭は大英博物館に、残り3頭のうち2頭はスウェーデン自然史博物館、1頭はルンド動物学研究所にあります
↓はこの書籍の裏表紙ですが、上から5頭は大英博物館、下の3頭はスウェーデンにある標本のようです。

大英博物館の標本は以前から知られていたようで、1768年~1771年かけてキャプテン・クックがエンデバー号で行った
世界一周の航海の時に一緒に乗船していたジョセフ・バンクス(表紙の人物)がアルゼンチンのフエゴ島で収集したと伝わっていました。
一方スウェーデンの残されていた標本は、1852年頃にスウェーデンのユージェニー号の世界一周時にハワイのオアフ島で採集されたことになっています
ポンテンモンキチョウの標本はずっと大英博物館にしか存在しないと思われていましたが、1997年にスウェーデンに3頭存在することが知られました。
この本の著者である原弘さんは、スウェーデンの研究者の論文、さらに数多くの資料を精査することで
矛盾点を探し、さらに想像力を働かせて仮説を立て可能性を厳しく追及することで
謎となっているポンテンモンキチョウの生息地を特定しようとしています。
ちなみに、ハワイのオアフ島にはモンキチョウ(Colias)は生息していないようです。
謎は謎を呼び、決定的な確証は得られないものの、作者の原弘氏は会社を辞めて、自分の仮説を証明するべく決意することろで終わっていますが
その後の原氏の成果については不明で、ポンテンモンキチョウを捕獲したというビッグニュースもありません。
それにしても、著者の並々ならぬ情熱と研究心が伝わってくるのは確かです。
今から20数年前には「幻の蝶」といえば、ブータンシボリアゲハ、オナシカラスアゲハ、モエルネリマネシアゲハだったようですが
そのいずれもが今世紀に入って再発見されており、そういった意味では、発見できれば「世紀の大発見」となるのがポンテンモンキチョウですが
たぶん、絶滅してしまったのかも知れません。





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6 コメント

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Unknown (ぽぽ)
2024-01-28 21:27:52
酒田さんへ
なんてロマンのあるはなしだと思いました!
ちなみに私の行きつけだった古道具屋さんの店主も蝶など昆虫もやっている方でした。ギフチョウの標本とかやってました。
美しいものに惹かれるのは蒐集家あるあるなのかなあと思って拝読しておりました。(^^)
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ぽぽさんへ (酒田の人)
2024-01-29 08:07:03
骨董も蝶も「珍しい」とか「美しい」といったキーワードに集約される気がしますね~
蝶については数年間勉強しつつ標本をいくつか集めましたが
何せ伊万里と違って保存に気を遣うというのが最大の難点でありまして
個人的には長く続きませんでした。
(仕舞っておいたら虫に食べられ針だけ残っていた、なんて話は珍しくないようです)
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酒田の人さんへ (Dr.K)
2024-01-29 10:28:02
このような著者の生き方そのものに惹かれますね。
その後、著者がどのような道を歩んでいったのかが気になりますね。
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Dr.kさんへ (酒田の人)
2024-01-29 15:33:53
蝶のコレクターというのはそこそこ居るようですし、標本商も個性の強い人が多いようですが
これだけ特定の種について情熱を持っておられる方は少ないと思います。
日本では唯一と言える研究書を自ら刊行し、さらに後半生を謎の解明に賭ける
一般人とは違ったエネルギーと情熱を感じます。
著者のその後の情報が見つかったら、また書いてみたいと思います。
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酒田の人さんへ (遅生)
2024-01-30 07:49:03
「ポンテンモンキチョウ」というのは幻の蝶なんですね。昔採取された時も、相当貴重だったので博物館に収蔵されたのでしょう。今も生息していると信じたいです。

この著者、原弘さんはマニアの鏡ですね。会社員を辞めて、捕虫網片手に密林の奥に分け入っているのでしょうか。「胡蝶の夢博物館 学芸員」という表記にも感心しました。
親近感を感じます(^.^)
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遅生さんへ (酒田の人)
2024-01-30 13:23:23
ポンテンモンキチョウについては複雑な事情が絡み合っているようで
どうにもはっきりとしない事実だけが残されています。
故にその謎の解明に後半生をかける、という決断はなかなか出来ませんよね
なにかトロイア遺跡を発見したシュリーマンのような情熱を感じます。
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