磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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どきゅめんとヒロシマ24年 現代の救済

2008年03月13日 | 読書日記など
『どきゅめんとヒロシマ24年 現代の救済』
   栗原貞子・著/社会新報1970年

多くの人は文学などただの嗜好品にすぎないだろう。文学を高級ワインを飲むようなことだと思っている人たちもいる……。そんなことはない人たちの文学もあるかと思います。



萩原朔太郎は文学は酔うものではなく、醒(さ)めるものとした。
--しかし、日本のほとんどの文学は酔うものであり、高級ワインを好むような人たちが、文学者と思われている。

だけど、酔ってしまっていては、判断を間違いやすいのではないか?
--読者も、それを理解して欲しいと思う。

この本で気になった一番は峠が政治と癒着しているというものである。
--私はそうは思わない。むしろ癒着ならば、栗原貞子のほうがしているだろう。
三権分立という言葉があるが、三権ばらばらでも困るというものだ。
--日本の場合は癒着、なれあって、その動きすら止めている。
ゆえに分立をしてもらいたいもので、自律してもらいたいのだが……。
--自律という点では、峠の方が栗原よりも優れているのではないか?

永井隆などの間違った批判をまたも繰り返しているのか? 下「」引用。

「原爆エレジーものと呼ばれる作品が、続出したことについても当時の社会的心理と作品への考察も及んでいるのである。
 プレスコードによって人々が原爆から疎外されているうちに、自分でも原爆を疎外する習性がつき、空白時代がしばらく続いたものの、やはり心の底から逃避することは出来なくて、新しい原爆戦争へにの危機が強まるにしたがい、エレジーの中に逃避しながら、原爆反対の気持ちをみたしてくれる作品が要求されたわけで、これに答えた永井隆氏の「長崎の鐘」や細田民樹氏の「広島悲歌」小倉豊文氏の「妻の屍を抱いて」などがあげられている。」

はてさて、栗原貞子の代表作『うまんしめんかな』はエレジーではないというのか?

「戦犯作家に如何に迎えられたか--火野退席しようや--」という中タイトル。
著者は火野葦平を戦犯と書く。下「」引用。

「原爆で火傷の漿液と血膿で血塗られた広島の傷は、戦犯作家を歓迎する程、浅くはない。表面いえたように見える傷口も、不死身な汚れた手の作家のふてぶてしい言葉にささくれて血が流れ出すのである。」

火野が戦犯作家ならば、戦中の大田洋子はどうなるだろうか?
そもそも戦犯作家とは、その物差しはどうなのだろうか?
こんな数行では当然理解はできない。
しかし、他の人が大田洋子が戦犯作家と書かれているのには、ボクは否定できない。
だからといって、鵜のみする気にもなれない……。

自閉症という言葉も間違って使われている。下「」引用。

「原爆自閉症の殻を破り、生命のうたよおこれ。」

占領時代から書いていた正田篠枝や永井隆、大田洋子はやはり違うと思う。下「」引用。

「正田篠枝は、「原爆を売り物にすると言う。原爆が売り物になるなら、売って売って売りまくりたい。原爆の作品を書くことでアカに利用されていると言う人がある。利用価値があるなら、左でも右でも利用してほしい。私の作品が、原爆をつくろうと言うことに利用出来る筈はない」と泣きながら語った。」

自律している正田篠枝だからこそ、表現できた言葉でもあるような気がする。
永井隆を利用されたという人たちがいるが、平和というイメージは悪いのではないと思う。
--むしろ、文学や平和運動をしていて、権威主義的パーソナリティーで運営されていた人たちが間違っておられたとボクは思う。


「怒り」の文学、「祈り」の文学。
--そこにイデオロギーが介在しているように思える。
永井隆が生きていた時代にはそのようなことは言われなかったと思う。

「怒り」のヒロシマ、「祈り」のナガサキ。
--その言葉もイデオロギー対立から産まれたのではないか?
あるいは、そのイデオロギーの人たちで、疎外されようとされたのではないか?
--ボクはそう思えて仕方がない。


そして、平和運動でもこれを持ち込む。

ゼロサム・ゲームをしかけているようにも思える……。

怒りもすれば、祈りもするのが、人間だろう……。
--人間の文学ならば、当然そうなるし、スローガンに支配されることもなかろう。

平和運動はやはり、ジョン&ヨーコや、各国の人にも受け入れてもらえる、ラブ&ピースだろう。
--そこでは、イデオロギーなどというものは、実に小さな道具で、玩具にすらなりえないものではないだろうか?

目次

そして、単なる商品のエレジーではなく、命をかけて、『愛』をもって作品をかかれた永井隆たちの作品は素晴らしいものであるとボクは思う。









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