前回、平戸の小皿を紹介しましたが、確かもう一枚だけ平戸があったはず・・・と思い探したら、ありました、七寸皿が
明治期の平戸には鍋島写しが見られますが、今回の品も鍋島風の平戸です。
「平戸牡丹文七寸皿」
平戸お得意の薄濃みの器面に大きく牡丹の花(?)が描かれています
正直なところ、花を大きく描きすぎて、大胆ではあるものの品格に欠けるという気がします。
とはいえ、墨弾きと薄濃みを駆使した細かい描写は同時期の伊万里とは一線を画すものがあり、技術は見事なものです。
この画像は何のこっちゃ判りませんが、牡丹文の外側の薄濃みの部分の拡大でありまして、きわめて均一に塗られていることが判ります。
裏面は典型的な鍋島写しで、三方に七宝繋ぎが描かれています
この時代の鍋島写し系(?)の平戸は櫛高台までは手が回らなかったようで、かなり雑な品が多いように感じますが
裏と表を別の職人が絵付けしたのではという、先輩コレクターのご意見をいただきました。
あともう一点、鍋島の高台はこのように直立しておらず、内側に向かって傾斜しているということのようです。
本物の鍋島は貧乏コレクターには縁のない品ですが、平戸でも幕末鍋島より楽しめる品もあるように思います。
この頃になりますと、鍋島の技術が落ち、反対に、平戸の技術が高まってきたということでなのでしょうか。
確かに、「鍋島の高台はこのように直立しておらず、内側に向かって傾斜している」場合が多いようですね。それが、平戸の特徴かもしれませんね。
明治維新には鍋島の職人が伊万里や平戸に流れたんでしょうから
そんな中でこういった品が生み出されたんでありましょうか。
私が持っている鍋島風の平戸の多くは高台が直立していますので
平戸の特長としてとらえても良いのかも知れません。
ダミも念入りで、力が入った作です。
裏面になったら、エネルギーが枯渇したのでしょうか。
分業なら頷けますね。
この品の場合は器面いっぱいに描いたのがデザイン的には失敗だったように感じます。
とはいえ、見どころはそれなりにあるようです
一般的に幕末~明治として売られているこの手の平戸の多くは櫛歯文が雑です
理由は不明ですが、そこは本歌のようではないということでしょうか。