磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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長崎精機原子爆弾記

2008年06月20日 | 読書日記など
『長崎精機原子爆弾記』
   三菱重工業株式会社長崎精機製作所・編/
     三菱重工業株式会社長崎精機製作所1949年

この本は原爆投下されてから4年めに出版されたようです。下「」引用。

「原子爆弾が投下されてから、四年目の夏がめぐつて來た。長崎は國際文化都市として甦つたが、あの日の光景はいつまでも我々の脳裏から去ることが出來ない。
 本書は原爆一周忌の日に『世界平和の端緒となつた原爆の實体を永遠に記念し郷土長崎の復興、平和國家の再建に資したい』と考えから發案され、こゝに幾多の生々しい体験を蒐集し上梓の運びとなつたものである。-略-」



森がなかったという……。下「」引用。

「私の下宿が鐡道の西側の森の中の岩永という年とつたお醫者さんの家だつたので、或るはそこで治療してもらえるかもしれないと云う錯覚におちいり、線路を渡りとぼとぼと田圃路を下宿の方向へ歩いた。然しその森は影も形もない」

見知らぬ女性に助けられたという。下「」引用。

「女の人がガーゼを持つて來て私の傷に當て簡單な手當をしてくれた、この人は後に汽車に乗る前に車中の注意をいろいろと教えてくれたが、その人は誰であつたか今も判らない。」

こんな非常時にもよく助けられたものだと思う。
--ほかの本だが、朝鮮人に助けられたと書く日本人も多い。

国破れて山河なし……。下「」引用。

「國破れて山河あり、と雖も、今や山は燃えて姿なく、河は枯れて、人も世も共に滅びるのか、且ては、東洋の盟主を誇り、必勝の信念に燃えて、總力結集一丸の努力も、數多き、天王山の果は、一億玉砕にまで來たのだ。なつかしい職場の人々も、みんな死傷したであろうし、友人も、兄弟も、妻子もどうなつて居るか」

一番最初の小さな核兵器でさえ、そうなったんですよね。

B29機を眺めていた人……。下「」引用。

「「福岡軍司令部發表、敵大型二機、島原半島を西進中。」と戦慄に充ちた情報が、何等意を留める事もなく左肩上のスピーカーより流れ出された。此の二機が、あの恐ろしい原子爆弾を投下せんとする飛行機だと誰が想像したであろうか。私達は此の耳で幾度か斯る情報以上のものを聽いた。否此の眼で青空高く銀翼を輝かせ乍ら爆音轟々と當市上空を通過し行くB29の堂々たる編隊を、高射砲弾幕の間に見た。私の居た百名ばかりの部屋の人が、斯る情報に對する感度の激減しているのも當然で余り緊張の様子はなく、皆は己の事故とを繼續していた。時恰もスピーカー下の電氣時計は十時五十五分であつた。」

カトリック信者たち。下「」引用。

「靜雄さんが急に靜かになった。眠つたのかと思つて居ると、急に「うん」と言う聲がした。はつとして、靜雄さん靜雄さんと呼んでも返事が無い。暗闇の中で坐つた様な氣配がした。と思うと急に祈りを始めた。(此の人は若いカトリック信者であった。)-略-集つた人々は皆カトリック信者である、父さん母さんと逢う事も出来ず、天國に行く靜雄さんの為に、荘嚴な祈りが暗い壕の中で捧げられた。」

空襲警報で寝不足だったと書く人もいました。

戦争は安眠妨害もする……。
--それどころではないか……。



日本の原爆記録 2





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