『原発の深層-利権と従属の構造-』
赤旗編集局・著/新日本出版社2012年
前著『原発の闇 その源流と野望を暴く」(新日本出版社)
帯に書かれてあります。下「」引用。
「いまもなお続く
「原発推進」路線の裏側
立地自治体への巨額マネーはどこへ?
アメリカによる「核の支配」戦略と日本のかかわりとは…。
幾重にも絡んだ利権構造と対米従属の実態を生々しく暴く渾身のルポ。」
赤旗に……。下「」引用。
「本書は、「しんぶん赤旗」で、二○一一年九月一日付から一二月二四日つけまで継続的に連載した「原発の深層」(五部編成)をもとに加筆・整理したものです。」
二つの闇。下「」引用。
「取材を通じて私たちが実感したのは、二つの闇の深さです。東京電力をはじめ原発利益共同体はどのように形成され、どのような癒着構造になっているのか、アメリカの世界戦略のなかで日本の原発建設はどのように位置づけられていたのか--闇の「深層」にもっと迫りたいと思いました。その思いで企画したのが、連載「原発の深層」でした。経済部、政治部、社会部が互いに協力しながら取り組んだ長期連載となりました。」
「町にナゾの巨額寄付」大飯原発。下「」引用。
「この町の財政には、長年巨額の寄付金が流れ込んできました。町当局は、寄付金の出どころは公表していません。しかし、原発への住民の不安を抑えるための「関電マネー」であることを否定する人はいません。
町内六三地区の集落のすべてに「関電マネー」が注ぎ込まれる仕組みまでありました。
ことの起こりは、一九八六年に町に寄せられた関電からと見られる五億円の寄付金でした。町当局は五億円の基金を設けて銀行に預金し、その利子を集落に配布する仕組みを編み出しました。町は、そのために「大飯町集落ぐるみ町民指標活動支援基金条例」を制定したのです。
各地区に最大で年間一八○万円ほどの、自由に使える金額が転がり込みます。-略-」
関連記事
門前払い。下「」引用。
「「ふれあいの浜辺事業」で不法な公金支出がおこなわれたと訴えた松本氏らに対して、福井地裁は却下理由について、「出訴期間を遵守していない」などとしました。訴えの内容には踏み込まない、いわゆる「門前はらい」の判決でする」
自民党県議の無責任。下「」引用。
「ある日の県議会の後、日本共産党の佐藤正雄県議は自民党県議から、こう話しかけられました。「私らには原発技術のことは分からない。どうやって、原発行政を判断するのかといえば、それは地域振興だ。地域振興がOKなら、原発もOKなんだよ」」
462億円を受け取った敦賀市。下「」引用。
「日本原子力発電(原電」の敦賀原発や日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(写真)が立地する敦賀市の場合、電源三法交付金は一九七四年度~二○一○年度の累計で四六二億円七○○○万円に上ります。」
人権感覚と金銭感覚の麻痺。下「」引用。
「福井県に隣接する石川県の八三年一月二六日、同町で、当時の敦賀市長、高木孝一氏が原発の「先輩」として演説しました。
「原子力発電所は、一瞬を争う事故というのはないそうです。そのかわり、一○○年たってカタワ(障害者を侮辱した言葉)が生まれてくるやら、五○年後には産んだ子どもが全部カタワになるやら、それは分かりませんよ。分かりませんけど、今の段階ではおやりになった方がよい、いつまでも心配する時代ではない」
原発マネーは、その推進者たちの人権感覚だけでなく、金銭感覚も麻痺ささせます。
高木氏は、この演説でこういうことも語っていました。
「同市の氣比(けひ)神社の修復費用を捻出するため、次の日に、北陸電力へ行って「一億円だけ寄付してくれ」と求めるというのです。その上で、次のように述べました。
「この間、東京で動燃(現・日本原子力研究開発機構)、原電の二つをまわりまして一億ずつ、そりゃもう『分かりました』ということで、いただいて帰ったんです。こうして寄付してもらうわけなんです」」
「田中角栄邸に消えた五億円」 下「」引用。
「そのうわさとは、柏崎市(旧西山町)出身の田中角栄元首相の土地転がし疑惑です。「しんぶん赤旗」二○○一年一月一五日付は、田中氏の後援会「越山会」幹部だった木村博保氏(元自民党県議)の証言で裏付けました。原発用地の売却で東電から支払われた五億円がの、東京の目白の田中邸に運ばれ、一九七二年七月の自民党総裁選に投入された事実を明らかにしたのです。」
角栄の偽装工作。下「」引用。
「田中氏は、後に原発用地となる砂丘地約五二万円平方メートルを六六年九月、「室町産業」名義で購入しました。ところが同年一○月、日本共産党が国会で、田中氏による信濃川河川敷買い占めを追及し、「室町産業」を幽霊企業だと暴露しました。これに慌てた田中氏は翌六七年一月、登記「錯誤」として「室町産業」の名前を抹消し、木村氏名義に変更する偽装工作をしました。しかし木村氏は、七一年一○月、東電に用地が売却された際、土地の値段を決めたのも田中氏自身だったと証言しています。」
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森喜郎元首相の疑惑。下「」引用。
「もう一つは、珠洲(すず)市の原発計画(二○○三年に中止)にまつわる森喜朗元首相の疑惑です。九九年一○月、日本共産党国会議員団は新聞報道などをもとに、関西電力が秘密裏にゼネコン各社を通じて原発予定地周辺の土地(約一○万平方メートル)を裏取引で取得したことを、段ボール箱二箱分の資料を集めて国会で追及しました。その後、関電と清水建設が、山口組系暴力団から、土地買収に協力した見返りに約三○億円を要求されていたことも発覚。元大蔵大臣の私設秘書が介在したことから、「資金の一部が政界に流れたのではないか」との疑惑が浮上しました。
森喜朗氏は、地元選出の自民党衆院議員として北陸電力の原谷氏とのつながりを通じて電力業界との交流を深めていました。九三年六月には、政府の「総合エネルギー対策推進閣僚会議」に通産相として出席し、珠洲原発計画を「政府一体となって支援すべき」だと推進した当事者となりました。関電が原発予定地周辺の土地取得を始めたのは、この「閣僚会議」の直後でした。
森元首相の資金管理団体「春風会」は当時、原発用地取得にかかわった清水建設や佐藤工業、金沢市の建設会社から、四年間で合計三八四万円の献金を受けていました。」
「政治献金の「御三家」」 下「」引用。
「鉄鋼 一六億二八五六万円
金融 二五億七七二九万円
電力 一一億円四三五○万円
自民党にの政治資金集めの窓口「国民協会」(現在の国民政治協会の前身)が、一九六六年から七四年までの間にかき集めた、業界ごとの献金額です(笹子勝哉『政治資金』、社会思想社)。」
電気料金値上げと角栄。下「」引用。
「田中角栄内閣のもと、七四年六月には、九電力の電力料金の平均五六・八%ものいっせい値上げがスンナリ認められました。」
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政治献金と効果。下「」引用。
「しかし、献金の原資は国民が払っている電気料金です。空前絶後の金権選挙と、公益企業による特定政党への政治献金への国民の批判が高まるなか、電力会社は企業献金の中止を決めました。-略-
今回の福島第一原発事故で、原子力損害賠償支援機構法が民主、自民、公明などの賛成で成立しました。これは国民の負担によって東電と大株主、大銀行などを救済するものであり、ここにも献金の“効果”が表われています。」
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1955年4月14日、米側からの濃縮ウラン提供の申し入れの朝日新聞スクープ。
【原発輸出】東芝だけで“三九基一兆円”の目標。
小宮山宏・三菱総研理事長。下「」引用。
「ベトナムへの原発輸出が決まった直後の二○一○年一一月におこなわれた政府の新成長戦略実現会議は、原発受注を喜ぶ声に包まれました。三菱総研理事長の小宮山宏氏は、「ベトナムの原子力発電所受注は大変すばらしい成果」と手放しで喜んでいます。この小宮山氏は○九年六月から現在にいたるまで、東電の社外監査役です。二二○○株の東電株も保有しています。新成長戦略実現会議はその名の通り、経済成長を実現するために政府が何をすべきかを議論する場です。当事者が政府の方針をつくっているのです。
政府と一体になって原発受注をめざす企業の狙いは、やはりもうけです。原発が過酷事故を起こした昨年(二○一一年)三月以降も、方針は変わりません。
日立は事故から三カ月後の六月に発表した「二○一二中期経営計画」で、原子力事業の売上高を二○一○年度の一八○○億円から二○年度には三六○○億円をめざすとしています。
東芝は年次報告書で、佐々木則夫社長が「原子力では、世界的な電力需要の拡大が見込まれるなか、二
○一五年度までに三九基受注し、売上高を一兆円にする目標」を掲げていると明言しています。
三菱重工にいたっては、六月の「原子力事業本部 事業説明会」で、原発事故以降も「三三ヵ国が原子力推進の政策、当社重点顧客はプロジェクト推進を表明」と述べています。年次報告では、「原子力事業を、二○一一年度二○○○億円、二○一二年度四○○○億円、二○一四年度六○○○億円」をめざすと宣言しました。同社原子力本部長の正森滋郎氏は、「(過酷事故を起こした)同発電所を踏まえた経験と技術を全世界に展開することにより、地球温暖化対策、エネルギーセキュリティの確保、電力の安定供給に貢献していきます」と述べています。
しかし、もうけのために原子力事故と放射能の危険を全世界にふりまく「死の商人」ともなりかねません。」
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北海道電力もやらせ。下「」引用。
「二○○八年一○月に道と泊原発の地元四町村が主催した公開シンポジウムで、北海道電力による「やらせ」が判明したのです。-略-」
メーカーも「やらせ」参加。下「」引用。
「二○○○年に道内五ヵ所でおこなわれた「道民のご意見を聴く会」には、原発で利益を受ける人たちが一道民を装って賛成意見をのべています。その数は少なくとも八○人ほど。この中に原子炉メーカー、三菱重工と大手ゼネコン大成建設などの社員が来ていました。
三菱重工は、北海道支社から三人が酸化していたことを「しんぶん赤旗」の取材に認めています。
当時の宮本忠明副支社長は会場で配られた記入用紙に、「一刻も早くプルトニウムの利用、高速増殖炉の利用を推進しし、核燃料サイクルと完結すべき」と書いていました。
さらに会場の反対意見については、「こういう無責任な人達の意見に北海道の将来を委ねることはできない」と、敵意むき出しです。
のちに支社長となる秋吉清司氏は「本日の様な会場様式では、サイレントマジョリティー(物を言わない多数派)の意見はほとんど反映されない」と記述。会場の“反対”は、道民の声ではないといわんばかりです。
この「聴く会」後の○三年一一月、泊原発3号機の建設が始まります。建屋を受注したのは大成建設、原子炉は三菱重工でした。-略-」
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目 次
赤旗編集局・著/新日本出版社2012年
前著『原発の闇 その源流と野望を暴く」(新日本出版社)
帯に書かれてあります。下「」引用。
「いまもなお続く
「原発推進」路線の裏側
立地自治体への巨額マネーはどこへ?
アメリカによる「核の支配」戦略と日本のかかわりとは…。
幾重にも絡んだ利権構造と対米従属の実態を生々しく暴く渾身のルポ。」
赤旗に……。下「」引用。
「本書は、「しんぶん赤旗」で、二○一一年九月一日付から一二月二四日つけまで継続的に連載した「原発の深層」(五部編成)をもとに加筆・整理したものです。」
二つの闇。下「」引用。
「取材を通じて私たちが実感したのは、二つの闇の深さです。東京電力をはじめ原発利益共同体はどのように形成され、どのような癒着構造になっているのか、アメリカの世界戦略のなかで日本の原発建設はどのように位置づけられていたのか--闇の「深層」にもっと迫りたいと思いました。その思いで企画したのが、連載「原発の深層」でした。経済部、政治部、社会部が互いに協力しながら取り組んだ長期連載となりました。」
「町にナゾの巨額寄付」大飯原発。下「」引用。
「この町の財政には、長年巨額の寄付金が流れ込んできました。町当局は、寄付金の出どころは公表していません。しかし、原発への住民の不安を抑えるための「関電マネー」であることを否定する人はいません。
町内六三地区の集落のすべてに「関電マネー」が注ぎ込まれる仕組みまでありました。
ことの起こりは、一九八六年に町に寄せられた関電からと見られる五億円の寄付金でした。町当局は五億円の基金を設けて銀行に預金し、その利子を集落に配布する仕組みを編み出しました。町は、そのために「大飯町集落ぐるみ町民指標活動支援基金条例」を制定したのです。
各地区に最大で年間一八○万円ほどの、自由に使える金額が転がり込みます。-略-」
関連記事
門前払い。下「」引用。
「「ふれあいの浜辺事業」で不法な公金支出がおこなわれたと訴えた松本氏らに対して、福井地裁は却下理由について、「出訴期間を遵守していない」などとしました。訴えの内容には踏み込まない、いわゆる「門前はらい」の判決でする」
自民党県議の無責任。下「」引用。
「ある日の県議会の後、日本共産党の佐藤正雄県議は自民党県議から、こう話しかけられました。「私らには原発技術のことは分からない。どうやって、原発行政を判断するのかといえば、それは地域振興だ。地域振興がOKなら、原発もOKなんだよ」」
462億円を受け取った敦賀市。下「」引用。
「日本原子力発電(原電」の敦賀原発や日本原子力研究開発機構の高速増殖炉「もんじゅ」(写真)が立地する敦賀市の場合、電源三法交付金は一九七四年度~二○一○年度の累計で四六二億円七○○○万円に上ります。」
人権感覚と金銭感覚の麻痺。下「」引用。
「福井県に隣接する石川県の八三年一月二六日、同町で、当時の敦賀市長、高木孝一氏が原発の「先輩」として演説しました。
「原子力発電所は、一瞬を争う事故というのはないそうです。そのかわり、一○○年たってカタワ(障害者を侮辱した言葉)が生まれてくるやら、五○年後には産んだ子どもが全部カタワになるやら、それは分かりませんよ。分かりませんけど、今の段階ではおやりになった方がよい、いつまでも心配する時代ではない」
原発マネーは、その推進者たちの人権感覚だけでなく、金銭感覚も麻痺ささせます。
高木氏は、この演説でこういうことも語っていました。
「同市の氣比(けひ)神社の修復費用を捻出するため、次の日に、北陸電力へ行って「一億円だけ寄付してくれ」と求めるというのです。その上で、次のように述べました。
「この間、東京で動燃(現・日本原子力研究開発機構)、原電の二つをまわりまして一億ずつ、そりゃもう『分かりました』ということで、いただいて帰ったんです。こうして寄付してもらうわけなんです」」
「田中角栄邸に消えた五億円」 下「」引用。
「そのうわさとは、柏崎市(旧西山町)出身の田中角栄元首相の土地転がし疑惑です。「しんぶん赤旗」二○○一年一月一五日付は、田中氏の後援会「越山会」幹部だった木村博保氏(元自民党県議)の証言で裏付けました。原発用地の売却で東電から支払われた五億円がの、東京の目白の田中邸に運ばれ、一九七二年七月の自民党総裁選に投入された事実を明らかにしたのです。」
角栄の偽装工作。下「」引用。
「田中氏は、後に原発用地となる砂丘地約五二万円平方メートルを六六年九月、「室町産業」名義で購入しました。ところが同年一○月、日本共産党が国会で、田中氏による信濃川河川敷買い占めを追及し、「室町産業」を幽霊企業だと暴露しました。これに慌てた田中氏は翌六七年一月、登記「錯誤」として「室町産業」の名前を抹消し、木村氏名義に変更する偽装工作をしました。しかし木村氏は、七一年一○月、東電に用地が売却された際、土地の値段を決めたのも田中氏自身だったと証言しています。」
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森喜郎元首相の疑惑。下「」引用。
「もう一つは、珠洲(すず)市の原発計画(二○○三年に中止)にまつわる森喜朗元首相の疑惑です。九九年一○月、日本共産党国会議員団は新聞報道などをもとに、関西電力が秘密裏にゼネコン各社を通じて原発予定地周辺の土地(約一○万平方メートル)を裏取引で取得したことを、段ボール箱二箱分の資料を集めて国会で追及しました。その後、関電と清水建設が、山口組系暴力団から、土地買収に協力した見返りに約三○億円を要求されていたことも発覚。元大蔵大臣の私設秘書が介在したことから、「資金の一部が政界に流れたのではないか」との疑惑が浮上しました。
森喜朗氏は、地元選出の自民党衆院議員として北陸電力の原谷氏とのつながりを通じて電力業界との交流を深めていました。九三年六月には、政府の「総合エネルギー対策推進閣僚会議」に通産相として出席し、珠洲原発計画を「政府一体となって支援すべき」だと推進した当事者となりました。関電が原発予定地周辺の土地取得を始めたのは、この「閣僚会議」の直後でした。
森元首相の資金管理団体「春風会」は当時、原発用地取得にかかわった清水建設や佐藤工業、金沢市の建設会社から、四年間で合計三八四万円の献金を受けていました。」
「政治献金の「御三家」」 下「」引用。
「鉄鋼 一六億二八五六万円
金融 二五億七七二九万円
電力 一一億円四三五○万円
自民党にの政治資金集めの窓口「国民協会」(現在の国民政治協会の前身)が、一九六六年から七四年までの間にかき集めた、業界ごとの献金額です(笹子勝哉『政治資金』、社会思想社)。」
電気料金値上げと角栄。下「」引用。
「田中角栄内閣のもと、七四年六月には、九電力の電力料金の平均五六・八%ものいっせい値上げがスンナリ認められました。」
index
政治献金と効果。下「」引用。
「しかし、献金の原資は国民が払っている電気料金です。空前絶後の金権選挙と、公益企業による特定政党への政治献金への国民の批判が高まるなか、電力会社は企業献金の中止を決めました。-略-
今回の福島第一原発事故で、原子力損害賠償支援機構法が民主、自民、公明などの賛成で成立しました。これは国民の負担によって東電と大株主、大銀行などを救済するものであり、ここにも献金の“効果”が表われています。」
index
1955年4月14日、米側からの濃縮ウラン提供の申し入れの朝日新聞スクープ。
【原発輸出】東芝だけで“三九基一兆円”の目標。
小宮山宏・三菱総研理事長。下「」引用。
「ベトナムへの原発輸出が決まった直後の二○一○年一一月におこなわれた政府の新成長戦略実現会議は、原発受注を喜ぶ声に包まれました。三菱総研理事長の小宮山宏氏は、「ベトナムの原子力発電所受注は大変すばらしい成果」と手放しで喜んでいます。この小宮山氏は○九年六月から現在にいたるまで、東電の社外監査役です。二二○○株の東電株も保有しています。新成長戦略実現会議はその名の通り、経済成長を実現するために政府が何をすべきかを議論する場です。当事者が政府の方針をつくっているのです。
政府と一体になって原発受注をめざす企業の狙いは、やはりもうけです。原発が過酷事故を起こした昨年(二○一一年)三月以降も、方針は変わりません。
日立は事故から三カ月後の六月に発表した「二○一二中期経営計画」で、原子力事業の売上高を二○一○年度の一八○○億円から二○年度には三六○○億円をめざすとしています。
東芝は年次報告書で、佐々木則夫社長が「原子力では、世界的な電力需要の拡大が見込まれるなか、二
○一五年度までに三九基受注し、売上高を一兆円にする目標」を掲げていると明言しています。
三菱重工にいたっては、六月の「原子力事業本部 事業説明会」で、原発事故以降も「三三ヵ国が原子力推進の政策、当社重点顧客はプロジェクト推進を表明」と述べています。年次報告では、「原子力事業を、二○一一年度二○○○億円、二○一二年度四○○○億円、二○一四年度六○○○億円」をめざすと宣言しました。同社原子力本部長の正森滋郎氏は、「(過酷事故を起こした)同発電所を踏まえた経験と技術を全世界に展開することにより、地球温暖化対策、エネルギーセキュリティの確保、電力の安定供給に貢献していきます」と述べています。
しかし、もうけのために原子力事故と放射能の危険を全世界にふりまく「死の商人」ともなりかねません。」
index
北海道電力もやらせ。下「」引用。
「二○○八年一○月に道と泊原発の地元四町村が主催した公開シンポジウムで、北海道電力による「やらせ」が判明したのです。-略-」
メーカーも「やらせ」参加。下「」引用。
「二○○○年に道内五ヵ所でおこなわれた「道民のご意見を聴く会」には、原発で利益を受ける人たちが一道民を装って賛成意見をのべています。その数は少なくとも八○人ほど。この中に原子炉メーカー、三菱重工と大手ゼネコン大成建設などの社員が来ていました。
三菱重工は、北海道支社から三人が酸化していたことを「しんぶん赤旗」の取材に認めています。
当時の宮本忠明副支社長は会場で配られた記入用紙に、「一刻も早くプルトニウムの利用、高速増殖炉の利用を推進しし、核燃料サイクルと完結すべき」と書いていました。
さらに会場の反対意見については、「こういう無責任な人達の意見に北海道の将来を委ねることはできない」と、敵意むき出しです。
のちに支社長となる秋吉清司氏は「本日の様な会場様式では、サイレントマジョリティー(物を言わない多数派)の意見はほとんど反映されない」と記述。会場の“反対”は、道民の声ではないといわんばかりです。
この「聴く会」後の○三年一一月、泊原発3号機の建設が始まります。建屋を受注したのは大成建設、原子炉は三菱重工でした。-略-」
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