『3.11後の多文化家族-未来を拓く人びと-』
川村千鶴子・編著/明石書店2012年
ブータンの国王夫妻。下「」引用。
「ブータンのワンチュク国王夫妻は、福島現相馬市を訪れ、祈りを捧げ、被災者を励ました。ブータンの幸福度の九つの領域とは、1. 生活水準、2. 健康、3. 教育、4. 生態系と環境、5. 文化の活力と多様性、6. バランスのある時間活用、7. よい統治、8. コミュニティーの活力、9. 心理的な幸福感であるという。
「幸せに生きる」という曖昧な概念を、もう一度日本社会が最高する機縁でもある。」
オーラル・ヒストリー。下「」引用。
「しかしながら、震災後半年を経て、ようやく被災地の人々は自らの経験を語る機運が出てきたように感じた。本稿の前取材で岩手県の多くの知人にコンタクトを取ると、何かを語ることで自分の考えを整理したいという人や、逆に人の話を聞いて受け止められるようになったとの声があった。こうしたことから、本稿では、筆者の人的関係を中心として、オーラル・ヒストリーを用いた被災市民の経験の再構築を試みる。」
外国人に焦点をあてる……。下「」引用。
「震災地域の報道では、一部の例外を除いて、こうした外国人の暮らしや、外国政府の対応が日本人社会の中で可視化されていない現実がある。こうした地域で生活している外国人に焦点をあて、彼らの震災前から震災後の暮らしをインタビューから再構成したい。-略-」
「ゲルを提供したモンゴル人(内モンゴル)」 下「」引用。
「モンゴルの「ゲル」は簡易につくられて目立つという会社のモンゴル人スタッフの提案で、市内にある公園の一部を一年間借り、情報発信センターとして二基設置した。-略-」
留学生の危機。下「」引用。
「日本の危機は、留学生にとっても危機である。ある留学生は「日本留学には私の人生がかかっている。日本がダメになれば私もダメになる。だから日本に頑張ってほしい。私も頑張る」と檄を飛ばす。日本の夢を抱き、時間とお金を投資した留学。中断するわけにはいかない。」
県内でも嫌がらせやいじめ。下「」引用。
「いじめや、嫌がらせは“県外けでなく県内でも起こっていた。原発事故から逃れ、やっとたどり着いた避難先で待っていたのが、「避難者が家族であってもスクリーニングを受けさせること」という町長からの通達書。ガソリンがないというのに、一五キロ以上離れた病院に行かされた。-略-」
オリズル……。下「」引用。
「小学五年生のG君は「国籍は関係なく、ブラジル人か日本人かは関係ない」。最後にもう一度R君が「皆、同じ人間で、学校で千羽鶴を気持ち込めて折り、ブラジルの人たちと連携して一万羽ほどの鶴を折ってある。一つひとつが一人の夢であるかのように、希望を持ち続けてほしい。それを皆さんに届けたい」と締めくくった。」
JFK……。下「」引用。
「ジョン・F・ケネディのいう「我々の最も基本的なつながりは、誰もが同じ空気を吸っていることと、誰もが子どもたちの未来を慈しんでいる」ことを実感させてくれた二○一一年だったと思う。どんな災難があっても、同じ空気を吸いながら、様々な形で人とのつながりを保ちながら支え合って生きていかざるをえないことを、身をもって体験したのである。」
「原子力ムラ」の住民はそうではないと思いますよ……。
放射線と余震……。下「」引用。
「今回の震災は、福島原子力発電所が爆発し、放射能が流出したこが確認されると、日本はもちろん、全世界が放射線被ばいという恐怖に震え、人体への被害に秀眉の関心をみせた。連日、新聞やテレビでは、放射線や放射能に関する話題でわいていた。「空気中の放射線量が何マイクロシーベルト検出された」という聞いたこともない用語が飛び交っていた。「水道水中からも検出された」「海中に放射能汚染水を放出した」ので魚は食べられないという反応や、今度は茶葉からも検出ししたとか、野菜などの食材についても様々なニュースが出回っていた。テレビで地震速報を知らせるピピという音ととに、「放射…」と始まることばが聞こえるたびにノイローゼになりそうな毎日であった。」
そういう毎日をつくったのは住民でもなければ、反原発の人たちでもなく、原発推進してきた「原子力ムラ」の住民たちである事実は隠せないだろう……。原発がなければ、原発震災は起きないのだから……。もちろん、風評被害も……。
index
外国人エクソダス。下「」引用。
「未曽有の大震災の後、全世界が放射能の被害に注目していた中、たくさんの外国人が帰国していた。外国人エクソダスとともに、飛行機のチケットが何倍も跳ね上がり、諸外国の国民に対する対応を比較して、自分の国の遅い対応にまた憤りを感じるなど、様々な光景が交錯した三月であった。想像し得るように、母国にいる親たちは子どもをまた孫を心配し、呼び寄せていたのである。そんな状況の中、日本に留まりながら普段と変わらぬ生活をしつづける人々も、大変な思いをする毎日であったに違いない。周りから何気なく聞こえる「逃げるところがあっていいなぁ」という嘆きもあり、裏切られたというか、胸の片隅がいっそう寂しくなったに違いない。」
ルーツが外国の母親たち……。下「」引用。
「このうよな外国にルーツをもつ母親たちが物語っている内容から、地震による不安、パニック状態、頼れる人の不在等にのより、心の安定を求め、母国の家族のもとへ赴く決心をする家族離散の背景が見えてくる。また、急激に揺れる日本経済・政治への不安を感じ、長引く不景気による事業の混乱から、帰国を決心せざるをえないという厳しい経済情勢は、外国人の生活を窮地に追い込んでいることを物語っていた。」
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川村千鶴子・編著/明石書店2012年
ブータンの国王夫妻。下「」引用。
「ブータンのワンチュク国王夫妻は、福島現相馬市を訪れ、祈りを捧げ、被災者を励ました。ブータンの幸福度の九つの領域とは、1. 生活水準、2. 健康、3. 教育、4. 生態系と環境、5. 文化の活力と多様性、6. バランスのある時間活用、7. よい統治、8. コミュニティーの活力、9. 心理的な幸福感であるという。
「幸せに生きる」という曖昧な概念を、もう一度日本社会が最高する機縁でもある。」
オーラル・ヒストリー。下「」引用。
「しかしながら、震災後半年を経て、ようやく被災地の人々は自らの経験を語る機運が出てきたように感じた。本稿の前取材で岩手県の多くの知人にコンタクトを取ると、何かを語ることで自分の考えを整理したいという人や、逆に人の話を聞いて受け止められるようになったとの声があった。こうしたことから、本稿では、筆者の人的関係を中心として、オーラル・ヒストリーを用いた被災市民の経験の再構築を試みる。」
外国人に焦点をあてる……。下「」引用。
「震災地域の報道では、一部の例外を除いて、こうした外国人の暮らしや、外国政府の対応が日本人社会の中で可視化されていない現実がある。こうした地域で生活している外国人に焦点をあて、彼らの震災前から震災後の暮らしをインタビューから再構成したい。-略-」
「ゲルを提供したモンゴル人(内モンゴル)」 下「」引用。
「モンゴルの「ゲル」は簡易につくられて目立つという会社のモンゴル人スタッフの提案で、市内にある公園の一部を一年間借り、情報発信センターとして二基設置した。-略-」
留学生の危機。下「」引用。
「日本の危機は、留学生にとっても危機である。ある留学生は「日本留学には私の人生がかかっている。日本がダメになれば私もダメになる。だから日本に頑張ってほしい。私も頑張る」と檄を飛ばす。日本の夢を抱き、時間とお金を投資した留学。中断するわけにはいかない。」
県内でも嫌がらせやいじめ。下「」引用。
「いじめや、嫌がらせは“県外けでなく県内でも起こっていた。原発事故から逃れ、やっとたどり着いた避難先で待っていたのが、「避難者が家族であってもスクリーニングを受けさせること」という町長からの通達書。ガソリンがないというのに、一五キロ以上離れた病院に行かされた。-略-」
オリズル……。下「」引用。
「小学五年生のG君は「国籍は関係なく、ブラジル人か日本人かは関係ない」。最後にもう一度R君が「皆、同じ人間で、学校で千羽鶴を気持ち込めて折り、ブラジルの人たちと連携して一万羽ほどの鶴を折ってある。一つひとつが一人の夢であるかのように、希望を持ち続けてほしい。それを皆さんに届けたい」と締めくくった。」
JFK……。下「」引用。
「ジョン・F・ケネディのいう「我々の最も基本的なつながりは、誰もが同じ空気を吸っていることと、誰もが子どもたちの未来を慈しんでいる」ことを実感させてくれた二○一一年だったと思う。どんな災難があっても、同じ空気を吸いながら、様々な形で人とのつながりを保ちながら支え合って生きていかざるをえないことを、身をもって体験したのである。」
「原子力ムラ」の住民はそうではないと思いますよ……。
放射線と余震……。下「」引用。
「今回の震災は、福島原子力発電所が爆発し、放射能が流出したこが確認されると、日本はもちろん、全世界が放射線被ばいという恐怖に震え、人体への被害に秀眉の関心をみせた。連日、新聞やテレビでは、放射線や放射能に関する話題でわいていた。「空気中の放射線量が何マイクロシーベルト検出された」という聞いたこともない用語が飛び交っていた。「水道水中からも検出された」「海中に放射能汚染水を放出した」ので魚は食べられないという反応や、今度は茶葉からも検出ししたとか、野菜などの食材についても様々なニュースが出回っていた。テレビで地震速報を知らせるピピという音ととに、「放射…」と始まることばが聞こえるたびにノイローゼになりそうな毎日であった。」
そういう毎日をつくったのは住民でもなければ、反原発の人たちでもなく、原発推進してきた「原子力ムラ」の住民たちである事実は隠せないだろう……。原発がなければ、原発震災は起きないのだから……。もちろん、風評被害も……。
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外国人エクソダス。下「」引用。
「未曽有の大震災の後、全世界が放射能の被害に注目していた中、たくさんの外国人が帰国していた。外国人エクソダスとともに、飛行機のチケットが何倍も跳ね上がり、諸外国の国民に対する対応を比較して、自分の国の遅い対応にまた憤りを感じるなど、様々な光景が交錯した三月であった。想像し得るように、母国にいる親たちは子どもをまた孫を心配し、呼び寄せていたのである。そんな状況の中、日本に留まりながら普段と変わらぬ生活をしつづける人々も、大変な思いをする毎日であったに違いない。周りから何気なく聞こえる「逃げるところがあっていいなぁ」という嘆きもあり、裏切られたというか、胸の片隅がいっそう寂しくなったに違いない。」
ルーツが外国の母親たち……。下「」引用。
「このうよな外国にルーツをもつ母親たちが物語っている内容から、地震による不安、パニック状態、頼れる人の不在等にのより、心の安定を求め、母国の家族のもとへ赴く決心をする家族離散の背景が見えてくる。また、急激に揺れる日本経済・政治への不安を感じ、長引く不景気による事業の混乱から、帰国を決心せざるをえないという厳しい経済情勢は、外国人の生活を窮地に追い込んでいることを物語っていた。」
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