I.衛星放送?
A006.食べ物によって人はつくられる
「でも、トマトジュースは栄養が豊富ですから、いいんじゃないですか」
受付の人は付け加えた。
「あっ、はい」
石井は受付の人に笑顔を送った。
トマトジュースを飲んでいると、献血趣味の男の人がやってきた。
野菜ジュースを献血趣味の男は飲んでいる。
「これがいいんですよね。高校のとき献血してヤクルトを飲んだんですよ。それから、献血がやみつきになってしまったんですよ」
「そうなんですか。何かいいことをした後の一杯は美味いものですね」
「そうですね」
ごくごくと飲み干す。
「このジュースがまた血液になるんですね」
石井はふと思い、献血の趣味の男にいった。
「そうでしょうね。食べ物は、いつも腹が減れば食べますけど、ただ満腹すればいいものじゃないと、ここに来ればいつも思いますよ」
「なぜですか?」
石井は気安く男にたずねた。
「献血した後にコレステロールや中性脂肪の量を知らせてくれるでしよう。ますます健康について気をつけないと思いますよ」
「そうですか。献血趣味とは粋な趣味ですね。素晴らしい趣味ですね。健康チェックまでできるし、人間は食べ物があってこそ生きていると感じさせてくれるものです。私なんて、コンピュータに囲まれた毎日、そんなことは考えないで、コンピュータの世界に生きているようなものですよ」
「コンピュータの世界ですか。バーチャル・リアリティなんていうけれど、本当は現実からずっと遠ざかっているように見えても、現実には、私たちと変らない世界に生きていて、同じ人間なんでよねえー。私はそちら方面は苦手なんですよ」
「私はソフトの開発ではなくハードの開発なんですが。バーチャル・リアリティといっても、それはやはり、現実ではないですからね。現実を大切にしないといけませんね」
「食べ物が血や肉やエネルギーになること、それは大切な概念ですね。古い話しですが『複合汚染』という書物を出した有吉佐和子という作家は、実にいいことを書いてますよ」
献血趣味の男は真剣な表情になった。
「名作ですから、一度読んで下さいよ。人間はね、農業から離れることなんてできないのですよ。人間を知ることが文学としたら、名作と言わねばならない書物でしょうね」
「そうですか。そんなに良い本なのですか。じゃ、一度読んでみましょう」
「たいへん売れた本でもあるんですよ。有機農法の大切さを書いてもあります。有機農法はやはり大変だと有吉佐和子さんも書いています。なかなかできるものじゃないんですよ。だから、私の商店の商品も一般のお店の商品よりも少し高いというのは、仕方がないことと理解して下さい」
「私の商店とはどういうことですか」
「あーあー、その言ってませんでしたか。私、有機食品の店をやっているんですよ」
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ありがとうございます。
[レインボー・ループ]もくじ
A006.食べ物によって人はつくられる
「でも、トマトジュースは栄養が豊富ですから、いいんじゃないですか」
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「あっ、はい」
石井は受付の人に笑顔を送った。
トマトジュースを飲んでいると、献血趣味の男の人がやってきた。
野菜ジュースを献血趣味の男は飲んでいる。
「これがいいんですよね。高校のとき献血してヤクルトを飲んだんですよ。それから、献血がやみつきになってしまったんですよ」
「そうなんですか。何かいいことをした後の一杯は美味いものですね」
「そうですね」
ごくごくと飲み干す。
「このジュースがまた血液になるんですね」
石井はふと思い、献血の趣味の男にいった。
「そうでしょうね。食べ物は、いつも腹が減れば食べますけど、ただ満腹すればいいものじゃないと、ここに来ればいつも思いますよ」
「なぜですか?」
石井は気安く男にたずねた。
「献血した後にコレステロールや中性脂肪の量を知らせてくれるでしよう。ますます健康について気をつけないと思いますよ」
「そうですか。献血趣味とは粋な趣味ですね。素晴らしい趣味ですね。健康チェックまでできるし、人間は食べ物があってこそ生きていると感じさせてくれるものです。私なんて、コンピュータに囲まれた毎日、そんなことは考えないで、コンピュータの世界に生きているようなものですよ」
「コンピュータの世界ですか。バーチャル・リアリティなんていうけれど、本当は現実からずっと遠ざかっているように見えても、現実には、私たちと変らない世界に生きていて、同じ人間なんでよねえー。私はそちら方面は苦手なんですよ」
「私はソフトの開発ではなくハードの開発なんですが。バーチャル・リアリティといっても、それはやはり、現実ではないですからね。現実を大切にしないといけませんね」
「食べ物が血や肉やエネルギーになること、それは大切な概念ですね。古い話しですが『複合汚染』という書物を出した有吉佐和子という作家は、実にいいことを書いてますよ」
献血趣味の男は真剣な表情になった。
「名作ですから、一度読んで下さいよ。人間はね、農業から離れることなんてできないのですよ。人間を知ることが文学としたら、名作と言わねばならない書物でしょうね」
「そうですか。そんなに良い本なのですか。じゃ、一度読んでみましょう」
「たいへん売れた本でもあるんですよ。有機農法の大切さを書いてもあります。有機農法はやはり大変だと有吉佐和子さんも書いています。なかなかできるものじゃないんですよ。だから、私の商店の商品も一般のお店の商品よりも少し高いというのは、仕方がないことと理解して下さい」
「私の商店とはどういうことですか」
「あーあー、その言ってませんでしたか。私、有機食品の店をやっているんですよ」
閑話休題 医食同源という言葉がありますね。 まさに、食べることは、直すことともいえるし。 食べることは、病気になることとも思えます。 「食」という字は、人が良くなると書くそうです。 医食同源で勉強になることが実際よくあります。 ここをクリックしてくださいませ。 元気な方はこのような情報はどうでもいいとお思いでしょうが、 元気ではない私のような人間は、少しでも 元気になろうと、こういう情報を大切にしております。 「健全な体に健全な魂が宿る」 ということわざがありますね。 これは翻訳ミスだそうです。 「健全な体に健全な魂が宿ったらいいね」 ということだったらしい。 全人類の願うところですね |
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飽食の時代 もう一度読み直そうと思います。
僕は有吉佐和子作品は生きておられる間は、「恍惚の人」くらいしか読んでいませんでした。
「複合汚染」後半から複合汚染になるんですが、
前半は政治的なことが書かれてあります。
管・元民主党党首が青年として登場します。
また、作家で自民党支持者は石原慎太郎氏だけと書いているあったのが時代だなあーと思います。
「複合汚染」の反証という本も数冊かありましたが、
ほとんど反証というよりも、専門家が有吉佐和子の
レポートの優秀さを証明しているようなものでした。