磯野鱧男Blog [平和・読書日記・創作・etc.]

鱧男の小説などをUP。環境問題に戦争・原発を!環境問題解決に民主主義は不可欠!

大震災復興へのみちすじ-防災政策の新段階と地方自治体の政策活動-

2011年12月06日 | 読書日記など
『大震災復興へのみちすじ-防災政策の新段階と地方自治体の政策活動-』
   池上洋通、中村八郎、多摩住民自治研究所・著/
     自治体研究社2011年

原発立地の自治体自体は金持ちの頃もありますね……。
そうでなかったら、原発誘致なんてしないでしょう……。
でも、地元の人たちには、ほとんど還元されない……。



表紙の裏。下「」引用。

「津波で破壊された宮城県南三陸町の防災センターの前に、つぶれた乗用車があり、殉職した職員に捧げたと思われる花束が置かれていた。その花束の中に手紙が入っていて、太目のはっきりした文字で、次のように書かれていた。
     未希さんへ
  未希さんの声が忘れられません。
  未希さんの「み」は「未来」の「み」
  未希さんの「き」は「希望」の「き」
   未希さんの声で助かった人は、
 未来に希望を持って生きていきます。
  ご冥福をお祈り申し上げます。

 遠藤未希さんは、防災センターの女性職員で、3月11日の当日、住民に向かって津波からの避難を呼びかけ続け、建物と共に波にのまれて殉職した。」




本書は……。下「」引用。

NPO法人・多摩住民自治研究所(多摩研)は、三月一一日に東日本大震災が起きた直後に、「議員の学校」を緊急企画しました。「議員の学校」は、多摩研が各地の地方議員に呼びかけて二○○九年から始めた集中講座です。その第七回目のテーマを「大震災・津波・原発事故と地方自治体の政策活動」にしたのです。
 五月一九日・二○日に、東京の国分寺で開かれた「学校」への反響は大きく、一○○の定員を大きく超える申し込みがあり、参加者からは、講座の内容を高く評価する多くの感想が寄せられました。
 本書は、そのときの五つの講義から、中村八郎氏と池上洋通氏が担当した講義をベースにして編集することを企図したものです。」

一カ月後の福島南相馬市。下「」引用。

「三月一一日から一カ月後が過ぎたばかりの四月一三日、私は、福島県南相馬市の津波被害の現場に立っていた。同行していたのは、被災地の案内を引受けてくれた福島県伊達市の議員、佐々木英章さんと、私も属する多摩住民自治研究所・主任研究員の大野清さんの二人である。
 すでに何回もテレビの映像を見ていたはずの津波被害の状況だったが、そこには私の先入観をかるく吹き飛ばす実像があった。何よりとてつもない被災地の広さである。佐々木さんが自家用車で案内してくれなければ、とうてい調査不能な面積がそこにあった。
 とはいうものの、じつは道路がない。いや、道路らしいものはあるが、津波で舗装部分がはがされていて、砂利がむき出しになっているのだ。津波で舗装部分がはがされていて、砂利がむき出しになっているのだ。あちこちに、津波がはがした黒っぽいアスファルトの舗装部分が、あたかも厚紙の切れ端のように重なりあったりしている。そうした所を車で進むのである。コンクリート電柱が倒れ、電力を運ぶ鉄塔が倒れ、農機具、それも大型のトレーラーや耕耘機がいとも簡単に流されたりしている。乗用車、軽トラック、また乗用車。マイクロバスから消防車にいたるまで、何台流されたのか、とても数え切れない。
 しかし何といっても胸にせまるのは、暮らしの姿を伝える建物や生活用具の数々である。土台から引きはがされた家屋が幽霊のように見えたりする。地震に揺さぶられ、津波に流されて破壊されたのは、人々の日常生活そのものであった。そして数多くの生命がさらわれ、消えた。」

「原発カーテン現象」 下「」引用。

「東京にいて気になっていたことに「原発カーテン現象」があった。むろん私の造語だが、連日の「原発事故問題」の報道がカーテンの役割を果たして、大地震・大津波による深刻な被害の実態がおおいかくされているのではないか、ということである。」

「避難した市民への行政責任を果たしたい」桜井勝延市長。下「」引用。

「南相馬市の市役所で、桜井勝延市長にお会いした。多忙のなか、時間を割いていただいたのである。てきぱきと話される精悍(せいかん)な感じの人だ。被災後一度も帰宅していない、自身の父母は女子高につくられた避難所にいる…。死者・行方不明者・倒壊家庭の数字をあげて、「認めたく事実だ」と声をしぼり出した。
 政府・官邸とは直接会話しているが、緊急避難の体制についてのプランは思うように進まない。県の動きも具体性にとぼしい。そして最大の悩みとして「各地に避難した人に対する、市としての責任をどう果たすか。公共サービスをどうするか、それがいちばんの課題です」といった。」

「「自治体リストラ」政策がもたらした自治体のゆがみ」先進国で最低の職員数。

index

立地町の大熊町・双葉町。立地していない飯舘村・川俣町・南相馬市、そして被害を受けていない国見町・西会津町。そして国立市の比較。【原発立地町の歳入構造の特徴】 下「」引用。

「1. 住民一人当りで歳入総額を見ると
 双葉町が八一万九○○○円で第一位、西会津町が七五万四○○○円で第二位、飯舘村が七三万四○○○円で第三位、以下、大熊町、南相馬市、国見町、川俣町、国立市と続く。双葉町は国立市の約二・三倍である。
2. 住民一人当りで所得割住民税の総額を見ると
 国立市が九万三○○○円で第一位。大熊町が四万九○○○円で第二位、双葉町が四万四○○○円で第三位、以下、南相馬市、国見町、川俣町、西会津町、飯舘村と続く。国立市は飯舘村の約四・九倍である。
3. 住民一人当りで固定資産税の総額を見ると
 大熊町が二○万六○○○円で第一位、双葉町が一九万八○○○円で第二位、南相馬市が八万円で第三位、以下、国立市、飯舘村、国見町、西会津町、川俣町と続く、大熊町は川俣まちの約五・四倍である。
4. 住民一人当りで地方交付税の総額を見ると
 西会津町三六万七○○○円で第一、飯舘村が三一万一○○○円で第二位、国見町が一九万四○○○円で第三位、以下、川俣町、南相馬市、双葉町と続く。大熊町と国立市は、地方交付税の不交付団体である。
5. 住民一人当りで国庫支出の総額を見ると
 双葉町が二八万九○○○円で第一位、大熊町が一四万九○○○円で第二位、飯舘村が八万四○○○円で第三位、以下、西会津町、国立市、南相馬市、川俣町、国見町と続く。双葉町は国見町の約一二・六倍である。
 以上のことを、原発立地町について抜き出して見ると、次のようになります。
 a 大熊町は、歳入総額では四位だが、所得割住民税で二位、固定資産税で一位、国庫支出金で二位ということになる(普通地方交付税は不交付団体)。
 b 双葉町は、歳入総額で一位、所得割住民税で三位、固定資産税で二位、地方交付で一位、国庫支出金で一位ということなる。
 ここで注目しておきたいのは、これら二つの町の固定資産税と国庫支出金のずば抜けた大きさです。
 まず住民一人当りの固定資産税ですが、大熊町は国立市の二・八倍、双葉町は二・七倍です。じつは国立市は、東京都の多摩地域三○市町村で上位にあげられる地価の都市です。原発の立地する両町は、その国立市の三倍近い固定資産税を得ている。
 また住民一人当りの国庫支出金ですが、両町、とくに双葉町と他の自治体とでは、目を見張る開きがあります。」

「格差の原因は何か」 下「」引用。

「このような二町の特殊な歳入構造の原因は、原発立地にあります。
 固定資産税が高いのは、巨額の資産価値を持つ原発施設に固定資産税がかけられているからですし、国庫支出が大きいのは、電源三法(電源開発促進法、特別会計に関する法律、発電用施設周辺地域整備法」による交付金が受けているからです。-略-財政力指数は、大熊町が一位、双葉町が三位にランクされています(南相馬市には火力発電所が立地しており、同市の固定資産税が比較的高い原因と思われます)。」

「「原発立地サイクル」の秘密」

--「原発立地による収奪」
1. 原発施設の建設
2. 生み出される電力の私的所有
3. 国庫支出金(補助金)

↑ 地元の人たちには、ほとんど還元されないということ。

index









もくじ

もくじ



エンタメ@BlogRanking




最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。