XI.エコ・キャンプ
D152.夜空のトランペット
「私はサメは好きじゃないけど、サメから癌を直す薬が研究されているのよ」
鈴木はユリカの顔を見つめて頷きかえした。
「その通りだね。エイズの薬をカブトガニから作られているよ。あの生きた化石と言われているカブトガニからだよ。カブトガニの青い血液から作られた薬は、エイズ・ウィルスを殺すことはできないが、細胞への侵入を防ぐそうだ。40億年かかって、生物をはぐくんてきた海。それを守ろうとすることは、何も奇麗ごとでもなければ、非科学的なことでもないんだ」
「大切なことだよね」
「きれいなだけでも、自然って素敵だと思うわ。どんな芸術家がつくった作品より、素晴らしいと私は思うわよ」
ユリカは夢中になって話している。
「でも、自然の美しさはきれいなだけじゃないんだよ。サンゴ礁もそうなんだよ。地球の二酸化炭素の分布は大気中58%で、海洋42%が吸収されているんだよ。サンゴ礁は光合成の能力が高いんだよ。地球の温室効果を阻止するためにも、サンゴ礁を守ることは大切なことなんだよ。そしてサンゴはもともと白しかないんだけど、そこに住む藻の色によって、宝石のようさまざまな色をしているんだよ」
ユリカたちは、海のサンゴ礁の美しさを思い出している。カールもそんなことを言っていたのを思い出した。そして、目を開けると、空には星がちりばめられている。宮沢賢治はこれを『金剛石』と呼んでいた。金剛石とはダイヤモンドのことである。
「きれいな星空ね」
葵がうれしそうに話した。
「でも、オゾンホールの空だろう!」
ヤスが気分を害することを言った。
「オゾンがしっかりとした形をとるまで20億年、あるいはそれ以上かかっている。オゾンホールが発見され、オゾン濃度が10年やそこらで半分も減ったらしいんだよね。まったく驚いてしまうよ。でも、今日の夜空はきれいだと思わないか、ヤス」
「そうだね、その通りですよ」
「しかし、僕の子どものころもっと空がきれいだった。私の父が子どものころには、さらに空はきれいだったというよ」
「もっと汚くなるのかなあー。いやだなあー」
「そうだな、そんなことがないように、みんなで努力しないといけないなあー」
オゾンの問題は一応目処がたったと書く人たちがいます。
他の問題も解決していけばいいですね。
「そろそろ、就寝の時間になる。その前に」
葵は
「みんな静かにして」
と言った。
みんなは静かにして、ユリカに注目した。
山のみどりは深く、虫たちがかすかに鳴いているのがきこえた。
そんな静けさの中、ユリカは、
「わたしのパパの大好きな曲、『夜空のトランペット』を吹きます」
とユリカはトランペットを吹きはじめた。
空には、スモッグもなく、星は美しく宝石のように輝いていた。
ユリカの頬にキャンプファイヤーのオレンジ色のひかりが当たった。
みんなはユリカのトランペットにききほれていた。その中央で、キャンプフォイヤーの薪はメラメラと燃え、少しづつ少しづつ、身をすり減らしていった。
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[レインボー・ループ]もくじ
D152.夜空のトランペット
「私はサメは好きじゃないけど、サメから癌を直す薬が研究されているのよ」
鈴木はユリカの顔を見つめて頷きかえした。
「その通りだね。エイズの薬をカブトガニから作られているよ。あの生きた化石と言われているカブトガニからだよ。カブトガニの青い血液から作られた薬は、エイズ・ウィルスを殺すことはできないが、細胞への侵入を防ぐそうだ。40億年かかって、生物をはぐくんてきた海。それを守ろうとすることは、何も奇麗ごとでもなければ、非科学的なことでもないんだ」
「大切なことだよね」
「きれいなだけでも、自然って素敵だと思うわ。どんな芸術家がつくった作品より、素晴らしいと私は思うわよ」
ユリカは夢中になって話している。
「でも、自然の美しさはきれいなだけじゃないんだよ。サンゴ礁もそうなんだよ。地球の二酸化炭素の分布は大気中58%で、海洋42%が吸収されているんだよ。サンゴ礁は光合成の能力が高いんだよ。地球の温室効果を阻止するためにも、サンゴ礁を守ることは大切なことなんだよ。そしてサンゴはもともと白しかないんだけど、そこに住む藻の色によって、宝石のようさまざまな色をしているんだよ」
ユリカたちは、海のサンゴ礁の美しさを思い出している。カールもそんなことを言っていたのを思い出した。そして、目を開けると、空には星がちりばめられている。宮沢賢治はこれを『金剛石』と呼んでいた。金剛石とはダイヤモンドのことである。
「きれいな星空ね」
葵がうれしそうに話した。
「でも、オゾンホールの空だろう!」
ヤスが気分を害することを言った。
「オゾンがしっかりとした形をとるまで20億年、あるいはそれ以上かかっている。オゾンホールが発見され、オゾン濃度が10年やそこらで半分も減ったらしいんだよね。まったく驚いてしまうよ。でも、今日の夜空はきれいだと思わないか、ヤス」
「そうだね、その通りですよ」
「しかし、僕の子どものころもっと空がきれいだった。私の父が子どものころには、さらに空はきれいだったというよ」
「もっと汚くなるのかなあー。いやだなあー」
「そうだな、そんなことがないように、みんなで努力しないといけないなあー」
オゾンの問題は一応目処がたったと書く人たちがいます。
他の問題も解決していけばいいですね。
「そろそろ、就寝の時間になる。その前に」
葵は
「みんな静かにして」
と言った。
みんなは静かにして、ユリカに注目した。
山のみどりは深く、虫たちがかすかに鳴いているのがきこえた。
そんな静けさの中、ユリカは、
「わたしのパパの大好きな曲、『夜空のトランペット』を吹きます」
とユリカはトランペットを吹きはじめた。
空には、スモッグもなく、星は美しく宝石のように輝いていた。
ユリカの頬にキャンプファイヤーのオレンジ色のひかりが当たった。
みんなはユリカのトランペットにききほれていた。その中央で、キャンプフォイヤーの薪はメラメラと燃え、少しづつ少しづつ、身をすり減らしていった。
閑話休題 2006年2月16日は、 京都議定書発行一年目の記念日であるという。 「京都議定書発効1周年記念行事」 は各地であるようです。 ぼくのよく聴くJ-WAVEというラジオ局では、 本日は水力発電による電気で放送されている と話されていました。 |
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