磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

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フクシマを歩いて-ディアスポラの眼から-

2012年04月23日 | 読書日記など
『フクシマを歩いて-ディアスポラの眼から-』
   徐京植・著/毎日新聞社2012年

帯に書かれてあります。下「」引用。

「苦しみの想像力
戦争や植民地支配によって離散者(ディアスポラ)となった人びとの声を刻み続けてきた著者が、原発事故で生活を破壊された人びとと向き合う。現代史の様々な苦難との関連のなかで福島の惨事を語る、3・11以後の思想的結晶!」



【自殺】ホロコーストの証人=プリーモ・レーヴィ、ヒロシマの証人=原民喜も自殺した……。下「」引用。

「ホロコーストの証人、プリーモ・レーヴィは自殺した。ヒロシマの証人、原民喜も自殺した。彼らを死に追いやったのは証言に耳を傾けず、束の間の安心を得るため自らの想像力を抑圧した私たちなのではないか? フクシマの証人たちを死に追いやってはならない。私たちの想像力が試されているのだ。」

もくじ

「ディアスポラ」について。下「」引用。

「「ディアスポラ」という言葉はもともと離散ユダヤ人を指すものだが、現代ではもっと広く、何らかのがいてきな力によって故郷から離散して生きる人々を指すものとして用いられている。私のような在日朝鮮人も、植民地支配と民族分断という外的な力によって離散させられたディアスポラであるといえる。
 ディアスポラはその生活をする空間においてつねにマイノリティである。ディアスポラとして生きることは楽ではない。だがその反面、ディアスポラには利点もある。それはマジョリティには見えにくいことが見える、ということだ。-略-」

原発マフィアの利益代表・李明博大統領の任期がきれる……。

新自由主義の日本……。下「」引用。

「一方、日本の状況に目を向けると暗澹たらざるを得ない。過去二○年間にわたる新自由主義政策の負の側面が全面的に露呈ししたところにリーマンショックが追い打ちをかけて社会社会的格差が極大化した。疎外された人々の不安と不満は社会的活動には向かわず、秋葉原での殺人事件のような犯罪となって噴出している。ようやく政権交代が実現し、自民党中心の保守長期政権に代わって、民主党政権が誕生したが、この政権は国民の期待をことごとく裏切って無惨な幻滅だけを与えている。その上、大震災と原発事故を契機に日本の政治システムが全般的な機能不全状態をさらけ出す中、競争原理を強調し、排外的な主張を繰り返すポピュリスト政治家が広く大衆の人気を集めている。既成政党やマス・メディアまでがこのポピュョリストにすり寄る姿を見るつけ、ますます日本社会がファシズムへの傾斜を強めていることに危機感が募る。
 政府は産業界の意向を受けて原発再稼働の機会をうかがっている。原子力ムラからの反転攻勢はこれから本格化するだろう。いま日本国民は自国の権力と闘うべき時を迎えている。-略-」

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自民党長期政権時代の溜まりに溜まった通弊が最悪のかたちで噴出した福島原発事故……。

『災害ユートピア』 下「」引用。

「『災害ユートピア』(レベッカ・ソルニット著、亜紀書房)の著者は、過去の事例を検証しながら、大きな災害に見舞われた現場で略奪や治安の悪化がおこるこることはきわめて稀であると述べている。ほぼすべての被災地で見られるのは無数の利他的な行為だ。被災した人びとはすすんで見ず知らずの相手にも思いやりをしめす。そんな状態を壊すのは「人々は野蛮になる」と信じパニックにおちいるエリート層だ。そう指摘しているのである。今の私には断言できない。ただ「日本人」が道徳的だと過度に賞賛する言説は、こうしたエリート層のパニックが生み出したものかもしれない。そのような言説に、一体どんな根拠があるのかを問うてみるべきだということだけは確かだ。」

【オンカロ・プロジェクト】10万年という時間……。下「」引用。

「しかし、一○万年とはどいう時間なのか。過去一○○年の間にも二度の大戦争が起きた。大災害や気候変動の影響もあるだろう。そんな変化に耐えて一○万年間、保管し続けることなどできるのか。そもそも一○万年後に人類はいるのか。未来の人間が、掘り返したらどうするのか。「危険だ。掘るな!」というメッセージを、どのように一○万年後の人類に伝えるのか。一○年前といえば、ネアンデルタール人の時代だ。私たちはネアンデルタール人どころか、エジプトのピラミッドやナスカの地上絵のメッセージすら完全に理解できないでいるというのに。それでも、こんな方法しかないのだ。なんとシニカルな営みであることか。人間は、なんというトンデモナイものに手をつけてしまったことか。
 放射能は無味無臭で、感知することができない。だから放射能の恐怖は「痛い」とか「熱い」という直接的感覚からではなく、とらえどころのない不安からもたらされる。想像力の産物なのである。いうまでもなく、想像力を遮断したところで放射能の危険が消えてなくなるわけではない。-略-」

植民地期の朝鮮人のシステム……。下「」引用。

「このような近代日本の植民地主義的労働システムは戦後日本に受け継がれた。原発の最前線で働く労働者たちは三次、四次下請け会社がかき集めてくる最底辺の労働者たちである。彼らが放射能の危険を身をさらして得る労賃は中間に介在する業者によってピンハネされる。まさに植民地期の朝鮮人が押し付けられたシステムが、生きているのである。」

石原慎太郎の息子=加害者が被害者を「ヒステリー」呼ばわりしている。下「」引用。

「イタリアの国民投票で原発反対派が圧倒的な勝利を収めたという報に、自民党の石原幹事長は「集団ヒステリー」とコメントした。自民党は原発政策推進の中心勢力だったのだ。加害者が被害者を「ヒステリー」呼ばわりしているのである。」

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郡山の朝鮮人……。下「」引用。

「彼は在日三世であった。郡山で生まれ育ち、東京の朝鮮人大学校を出て、一時は朝鮮学校の教員をしていたが、すうねんまえらかこの食堂を営んでいる。「原発事故の影響は?」と尋ねると、原発の作業関係者が食事に来るので商売は悪くないと、ちょっと意外な返事だった。ただ、自分には小学校に入る前の幼い子が二人いるので、子どもたちだけでもどこか放射線量の少ない土地に避難させたいと、真剣な顔つきで言った。」

ファシズムの呼び水……。下「」引用。

「不気味なファシズムの兆候が日に日に顕著になっている。関東大震災の後に、大正デモクラシーが息を止められ軍国主義ファシズムの時代が到来したように、東日本大震災は、新たなファシズムの呼び水となるかもしれない。」

自殺……。下「」引用。

「福島県南相馬市の「緊急時避難準備区域」に住むこのおばあさんは六月下旬、自宅の庭で首を吊った。残された遺書には、たどたどしいひらがなで「私はお墓にひなんします。ごめんなさい」と書かれていた。-略-」



NHK『こころの時代』に出演した著者。

韓国の客をつれて福島原発事故の現場へ。下「」引用。

「私が言ったのは本当のことだ。韓洪九(ハンホング)教授をはじめとする平和博物館の一行が福島原発事故の現場周辺を踏査したいというので、私がその案内役を務めたのである。日本側からも私の親しいドキュメンタリー作家や編集者などが加わり、総勢一七名でマイクロバスをチャーターして移動していたのである。一一月五日は郡山市の朝鮮学校と高玉金山、六日は放射線汚染のため無人の廃村になった飯舘村。さらに、南相馬市、津波に襲われた萱浜の海岸などを巡り歩いた。-略-」

事件と国家政策。下「」引用。

「バージニアの事件につてい韓国の大統領や大使がお詫びや「懺悔」を口にするのは筋違いだが、韓国政府はかつて国家政策としてベトナムにら派兵し、多くのベトナム人を殺したり傷つけたことについては、繰り返し丁寧に謝罪して責任を明らかにすべきである。韓国国民には自分たちの政府はそれをさせる「国民としての責任」があるのだ。その責任を果たされていない状況では、韓国人がベトナム人に対して申し訳ない気持ちをもつことは、健全なことだ。付け加えれば、もしかつてのベトナム派兵が誤りであったと認めるならば、現在のイラク派兵も即刻中止させるべきである。」

東条英機と日本国民……。下「」引用。

「東条英機が日本人だったからといっ、日本人のすべてが東条英機ではない。だが、侵略戦争と植民地支配という過去を正当化しようとする政権を現在まで存立させている日本国民には「国民としての責任」があるのである。報道によれば、日本の次の参議院選挙に、東条英機の孫が立候補するらしい。彼女が東条の孫であること自体は罪ではない。だが、彼女の主張は東条をはじめとするA級戦犯の名誉を守ることであり、日本の侵略船倉の罪を裁いた「東京裁判史観」を見直すことだという。こういう政治家をまた一人増やすかどうかは、日本国民の責任にかかっている。」

INDEX

ホームレスの加藤さんのことが書かれてあった。

「ナヌムの家」を訪れた著者。

もくじ

「継続する植民地主義」 下「」引用。

「現在、日本で起きている「北朝鮮バッシング」といわれる排外主義的な動きは決して一時的なものではなく、日本保守層の敗戦後一貫する「継続する植民地主義」によるものであることを強調した。-略-」

「アトミック・サンシャイン沖縄展の検閲に抗議する!」 下「」引用。

「去る六月一八日、「アトミック・サンシャイン沖縄展の検閲する抗議する!」というシンポジウムに出席した。当日のパネラーは私のほか、美術家、美術評論家、美術研究者などである。沖縄からも三人が参加した。-略-」

「アトミック・シャドウ」……。下「」引用。

「「アトミック・サンシャイン」沖縄展は、この検閲事件を契機に、「アトミック・シャドウ」を浮かび上がらせた。この効果が企画者によって事前に意図されていたものなら、どれほど素晴らしかっただろう。だが、残念なことに、企画者は美術館側の要求を簡単に受け入れて、大浦作品の展示を取りやめてしまった。どうやら、企画者自身、原子力の日光浴を楽しんでいたらしく、今さら「シャドウ」に遭遇して当惑している様子なのである。」

ロマの犯罪と……。下「」引用。

「私はロマの犯罪者を処罰するなと主張しているのではない。私のさいふをすった人物は応分の処罰を受けるべきだ。罪を犯した個人はす法にしたがって裁かれねばならない。だが、スリが罪であって、ロマであることが罪なのではない。米国の前大統領が戦争犯罪者だからといってアメリカ人すべてが処罰されることがないように、ロマの中にスリがいるからといって彼ら全体が処罰されてはならない。ある民族などの集団が全体として「犯罪者」と烙印されてはならないのだ。」

日本人にもそうしてもらいたいものですね。

東條も支持したことないし……。









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